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018:ハヴァ・パーティー・クロゥズ・アンド・ガンメン

検疫編は今回で終了です。

デイノニクスはハンバーガーやフライドチキンで餌付けが可能なようですね。



 018:ハヴァ・パーティー・クロゥズ・アンド・ガンメン


 ビュッフェに程近いミーティングルームを借り切ることが出来、指揮官のジョンソン少佐(先生)とターク隊長(カニンガム大尉)とそのチーム及び、ミハルとオレのデイノニクス2頭のパーティーが始まる。

 主賓は、恐竜デイノニクスとなり声を失い、ジェシーによって人の声を取り戻したミハルだ。

 シェフのケビン(ローイン大尉)が腕によりをかけて作ってくれた豪華なオードブルのデリにビールケース。

 アルコールに関しては、先ずはスタイニーボトル半分までという制限を先生から厳しく言い渡された。

「恐竜が酒飲んて暴れると喜ぶ者がいるのでな」先生が示す先に、やはり軍服ライフル4人衆が控えていた。チ…。


『トデイ・ワールド・ビーン・ディストラクション.ワズ・ヒューメンビケィムドディナソアーズ.アンド・ゼイ・ディド・アタックトゥ・アザー・ヒューメン!.

オフテン・ウィ・タイク・クロゥス・ガンズ!

カンフラント・ディナソー・オブ・ディナソー!

アンド・ゲット・ウォン!

ナットンリー・ザッツ,ウィ・メーディット・リゲインド・ザ・ワードフォー・ビケィムドディナソアズ・ピープル…コレクト,ポリスオフィサー!.

ウィキャン・パッセボル!

アイ・ウィッシュ・ブレスフォール!

フォー・オウル・フューチャー!

フォー・オウル・ワールド!

(今日はこの世が崩れ出した日だ。人間が恐竜となり人間を襲う!

だがオレたちは、オレたちのツメで銃で!

最強の恐竜に立ち向かい!

勝った!

それどころか恐竜となった民間人もとい警察官に人の言葉を取り戻すことに成功した!

オレたちならやれる!

オレたちの未来に!オレたちの世界に!幸あらんことを!

乾杯!)』ターク隊長が、血管がブチ切れそうなテンションで演説をぶち上げた。

「ウ~~ラァッ!!」

 恐竜になってしまった人間たちからすれば炎上御免な表現あり、ティラノさんご家族への配慮は微塵もないスピーチではあった。

だが、オレたち恐竜になってしまった人間も残された人間も、共に頑張って行こうと言う揺るぎない意思が込められていた。

 原因なんてその内わかるだろう。(この時はそんなに早く原因が判るとは思ってもみなかったが。)

 今は助けられる者を一人でも救う時だ。

「ねえ、トウヤさん。隊長さんはなんて言われたんですか?」英語がほとんど分からないミハルが訊いて来た。ジェシーのおかげで、話ぶりはバッチリ普通に戻っている。

「ん、人間も恐竜も一緒に頑張って行こう、てさ」なんだか夢でも見ている気分だ。狩猟恐竜と人間がビール飲みながら気の置けない話をしているなんてな。

「ミハル~」ジェシーがフライドチキンてんこ盛りの皿とビール片手に意気揚々とやって来た。

「ジェシー、本当にありがとう」ミハルは冠羽をフワッと立て、本当に嬉しそうだ。肉食恐竜がこんなにも表現力豊かだとは思いもよらなかった。

「ウェルカ~(どういたしまして~)」

「なんかオレの時とエライちがうな。そんなに怖かった?」

「え?ううん、むしろ逆。気を抜いたら抱っこしそうで、自分を全力で抑え込んでたのよ。

 第一、初対面の男性にそれはないでしょ?

 だからトウヤ、ハグさせて」

「美人はいつでも歓迎するよ」

「キャ~~~」ジェシーは皿とビールを置くと飛びつくようにモフりに来た。

「あ、僕もハグさせろ」

「ミー・トゥ!(オレも!)」

「ではワシも」

 ミハルと一緒にしばらく人間たちにデイノニクスをモフモフさせる。

 確かにミハルが元に戻ったのも分かる気がする。オレは額の羽毛をコリコリされるのが気持ちよかった。

これなら毎日でもモフらせてもいいかな?


