8話…萌えないギャップの話
この前のクラスマッチも負けちゃったし。テストも直ぐだしいい事ないな。
と言うわけで勉強してるけど全くわからない!特に数学。やはりここは…あの面倒臭男に教えを乞うべきかしら…いやハルと一緒に赤点で終わるか。
「ホント数学が存在する意味がわからないー。あと数学で満点とる奴は一回死んで生き返れば良し!」
「岡田、大丈夫か?」
「大丈夫なつもりよ!」
仁が缶コーヒーを飲みながらあたしの問題集を覗いてきた。
「……………………。」
「いや無言なの怖いわ!」
「悪くないな。」
……………へ?
「テストの大半出そうな問題……ここらへんは大体合ってる。あとは応用だな。」
意外。またボロクソ言われるかと思ってたんだけど。
「そ…そお?」
「回答見ればわかるだろ。」
回答を引っ張り出し答え合わせをする。…奇跡だ!殆ど合ってた!
「頑張ってるな岡田は。…に比べて。」
ハルがのっそりとこちらに向かう。元気が無い。どうしたんだろ。
「赤点常連が居眠りか。大した奴だ。」
「いや……もう俺駄目かも。」
「これ以上駄目になれるのか。」
仁はやはり何気に酷い。それはともかく、ハルの落ち込みようも酷い。
「いや…ホントあり得ねー。」
「何があったのよ。」
「公衆の前で告られるとか死ぬ…。」
…どんまいだなぁ…。
確かに、クラスマッチ以降女子の間のハルの株が上がったし、まぁ告られてもおかしくはないけど…みんなの前でって…。
「んで、誰に告られたのよ?」
「一年の知らない奴だった…。まぁ勿論お断りしたぜ?」
「だよねー。知らない子なんてね。一年の子に好かれるとかあんた何したのよ?」
「この前の試合見てる生徒多かったみたいだな。」
仁が言う。成る程ね、よくある、あの先輩マジかっこいー的なアレかぁ。まさかハルがその先輩になるなんてねぇ。
「仁の嫁のくせして。」
「オイ今何言った。」
困ったわね…。ハルに女子が近づかないようにしなきゃ…。でもるかちゃんも好きみたいだし、あるみんも怪しいし困ったなぁ…。
「ハル、あんた彼女作る気ナシ?」
「ねぇな!女子は苦手だ。」
「よっしゃ、あたしに任せなさい!あたしがなんとかしてあげるわ!ね、仁!」
「本人がそうなら近づいても意味ないし放っておけよ。」
却下でーす。
「と言っても何すりゃいいのかしら。」
気分悪そうだったハルが屋上に行ったので、あたしと仁で会議することになった。あたしはカフェオレを飲みながら考える。
「止めとけって。お前の友達の柏木さんや山本さんも好きって言ってるんだろ?」
「るかちゃんは確実だけどあるみんは微妙なんだよね。」
でもあるみんはたまにハルに話しかける。まぁハルも話しやすいと前言ってたし悪くは無いんだけど…。
「ハルにあるみんは勿体無いよなー。」
「そういうのは関係ないと思うが。」
「えー。だって可愛いし、頭良さそうだからさぁ。もっと釣り合う人居ると思うんだけどなんでハルなのかなー趣味悪っ。」
「他人の趣味をどうこう言うもんじゃないぞ。恋愛の邪魔をするのは趣味悪い。」
「へいへい。」
まずあるみんは絶対じゃない。るかちゃんは…悪いけど玉砕決定かな。
「よく考えたらする事ないわ。」
「な?恋愛事は当人同士でしか解決しないんだよ。稲葉多分振るだろうな。」
「そうだね…。でもハルがあるみんを好きだとして?そしたら分からないよ?」
「…………いいんじゃないか?」
仁が目を逸らす。いつものように興味なさそうに。
……いや、まてよ。この反応は興味無いっていう事じゃない気がするわ。
「仁、あんたさ、素直になんなさいよ。」
「何のことだ。」
普段真顔だから何考えているか解らない。でも今は手に取るように解る。
「あんたさ、あるみんが好きでしょ。」
「…………………………。」
細い目が一瞬開いたけど、黙ったまんまだ。何時もの態度。
「黙るなゴルァ!岡田昭葉今世紀最大の女の勘を無駄にする気か!」
「21世紀があと何年あると思ってる。そんなに早死にしたいか。」
これ以上追求すると殺すとでも言いたいのかこの野郎。だが引かないわよ。机を叩き立ち上がる。
「質問に答えろぉ!」
仁が溜め息をつく。興奮したあたしに座るように促すと、小声で言った。
「大声を出すな。誰にも言うな。特に稲葉には言うな。勿論山本さんにもだ。」
「…………………………うん。」
昼休みのクラスにはそこそこの人数が居るしざわついている。私達が使っている席は隅だしだから聞かれる心配はないわね。
「俺は山本さんが好きだ。」
「…………う…うん。」
ストレートに言いやがった。なんか自分が告られたみたいに恥ずかしい。自分で引き出しといて何だけど。仁は全く恥じらいなく言う。まぁそれが強みなんだろう。
「誰にも言うつもりは無い。」
「本人にも?」
「まぁな。お前が言った通り釣り合う訳ないしな…。」
………………もしかして私悪い事言いました?言いましたね。はい。
確かにあるみんは容姿淡麗成績優秀で性格も良し。よっぽど良い男じゃない限り、あるみんファンの私は許さないわよ?だから成績悪いし性格がイマイチ餓鬼くさい単細胞ハルは百歩譲って見た目は良いとしても認めないわよ?
