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22話…語りたく無かった過去の話②



「山本は居ないのか、珍しいな。学校も欠席した事ない奴が。橋本はまた欠席か。」

 先生の授業の初めに出席を確認で、亜留美がまだ戻ってきて居ない事に気がついた。

「おーい誰か知らないか?保健室か?保健室今日閉まってたよな?」

 誰も口々に知らないという。そう言えば用事に行った後見ていない。掃除にも来ていなかった。

「先生、良かったら探してきましょうか。」

「おぉ悪いな神崎。」

 案外すんなりといった。普段の行いのおかげだ。我ながら思う。

 亜留美は部活の用事と言っていたから部室を当たってみるか。

 音楽室の廊下まで来ると、何かぶつかったような物音がした。音楽室の隣の部室の扉は半開きで、近づくとそこから異臭がした。何の臭いかはすぐ分かった。俺の親が喫煙者だからだ。…ん、煙草?

「止めなさいって……っ!」

 亜留美の声だ。明らかに殴られた音と数人の男子の声。大体事情は読めた。

 扉を荒く開くと、数人の男子が驚いたように俺を見る。驚いたのは俺の方だ。吹奏楽部の男子数人と丸まった亜留美の背中踏みつけていた浩輔が居たからだ。

「よー仁。お前どうした?」

「黙ってろ浩輔。おいお前ら、つか二年も居るのか。部室で煙草ってどういう事になるかわかってるよな?」

 数えると三年部員が三人、二年部員が二人か。 集団で行ったものとして部活全体に処分が下されるに違いない。

「先輩…先生には…。」

 憔悴し懇願する二年。今はどうでも良い。睨みつけるとそいつは黙った。

「で、どうして亜留美がこんな目に合ってんだ?」

「山本先輩が注意しに来て…大分前から山本先輩にはバレてたみたいで…。」

 説明する二年を、三年の一人が蹴り飛ばした。

「山本がウザかっただけだよ!」

「先生には言わないから止めてーとか、正義ぶるのマジ勘弁!」

「仁もお前さー生徒会長だからって調子乗ってんじゃねぇよ。俺らに注意する資格とかねーだろ。」

 口々に言う三年。もうこいつら駄目だな。俺は一人の顔面を殴った。失神したかもしれない。

 亜留美も気を失っていて、楽器ケースが散らばってるあたり相当殴られたんだろう。

「生徒会長は殴る資格もあんのか!?」

 そう言った奴の鳩尾を蹴り、殴りかかってきたあと一人の三年を襟を掴んで締め上げた。

「生徒会長が…いい身分だな…。」

 さっきから生徒会長生徒会長とこいつらは…。

「知るか。生徒会長としてここに来てない。お前らなんかどうでも良いんだよ。迷惑かけないうちに退部しやがれ。」

「じゃあ…何で………殴…。」

「亜留美を助けに来た。勘違いするなよ。俺個人の問題だ。生徒会長として亜留美を助けたりするものか…!」

 手に力が入る。話すべき事ではない事も口に出してしまう。もう自分は加減が出来なくなっていた。

「何か悪い事したか?お前らも部活も守りたかっただけだろうが。」

「もうそれ位にしろ。」

 俺の手を止めたのは浩輔だった。俺は手を離すと、崩れ落ちたそいつを横目に、浩輔に向かい合った。

「何でここに居るんだ。部員でもないお前が。」

「仁に会いたかった。」

「……は?」

 浩輔は嬉しそうに笑っている。意味がさっぱり分からない。

「こいつらを煙草に巻き込んだの俺。山本に煙草の事教えたの俺。山本困らせたらお前来ないかなーと思ったけどマジで来るとはな!」

「何でこんな事をした…!?」

「お前さー亜留美亜留美ばっか。俺嫉妬してたの気付いてないだろ?さすがの仁もわかんなかったろ。」

 そう言うと肩を掴まれた。唖然とする俺を小柄な浩輔は体全体を使って押し倒した。顔を近づけ浩輔は言った。

「お前が好きなんだよ、仁。」

「俺だって…。」

「違う。お前が山本を好きなように俺はお前が好き。」

 理解するのに時間がかかった。こいつが胸にすがってきて、本気なんだと感じるしかなかった。

「なぁ俺だけを見ろよ。山本なんか見るなよ。死ねば良いよ。西中の奴と噂あんの知ってるだろ?ヤった噂もあるんだよ?あんな生意気なアバズレ好きかよ?」

 浩輔を退かしながら体を起こし壁によりかかるがまたしがみつかれる。俺を必死に見つめてくる浩輔。目が離せない。

「お前と初めて会った時、カツアゲされてる俺を助けてくれたよな。あの後も弱い俺をかばってくれたよな。お前は俺の全てなんだよ。なぁ大好きだよ。」

 腕はまとわりついて、顔が首にうずめられ、浩輔が嬉しそうに微笑んでいるのを感じた。いい奴だ、と思っていたいつもの浩輔はそこには居なかった。

