プロローグ
書き直しとなります。どうぞよろしくお願いいたします。
治癒術、それは動物に備わっている、身体を治そうとする力、自然治癒力を最大限引き出すことにより怪我や骨折部位の治癒、病気等からの回復、神経や皮膚などの再生を促す物である。断わっておくが、いくら治癒術が発達したとしても、死を免れる事は出来ない。
「さあ、傷口は塞がって骨も繋がりましたよ。ただ、今日は無理せず、栄養しっかり摂って安静にしてくださいね。」
「はい、どうもありがとうございました。」
「お大事になさってくださいね。」
女性は何度もお辞儀をして出て行った。
「母さん、やっぱり治癒術ってすごいね。僕は全く素質がないみたい。」
「そんな事ないと思うけどね。」
「そんな事あるよ、妹の美桜だって多少傷治り早くすること出来るんだよ?幼馴染の陽菜なんかはまだ5歳だけど、大きくなったら母さん以上になる素質があるって言われていたよ。」
「へえ、それは楽しみね。」
「うん。それで、僕はね、お祖父さんから、お前は治癒術師は無理かもしれんが、守護者にはなれるぞ。儂も、守護者として、多くの治癒術師を護ってきたって。だから、陽菜みたいな子を護るために、訓練積んで強くなるんだ。」
「そう、それもいいわね。ただ、無理してはだめよ。」
「うん、わかったよ、母さん。」
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「陽菜に手を出すんじゃねえ!」
「ガキはすっこんでろ!さっさと帰って、ママの美味しいおやつでも食べてきな。治癒術の使えねえ奴に用はねえんだ。」
少女を攫おうとする男と、それを防ごうとする少年。
「治癒術師を護るって、じいちゃんと約束したんだ、陽菜すら守れねえのかよ。」
「さあ、行こうか、嬢ちゃん?」
「嫌だよ…、輝夜…。」
「陽菜…!」
「ソノショウジョヲマモリタイカ、ショウネン?」
「ああ、そうだ。護りたい。」
「ワレラガチカラヲカソウ、ソノカワリ、オマエニハダイショウガトモナウゾ。ソレデモヨイカ?」
「ああ、陽菜を護るためだ、構わない。」
「ソウカ、ナラケイヤクセイリツダ。ショウネン、ショウジョヲサラオウトスルアノオトコヲニクムノダ!」
「ああ。あの男は絶対許せない!」
少年の眼が紅く染まる。
「ハルナカラテヲハナセー!!」
少年から膨大な魔力が放出される。
「何だ、このガキは!?一旦、退くぞ!少女は何時でも攫える。」
少女から手を放し、身を退く男。
少年は、眼の色が戻り、その場に崩れた。
「輝夜…!」
「陽菜…、無事…だったんだね…、良かった…、僕は、まだまだ…、修行が足りないね…。」
「私は、輝夜が無事だったらそれでいいの。」
「駄目だよ…、陽菜…、僕は離れ離れになんてなりたくないんだ。」
「私もそうだよ、輝夜。」
「僕は明日から修行続けなきゃね。陽菜も治癒術レベル上げて、色んな人助けてあげてよ。僕は出来ない事だからさ。」
「うん、お互い頑張ろう。」
「うん。後…、悪いんだけど、肩貸してくれないかな…、力入らないんだ…。」
「うん。」
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「ショウネンニハヨクボウノダイショウガフリカカルガ…、ノチノチワカルコトダ…。イカリ、ブツヨク、ショクヨク、シキヨク、シット、タイダ、ホウマン、ショウネンニフリカカルノハ、イカリ、ショクヨク、ブツヨク、シキヨクダナ…。」