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幸来は自分の教室の前に立っている。
ドクドクー
鼓動が全身に響く。
喉はカラカラで、上手く声が出るかさえ分からない。
ここまで緊張したのは久々だー
「ふぅ…」
落ち着かせるためにゆっくりと息を吐き出す。
幸来は無表情のまま、ドアを開けた。
教室にはアイツ以外に誰もいない。
そう、自分とアイツ以外は誰もー
「……」
「……」
幸来が入った途端、アイツはこちらを見た。
お互い無言だ。
「おはよ、柏木さん。」
「おはよ。」
幸来の視界には教室の隅の席に座る、パーマがかけられた長い黒い髪を一つに結った女の子が映った。