「俺は…亜留美を信じてる。お前が何と言おうが俺は亜留美が好きだ。」

「仁…嘘だろそれ。」

「お前は…俺の大切な部活に、亜留美に、酷い事をしたお前は受け入れられない。」

 キッパリとそう言うと、浩輔は立ち上がった。千鳥足で扉の方へ向かう。帰ってくれるか、ほっとして亜留美の所へ向かおうとした時だった。

「やっぱり死ねばいい。」

「…………おい!」

 俺が止めるより早く、浩輔はトランペットのハードケースを掴むと、倒れている亜留美に投げつけた。

 そいつは亜留美の頭に命中し、角に当たってしまったのか、こめかみ近くから流血した。

「亜留美!」

「仁は俺のものだ。」

 浩輔はまた別のケースを掴むと、今度は自分の頭に打ちつけた。血を流し倒れる浩輔。俺が亜留美からどけたケースを持っていた丁度その時、いつの間にか居なくなっていた二年が外出していた吹奏楽部の顧問を連れて現れた。

「神崎先輩!?」

「何やってんですか先輩!?」

 しまった、そう思った時には遅く、明らかに俺が亜留美と浩輔を殴ったように見られていた。

「神崎!お前何やってんだ!これは…煙草!?お前まさか…!」

 後ろで倒れていた三年三人はが起き上がって、顧問の元へ駆け寄る。あぁこいつら俺が殴ったんだっけ。そう思った時には、騒ぎを聞きつけた何人かの先生に囲まれていた。








 連中の言い分が通ったのは言うまでもない。五人が黙って部室を使おうとしていたのを亜留美に注意され、丁度部室に居た俺と浩輔が煙草をやっていて、それを全員で止めようとしたら殴られた、という事だ。浩輔も俺を止めようとしたが殴られた、という事になっていた。

 俺は何も言わなかった

 浩輔が思いつめてここまでやったのも俺があいつの事を何もわかっていなかったからだ。俺は知らず知らず、浩輔を傷つけていたんだ。

 それに、五人が煙草を吸っていた、というなら部全体にまで処分が影響するが俺一人の行いで、しかも五人が被害者となれば俺が辞めるだけで吹奏楽部は何も処分を受けなくて済む。二年二人も反省しようとしてたしな。

 という訳で、俺は退部だけではなく、生徒会長も降り、信頼も友人も何もかも失ってしまった。







「私は何度も言ったんだよ。先生にもクラスのみんなにも。仁君は悪くない。だって、私失神してたみたいだけど途中少し意識があって、仁君が私を助けに来たって言って…。記憶無いけどそれだけは確かで、でもみんな私は騙されてるって。」

「もういい。もういいから。」

 必死に口走る亜留美をなだめる。「だってあんまりじゃん!困ってた時仁君に助けてもらった人まで…。私だって!どれだけ救われたか…。なのに何も出来ないの…?」

「信じてくれたらそれで良いさ。俺は。」

「私…転校するんだよ…。」

 途端、大粒の涙を流し始める。泣かせてしまったんだろうか。しまったな…。

「転校って…。」

「昨日の事件がバレて…もうこの学校には行くなって言われた。だから今日で最後。親に気付かれてさ。西中に転校。」

「そうか…はは…寂しいな…。」

 乾いた笑いしか出てこなかった。信じてくれる人が居なくなる。亜留美が…。

「西中では…変な嫌がらせとか無いといいな。」

「うん。」

「心配だな。俺も一緒に転校しようかな。」

「うん。」

 冗談でそう言うと、やっと笑ってくれた。やはり可愛い、なんて言えるわけがない。抱き寄せたい衝動を抑えると、両肩をポンと叩いた。

「元気でやれよ。」

「仁君は…?大丈夫なの?これからどうするの?」

「心配するな。信じていてくれからそれで良いって。俺がそうしたように。」

 亜留美が頷くと、手を離した。もう触れられない。会う事も出来ないかもしれない。

「ありがとう。」

「それ私が言う事だよ。」

「じゃあな。」

「またね。」

 亜留美と呼び出しを受けている俺は。ずっと居た屋上を去る。気持ちを言えなかったのが悔しい。でももう良いんだ。幸せになってくれればそれで。




浩輔ヤンデレになってしもたww


すいませんでした、


何か、仲間がやられる→神崎が助ける的にワンパターン化してきたのでどうにかせのばと思います、はい。


まあ世話焼きのお助けキャラなんだけども。


まぁこいつのターンも終わりですから…ああ面倒くさいキャラめ!


しかもこいつの過去はこれで終わりじゃないという…まぁ他の奴に重なるからそこでやります。


ああ面倒くさ(ry



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