「あ~。それで隊長、オレたちはいつまで隔離になるのか、何かフリとか出てませんか?」フリーハグ・タイムも終わり、テーブルに着いての談笑タイムに移ると、オレは早速懸念している事を隊長に訊いた。

「ああ。その話は先程なくなった」隊長はバツが悪そうに言った。

「ハイ?」

「先に話が出たが、例の"恐竜化"現象は世界中で起きている事が分かった。人員がないも同然の足りなさだ。

 感染の危険性はあるが、もはや後の祭りだ。ならば毒食らわば皿まで、という事で、我々は恐竜を生け捕りにするテストベンチとして復帰することになった。

 例え意志疎通が困難な猛獣…いや、恐竜と化しても、相手は人間なのだ。可能な限り保護し、更正プログラムを受けさせる義務がある。

 そこで我々は生け捕りの実績を買われ、捕獲専用のチームとして再編成されることになった。

 これは何も軍部の判断ではなく、大統領直々の命令だ。

 そこで隔離期間はナシになった。4日後から復帰する。

 私たち人間スタッフは、全員覚悟を決めた。

 トウヤ、君も一緒だ。明日はみっちり戦闘訓練をしてもらう。

 ミハルも編入されることになった」

「わたしも!?」

「キミは元より警官としての訓練を受けている。その上デイノニクスだ。ジェシーとツーマンセル(2人1組)で組んでもらう。今の所は後衛アンダーカバーに付いてもらうので前面に立つ必要はないから安心してくれ。

 なお、キミとトウヤは共に少尉として任務に着いてもらう。

 ジェシー、君も昇格して少尉になった。出来れば中尉にしたかったが、審査を通すのに時間がかかるのでな、しばらくは少尉で我慢してくれ」

 ジェシーは歓喜の声を上げるが、ミハルは目を剥いた。

「ええ!?トウヤさんケータイ貸してもらえます?」

 オレは突然の成り行きに、呆然としながらミハルにブラックベリーを出した。

「…トウヤさん。これ、どうやって使うんですか?」

 おっと気を抜いていた。

「おや。大統領ご愛用のケータイかね?」

「ええそうです。メールやメッセを結構書くんで、こいつが使い勝手がいいんですよ」通話用のテンキーパッドを表示させ、ミハルに渡す。

「先生、隊長に言って下さいよ。オレ、ソフトウェア・エンジニアなんですよ。戦闘訓練なんて…」

「ええ?トウヤさんて軍関係者じゃないんですか?」

「だから~。民間人なんだってば。キミと同じ保護されてる身なんだよ」ウソは言ってない。元から激物だったヤツが狩猟恐竜になっただけだ。

「何、明日はちょっとサバイバルゲームをやってもらって、ランニングしてもらうだけだ。キミにはハンドガンとスタンガン(非殺傷電撃武器)を使ってもらう。

 少佐殿にも相談に乗ってもらったが、デイノニクスは機動力が飛び抜けている上に、体格も人間に近いから、人間用の武器の多くが使える。

やってもらうロール(役割)は囮役だ。恐竜の気を引き付けてくれればいい。

その隙を突いて、私たちがネットやeブレットで生け捕りにする」

「そうは言われてもねぇ…」

「ワシが、許可した。君の会社との契約もワシが締結した。キミの経歴も情報部に調べてもらった。面談も半日かけて行っただろう?」

 あ、先生と一緒にハンバーガー食べたの、あれ面談だったのか!じゃあ、ケビンは立会人だった訳か!

「頼む、トウヤ。事前にキミに話をしなかったのは悪かった。時間がなかったんだ。

ミハルが回復してから急展開で話が進んだ。

 だが、キミたちが手伝ってくれれば、恐竜になってしまった人間を殺さずに済むんだ」

「…参考に訊かせてもらいますが、生け捕りに出来た恐竜は1頭だけなんですよね?」その1頭というのは、他ならぬミハルのことだ。

「そうなんだ。後は…射殺する他に対応が出来なかったそうだ」

「契約期間はいつまでですか?話は社に通ったのですか?」

「もちろんだとも。『リーダー支援業務』の名目だ。補填名目で保険と危険手当ては軍が持つ。何のリーダーに何を支援するのかについては『適宜現場対応』ということになった」

 社長、ウチの会社、いきなりブラック派遣入りッスか!?

