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玲央

「ったく…有栖のやつ…何考えてるんだ…」


愛妻有栖からのメールに目を通しすぐに車を走らせた玲央は軽く舌打ちをする



玲央たん、おにいちゃんにイイ人が出来てね(⋈◍>◡<◍)。✧♡ 


急遽、その人のおうちに招かれちゃった


うふふ・誰だと思う?


な・ん・と


きみも尊敬してる紅蓮朱璃 その人なのです


つーことでクリスマスのデコして夕食食べて今日はお泊りするからごめんネ



有栖



「いつまでたっても帰ってこないと思ったら…栗栖ちゃんに恋人ができたのはめでたいが…お泊りは却下な…」


アクセルを踏み紅蓮の家へと向かう玲央だった



一時間後…


「お会いできて光栄ですよ。玲央殿…」


「栗栖の相手がお前と聞いてびっくりだよ…朱璃…」


有栖を膝に乗せながら腕組みをして仏頂面の玲央


「もぉ~いつまですねてんの? ご機嫌なおしてよ、レオレオ」


「ふん…いきなり初対面のやつ相手に夕食食べてお泊りはないだろう…残された俺がどんな気持ちだったと思う?」


「ごめんってば…何度も謝ってるじゃないの~」


面長の玲央の両頬をつねってびろ~んと横に引っ張る有栖


「それより朱璃と玲央くんが知り合いだったなんてそっちのほうがびっくりだよ…」


「俺の恩師がこいつに彫刻を教えたんだよ…俺はその道には進まなかったがね」


意外な繋がりに開いた口が塞がらない信教の栗栖


「そんなに睨むなよ玲央。有栖ちゃんを誘ったのは俺だ、怒らないであげて」


「人の奥さんをちゃんづけすんな! 」


「くっくっく…相変わらず嫉妬深いねぇ…」


「はん! お前に言われたくないね…」



え…どういう意味?


過去に朱璃は恋人がいたってこと…


「お前がおかしなこと言うから栗栖が勘違いしただろう…


気にするな…こいつの言ってるのは前世の話だ…俺はお前以外に触れていない…身も心も潔白だ!」



「でも…」


不安げな顔つきの栗栖を見て玲央は慌てて弁解する

「ごめんごめん、気にしないでクリちゃん、こいつは前世からきみにしつこかったからついね…」


「ちょ、どーゆーこと? あなた、前世の記憶があるの? 私にも話して!」


「い、いや…記憶っていってもうっすらなんだが…」


「お喋りが過ぎるぞ…玲央…」


睨みつける朱璃に玲央を舌を出しながら反論する


「怖かねぇよ、そんな顔しても…だいたいな…人の奥さんを勝手に誘って家に連れ込みやがったのはお前だろうが!」


「ああ…それは俺が悪かった…謝るよ、ごめんなさい…」


「ったく…どれだけ心配したと…」


ペチン!


玲央の額を華奢な指で叩くとギロリと睨む有栖



ヤバい…怒っちゃったよ…



「いい加減にしなよ…ひと様の家に着て早々にギャースカわめきたてて…友達だかなんだか知らないけど非常識だと思わないの?」


途端にさっきまで悪態をついていた玲央の顔色が青ざめていく



「勝手に夕飯ご馳走になって泊まろうとしたのは悪かったわよ…私を怒るのはいい…だからって…おにいちゃんの大事な人にいきなり食って掛かるなんて最低…大人として軽蔑するわ…」



マイナス100度の眼差しで蔑む有栖の両手を握りしめすがるように膝まづく玲央



「ごめん、ごめんな、有栖…ごめんなさい…俺が悪かった。反省する! 何でもするから捨てないでくれ…」


握られた手をパンと振り払い玲央を冷たく突き放す有栖



「触らないで…好きにすれば…」


でた~!!


