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4話…女の子の事情の話



 暇な時はハルと仁の観察に限る。二人は今日も仲良く何か話してる。もしくは痴話喧嘩。

 しかし今は観察なんてする程暇じゃなかったりする悲しい現実。

「テスト訂正が終わらないよ…。」

「俺もだ昭葉。」

 この前あった、クラスに少しなれた頃にあるアレ。中間考査。予想してた以上に散々であたし泣きそう。

 ハルもあたしと同じく全滅したようで…山のような訂正を前に嘆いている。…ぶっちゃけハルはあたしより酷い。そして脇で涼しい顔をしている仁が恨めしい。

「仁…アンタ一回赤点とってみなさいよ…あたし達の辛さと苦しみを理解させてあげたいわ。」

「勉強サボって辛いだの苦しいだのよく言えたもんだな。」

 何も言い返せないのが悲しいわ。







 しかしこの二人の観察は萌えるな。ハルが仁に対して可愛すぎる。それにハルが脱不良始めてから更に受けっぽさを増したように思える。

「まさか、また下らねぇ事考えるわけねぇよな?昭葉。」

「やだなぁハル、あたしが下らない事考えてた事なんてある?」

 ハルが突っ込むより先に仁が割り込んできた。

「寧ろまともな事を考えてる事があったか怪しい気がするな。」

 仁は何気に酷い、たまに。隠れSだと思う。そして冷静で頭良くて身長高いとか反則だろこの攻めヤロー。

 第一妄想は下らない事なんかじゃないわ!何よ二人して!いいわよその内仁とハルを現実に素敵カップルになるように仕向けてやるんだから。ヤらせるんだから!

 あれやこれや考えていたら仁の訂正が終わったようだ。そして弁当を取り出す。テストが残念過ぎて忘れていたけど今昼休みだったっけ。

「つか仁のくせに何間違えてんのよ。」

「英語。」

「あぁ確か英語苦手って言ってたっけ。…にしては9割とってんのね。」

 英語以外は96点以上。100点も幾つかあるのね…まずい殺意が。

 テスト訂正を今日中に終わらせるという虚しい願望は捨てて、あたしもハルも昼食をとる事にした。

「昭葉は相変わらずだな…弁当と売店のパンも食うのかよ。休み時間も何か食ってたよな。」

 ハルは若干引きぎみに言う。

「仕方ないじゃない。アンタは帰宅部あたしはソフト部。朝練もあるしお腹空くのよね。」

 ご飯を頬張ろうとして、ついつい忘れていた事を思い出した。

「ちょっと行ってくる!」

「ちょっ…お前箸持ったまま…。」

 ハルが何か言ったけど無視して教室を出た。



「あいつ飽きないよな。な、神崎。」

「ま、岡田らしいといえば…な。」







 向かったのは屋上。最近までは、カップルの居場所だったけどそのブームも無くなったようで、今では誰か一人二人いるくらい。

 あたしはそんなカップルの居場所ブームの頃からずっとそこに居た彼女に話しかける。



「あ・る・み・ん。今日もココなんだ。」

「…っ昭葉ちゃん。」



 フェンスにもたれかかってぼーっとしていたあるみん―山本亜留美はハッとこちらを振り返った。

 いいなぁ可愛いなぁあたしが男だったら絶対ここで襲ってたなぁ。いや女の身であれど襲ってしまいそう。

 あるみんはいつも吹奏楽部の部室で部活の仲間や後輩と昼ご飯をとった後、一人ここに来ている。

 前に理由を訊いたら「ここが好きだからさ。」と笑っていた。

「あたしらの所にもおいでよ。」

 たまにこうやって誘ってみる。いつもなら断られるけど今日は違った。

「たまには良いかな。」

「よしゃ、なら早く行こうよ!」

 彼女の手を引こうとしたらお腹が微かになった。

「昼ご飯まだ食べてなかったんだ。」

「……うん。テスト訂正してた。…あるみんはテスト訂正は?」

 あるみんは少し考えて言った。

「数学があと少し…かなぁ。」

 今日返された数学があと少しか…。勉強出来るんだなぁあるみんも。








 教室に向かう時に、同じクラスの友達と合った。ソフト部の友達の坂井亮子ちゃん。茶髪のストレートの髪を二つ結び。小柄だけど目元がハッキリしていて存在感がある子だ。ソフト部の二年メンバーのリーダー的存在っぽい。

「昭葉じゃん。珍しいねその子といるの。」

「?亮子ちゃんあるみん知ってるの?」

 …あ、そういや同じ中学だっけ。…一年間だけだけど。

「久々に合ったわ。」

「…そうだね。」

 二人の様子を見るとそんなに仲良かった訳じゃないみたい。まぁ同じ中学だったのはあるみんがウチらが居た中学から転校した後の一年だけだしね。…にしてももっと友好的でも良くないかな?お二人さん。

「昭葉ぁ、あんた弁当食った?」

「まだだよぉ。だからお腹ペコペコ。」

「ウチらと食わない?…その子も。」

 亮子ちゃんがあるみんを見る。あるみんも亮子ちゃんを見据える。何か意味有り気なんだけど…。

「私もう食べたけど。」

「べついいじゃん?一緒行こ?ね?」

 弁当とってくるね、と言い残して、不安だけど二人を置いて行った。








 亮子ちゃんと向かったのは空き教室。そこにはソフト部のメンバーが三人、机を囲んで弁当を食べていた。

「あ、亜留美さん久しぶり。」

 始めに話し掛けたのは、ボブヘアーで小柄な梅宮美香。人懐っこい笑みを常に浮かべているような子。まぁ要するに良い子。

「久しぶりって…。まさか美香ちゃんも同じ中学な訳?」

「うん!てゆーかここに居るみんな同じ中学だよー。」

「あれ、昭葉知らなかった的な?」

 山崎縁ゆかりが箸を加えながら言う。長身で短髪の彼女は二年で数少ないソフト部のスタメンだ。…ま、あたしもだけどね。

「去年クラス違ったしねー。まじで久しぶりじゃん。」

 そう言ったのは柏木るか。カールのかかった髪を弄りながら上目遣いであるみんを見る。

 亮子ちゃんと比べてみんな友好的っぽい。まぁひとまず安心かな。あるみんを見ると、亮子ちゃんを見据えていた時と同じ、落ち着いた目。笑っているのに目が笑っていない。ホントどうした?









≫≫≫人物紹介


岡田昭葉おかだあきは


誕生日:3月6日

身長:158cm

部活:ソフトボール部


好き:妄想、BL、GL、ソフト、運動

嫌い:勉強、弱い奴


容姿等:眼鏡。黒髪のセミロングで、部活中は裸眼でポニーテール。視力はそこまで悪い訳ではない。



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