「キミに説明する時間がなかったのは本部と君のカンパニーに話を通すためでな。本契約は明日になる。

契約期間は1ヶ月。以降、現場の状況に応じて延長」

 やれやれ…。

「かしこまりました、ボブ・ジョンソン少佐殿、ターク・カニンガム大尉殿。短期ではありますが一助となりますよう協力させていただきます」ビジネスモード・オン。

「…怖いぞ。なぜ口調が変わる!?」

「滅相もございません。我が社では有能であればこそ、なお、身だしなみや言葉使いも正統なマナーを各人心掛けるよう奨励されております」

「要約すれば、キミが好きでやっているのだな」さすがに先生は切り返しがはやい。

「目が寄り目になったり言葉遣いがいきなり丁寧になるとパワーアップするのは、結構流行りなんですよ」

「…やっぱり日本人、よくわからん」

「今、世界中で生き方を見失った『ヒト』が溢れてる。その人たちを救う方法を考えるのが、今回のオレのタスク。現場に出て、彼らと接し空気を肌で感じながら、ね。

ですよね、隊長?」オレは外堀を埋められたら打って出るタイプなんだよ、隊長。

「お、おお」

 先生もうんうんと満面の笑みで頷いている。

 先生も腹芸は分かっているようだ。

 ミハルも署に話が着いたのか、冠羽を立たせつつもしおたれた様子で帰って来た。「わたしも出向という形で随行および支援任務、という事で確認が取れました~。辞令は明日FAXでこちらの基地に届くそうです…。

ということで、ふつつかながらよろしくお願いします。

 ジェシーもよろしくね」

「ん、こっちこそ!」ジェシーはミハルの前肢を取り握手がてらペチペチとたたく。女同士の種を超えた友情、なんともほほえましいね。

「コトが片付いたら、大統領と握手させてもらえませんか、隊長」ファンなんだよね、現大統領。

「申請しておく。確約は出来ん」ターク隊長はそう言いながら、ジョンソン先生に目配せする。

「なんでも、近々ヒロシマ訪問にいらっしゃるそうだが。さてな?」

 ターク隊長から詳しく話を聞いた所、どうも、ウチの社長がうまく話をまとめてくれ、本来なら軍曹か准尉相当の所を尉官から始めるようになったそうだ。

 そして、オレの相方は中尉であるポールに決まっていた。隊長は申し訳なさそうにしていたが、恐竜としてのオレのハンドラーとして組むため、万が一の歯止めのために階級が少尉以上でなくてはならないためだ。

 ミハルについても同じ扱いとなる。ハンドラー役としては階級だけならダン中尉がいるのだが、男性である上に、ミハルとマッチングのいいジェシーの方が適任という判断が下ったため、ジェシーになった。しかしそうなると階級を上げなくてはならず、かと言ってミハルの経歴を鑑みてオレより階級を下げるのも問題だった。そこで、ジェシーの階級を上げる事になったがいきなり2階級も上げるのは他の兵士の士気低下に繋がるため、まずは少尉にして様子を見るという事になった。ジェシーもミハルも大卒なので学歴はほぼ問題なし。オレは戦闘能力も含めた特殊技能を見込まれてということだ。

 また、恐竜になったオレたちふたりが、人間としての自我を失い、人間に対して敵対行動を取った場合、射殺許可が出ているとも。

「シビアですね」

「シビアだとも。大統領からの勅命だからな。甘いばかりのタスクではない」

「分かりました。お互い恨みっこナシで。

ではカンパイと行きましょう」オレは隊長にビールビンを掲げる。

「うむ。トースト!(乾杯!)」ターク隊長もボトルを打ち合わせに来て、一緒にボトルを煽った。

 先生が「あ!」とか言いかけたが、構うもんか。


次回から深夜交流編になります。


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