仁は…微妙。成績は糞みたいに優秀だし容姿も…良いのかな。髪染めてるけど似合ってるしね。性格?性格は…多分女子には優しいんじゃない…かな?普段は落ち着いてるしね。面倒臭がるのはアレだけど。たまにSだけど。
「自信……持ちな?あたしは仁がよくわからないけど。」
「いや、自信も何も言うつもりは全く無いさ。だから忘れて欲しい。」
忘れられません。私こういう事に関しては記憶力いいもん。
「いや…なんか聞いてゴメン。」
「ボロが出た俺が悪いから気にするな。」 あたしに弱味を握られた、と言わんばかりに溜め息をつき、コーヒーを飲む。なんか気まずくなったなぁ。亮子ちゃん達の所行こうかなぁ。と考えてたら口が動いた。「最後に良い?」
「何だ?」
「何時から…好きなの?」
怒るかな、と思ったけど特に反応せず、答えた。
「中学一年か二年か。その位だ。」
なんか泣きたくなるわね。よくも四、五年も持つもんだよ。あんた実は一途かコラ。
あたしは恋愛した事ないから解らない。けど仁にとってあるみんがどれ程特別か解るような…いや解んないや。
取り敢えず気まずいのでその場を離れる事にした。
亮子ちゃん達の所へ向かう途中、あるみんに会った。今日は部活の友達と弁当食べていたみたい。
「あるみん何処行くの?」
「屋上だよ。何となく…。」
何となくってのが気になるなぁー。ま、いいけど。屋上にはハルが居たっけ。
「元気無いね?どうしたの?」
自分も今はテンション低いけどあるみんは更に暗い。今日はみんな鬱っぽい。
「変なのに絡まれちゃって。
まぁ軽くあしらったし大丈夫だけどね。」
「気をつけてよぉあるみん。可愛いんだから。もぉ。」
「昭葉ちゃんもテンション低いね。」
無理矢理テンション上げようとしたのがバレたみたい。さっすが。
「えと…。ジェネレーションギャップ?」
最近覚えた言葉を言ってみたけど多分意味が違う。
「ははっ。何かわかんないけど昭葉ちゃんらしいや。」
「でしょー。今から亮子ちゃん達んとこ行くからまた後でねー。」
「うん!」
あるみんがニッコリ笑う。何か解らないけど元気出たわ。よし!
あるみんと別れて亮子ちゃん達の所に行く。みんなもあたしも弁当を食べ終わったから適当に喋っていた。
「あーあ。あるみん居なくても変わんないねー。」
わざとらしく言ったのはるかちゃんだった。縁ちゃんがたしなめる。
「ちょっと、るか。」
「だってあの人いつも喋んないし?つか好きな人被るとかまじ最悪。」
「亜留美が稲葉君好きって決まったわけじゃないじゃん。」
縁ちゃんの言うとおり。…ま、あたしもさっきはアレだったけど。
「絶対好きだって!どぉしよ…。ま、るかが負けるとは思わないけど?」
「るか。」
口を開いたのは亮子ちゃんだった。
「アンタあの子どう思ってんの?」
「ぶっちゃけあんま好きじゃなーい。つか中学の時からそうだったじゃん。」
中学の時に何があったのかな。わかんないけどるかちゃんどうしたんだろう。さっきから…。
「ちょっとアンタ等…。」
「縁は黙っててよ。みんな知ってるとは思うけど私はアイツ嫌い。美香はー?」
「ウチは…。」
口ごもる美香ちゃんを亮子ちゃんは睨んだ。
「ウチも…あんまし、ね?」
「昭葉は?」
亮子ちゃんの眼があたしに向けられる。どうしたんだろうみんな。あんなに仲良くしてたのに…。
「まだ会ったばっかりだし…!」
「あっそうだね。」
何かおかしい、というより怖さを感じた。だからこう答えた。
「まてよ亮子!アンタまた下らない事考えてんじゃ…。」
「ゆーかーりぃー。あんたいい加減私に逆らうの止めたら?あんた立場無くすよ?」
何がしたいんだろう。そうかみんなまだよくわかってないんだあるみんの事。これから仲良くなればいいじゃない。ってあたしもあるみんの事よくわかってるわけないじゃん…。というより…
「中学で何かあったの?」
思わず口に出していた。
「まだ知らなくていいよ昭葉。」
亮子ちゃんが笑う。あたしは何も言わずその場に居る事しかできなかった。
≫≫≫≫≫学校紹介
名前:樟葉高校
私立の高校。寮付き。
学科
商業科(1、2組で)
普通科(3、4、5、6組)
福祉科(7組)
・全体的にレベルはそこまで高くはない。
・商業に力入れてる高校なんです。
・稲葉達は4組なんで普通科。
理数系のクラスですね。
稲葉が理数系なのは単に文系がからきしだから←あと化学は好きらしい。
・運動部が強い。
ソフトボールが特に。
昭葉や縁はソフトで特待生でした(凄っ
・校則緩い。
・普通科には不良ちゃんが多いみたい。
・以上の設定はあんま物語に関係なし←
以上。