利益の裏側
「ねぇっ、ねぇっ!
どうして人が嫌いなの?」
「・・・・・」
なんて踏み込んだ質問をする。
馬鹿なのか。
「・・・関係ねぇだろ。」
こんぐらい冷たく言わないとこいつは
離れてくれないと思った。
「・・・・んー、じゃあ、野々崎君は
自分のことは好き?」
まだこいつは質問するのかよ!!!
「嫌いじゃねぇけど好きでもねぇ。」
「嫌いじゃないのはなんで?」
なんなんだよ、うざいな。
「この質問に答えたらもう
質問には答えねぇからな。
・・・昔、自分も嫌いだったけど
結局自殺も自害もできなかったから
嫌いじゃないことに気がついた。」
小学4年の時、
妹に『人が嫌いなら葉月君、死んでよ。』
と言われ気がついたんだ。
妹のことは好きではないが感謝はしている。
人嫌いな俺に色々気を使ってくれる。
妹も少し変わっているが
俺と正反対だった。
でも共通点は妹も人が嫌いだということ。
まぁ、人嫌いでも
俺と妹の『人との接し方』というのは
全く違う、ということだ。
俺は明らかに近づくなと睨むが
妹は自分から人と接し、
長い時間をかけて自分を植え付け、
最後に突き落とす。
そんな最低な女だった。
必ず不登校者を出す。毎年。
人が嫌いだからこその
彼女の楽しみ方は俺から見ても酷かったが
彼女は俺のことを嫌いではないし、
俺も彼女は嫌いでないので
その分では兄妹だなと思う。
時折俺に残酷なことをするが、
俺も『人』なのでそこはあんまり
気にしないことにした。
そんなことを考えていると
男子トイレに着いていた。
隣を見ると、腐女子はいないので
諦めたのかと安心した。
その頃、美優達が企んでいたことも知らずに。
******
「これでうちのグループは勝てるわね。」
「まぁ、引き分けか、勝ちになるさ。」
「あいつがいるから勝てる、
だなんて吐き気がするぜ。
美桜に近づきやがって。」
「どう考えても近づいたのは美桜だけどね。
あ、でも美桜はもしかしたら
野々崎君のこと好きになっちゃうかもね?」
「あいつが?野々崎のこと?
無いだろ。野々崎は人嫌いだぞ?
そんなこともわからない馬鹿じゃないと思うけどなー。」
「美桜は俺のものだ!」
「龍夜うるさい。
でも確率はなくはないと思うんだよね。」
「・・・腐女子も恋ってすんの?」
「・・・するんじゃないの?」
「美桜は俺に惚れる!絶対に!」
「龍夜うるさい。」