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気がつくと、私の目の前には何もいなかった。
黒ローブは初めからいなかったかのように、跡形もなく消え去っていた。
隣にある座られていないブランコが風に揺れて、キィキィと音を立てる。
「くだらない、いくら頭が割れそうなくらい追い詰められていたからって、あんな幻覚見るとか。
とんだイかれ女だ、私は。」
そう言って、ゆっくりとブランコを降りた。
私は基本的に夜が好きだ。
今日も「書く」か…
そして家へと帰った。
「ただいまー」
家に私の言葉がこだまする。
誰も返事なんてしない。
だって、まだ誰も帰って来ていない。
リビングには向かわず、真っ直ぐに自分の部屋へと向かう。
ドアを閉めた途端、一気に脱力感が押し寄せた。