この好きにすれば…に僕も何度泣きながら謝ったか…


わかる、わかるよ、玲央くん…



「いやだ、いやだよ、有栖…捨てないで! 俺の命をやる、心臓もやる、お前なしじゃ生きていけないっ」


「いらない…」


「お願いだ、殺されたってかまわない、お前と離れたくないんだよ!」


有栖の膝にしがみつき泣きながら許しを請う玲央…



「玲央を許しておあげ…有栖ちゃん…」


「有栖、玲央くん可哀そうだから…な、そのくらいで許してあげてよ」



『わん、そうそう。まるでご主人様に許しを請う飼い犬の目だわ…

その人、捨てたらヤバいわよ…仲直りなさいな』


『…ご主人、Mなんだな…気の毒に…許してやれよ…』


『くる!ご主人を許してあげて有栖ちゃん。喧嘩はいけないわ、くるるる』


『くるる、夫婦は仲良くですぽぉ』




朱璃と栗栖 マリーとダン 鳩のポッさんとグレンに言われて有栖はクスリと笑った



「ぷっ、ふふふ、わかったわよ、そう皆に言われたら怒れないじゃない」


「ゆ、許してくれるのか? 有栖…」


「そうね…もうわかったから手を放して…って…ん…」


許してくれた喜びに有栖を抱きすくめキスの雨を降らせる玲央に周りは見えていなかった



「玲央くん 激しいんだから(笑)」


嬉しそうに二人を見つめる栗栖の耳元で


「ああいうのがいいのか? なら…」


「え、待ってよ朱璃! 皆いるんだから…」


「玲央だってみんなの前でキスしてるじゃないか…俺はいつだってかまわない…常にお前を欲しているから…」



「ゴホン、お取込み中ですが…お茶が入りました。玲央さまには夕食を用意いたしましたのでどうぞ♪」


ナイスタイミングだ、ヒロにゴウ、グッジョッブ♪



「お、焼肉か…そういや腹減ったな…頂きます」


「私もお腹空いちゃったわ」


「僕も…」


「そう言うと思って夜食も作ってきましたよ、さっきの残りでピビンパとキムチチゲ♪」


「わぉ♪ゴウくん、ヒロくん、神♪」


「栗栖も有栖ちゃんもいっぱい食べて…玲央、お前もな…」


「ああ、いい肉は久々だな~遠慮なく頂こう♪」


『私もお腹空いたんだけど…ヒロちゃん、なんか頂戴』


「はいはい、マリーとダンもピビンパね、野菜たっぷりだぞ~。ポッちゃん達は松の実どーぞっ♪」


『ありがとう、くるるる』



「玲央、お前いつの間にクリスチャンになった?」


「ああ、教会で挙式したくて…」


それでか…


呆れ顔の紅蓮


「写真見るか? ほらっ」


純白のウェディングドレスで幸せそうに微笑んでいる有栖とタキシード姿で泣きながら指輪交換している玲央


「いい写真だ…」


「栗栖にも着せたいな…」


紅蓮の言葉にピビンパを食べていた栗栖のスプーンが止まった


「ちょ、ちょっと待ってよ、朱璃、僕、男だし…」


「関係ない…絶対に似合うぞ…」


「おかしいって…! だいたい挙式なんて…」


「いいじゃない…」


え…


玲央の言葉に固まる栗栖


「俺が縫ってやるよ。クリちゃんのドレスなら喜んでな♪」


芸術アート系の学園で講師をしていた玲央は手先が器用で彫金と裁縫を極め、有栖のウェディングドレスから指輪、帽子に至るまでもほとんど自分が制作している



「素敵じゃない、おにいちゃん♪ 玲央のドレスなら嬉しいでしょ」


玲央くんのドレスならちょっと…着てみたいけど…って…いやいや、おかしいでしょ…


「いいじゃない…前世お前は女性だったんだよ…」



前世…



朱璃に耳元で囁かれ栗栖はクリスティーヌとして愛されていた自分がふと脳裏に浮かんでくる


『ジョゼフ~こっち、こっちよ』


ドレスの裾を翻して庭園を走る自分を追いかけるジョゼフ(紅蓮)


『捕まえた…』


背後から抱きしめられキスを交わす



『数秒でも…きみが離れると不安になる…このまま閉じ込めてしまいたいよ…』


『痛いわ…ジョゼフ…』


『だめ…力を緩めたらすり抜けてしまうだろう?』


『そんな…私がどこにも行けないの知ってるクセに…』


情熱的なキスを交わす二人…


そんな光景を見ているうちに頭がぼんやりとしてきた


「きみに合ってる…」


虚ろな眼差しで遠くを見ている栗栖に紅蓮はテーブルの花瓶に生けてあるオレンジ色の薔薇を一輪 抜きとりスッと差し出した


いい香りだな…


甘くて…濃厚な…



栗栖が無意識に薔薇に触れると一瞬で枯れてしまう


「もっと…もっと…ほしい…」


黙って花瓶の薔薇を再び差し出す紅蓮の手から薔薇に近づき顔を寄せると恍惚としながら栗栖は片手で花びらに触れ次々に枯らしていくと虚ろな面差しで紅蓮を見つめる瞳がうっすらとしたルビー色に変わっていった




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