表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中学受験 受験生の父親ブルース  作者: もう3分?
9/24

9 サンタテロ計画(中学受験話小休止)

 パー子10才のクリスマスイブ、椅子という壇上に登り、

家族を睥睨しながら高らかに、彼女が去年のクリスマス以来、1年越しに考えていたという計画を開陳した。

「私はサンタを捕まえて見せる」


「やめておけ」「世界が不幸になる」という声にも耳を貸さず、

彼女はその壇上から「サンタを捕まえるのが目的ではない」と我々を一喝する。

 「自分のプレゼントだけが目的なのではない。近所の子どもたちのプレゼントまで、収奪し手中にするのだ」

 強欲ここに極まれり。サンタの対応を見てみたいところだ。


 泣きながら止める3才下の弟ペーの懇願も聞かず、パー子は布団の上に籠城(?)した。

ペーは泣き疲れて寝たが、パー子の意気や軒高!


 と思いきや、次の瞬間、パー子は座ったまま寝ていた。


 翌朝、座ったまま起きると、昨夜の宣言を忘れたかのように、

サンタからのプレゼントに「これ私が欲しいってお願いしてたやつだ!」

「サンタ、やるやるとは聞いていたけど、ここまでやるとは」

などと手放しでサンタを讃えるのであった。


 さて、このパー子の噂を聞いたのか、それとも血筋なのか、いとこのヒー子はその数年後、クリスマス前に彼女もまた高らかに宣言したのである。

「サンタの正体を必ずや暴いてやる」と。

 ヒー子はパー子ほどヤワではなかった。なんと深夜になっても、目をらんらんと輝かし、サンタ捕縛作戦を決行したのである。

 その時、ヒー子齢10才。あの時のパー子と同い年だが、こちらは頭の出来が違った。昼間から「今夜に備えて」と登山家のように用意周到な睡眠計画を実行し、煙突などサンタの侵入経路が何もないことを確認しながら、部屋の隅に鎮座し、土俵正面からサンタの到来を待ったのである。


寝落ちしそうになりながらも10才、根性の徹夜。


 待つこと9時間。


 まんじりともせず夜は明けた。



 そして、その10才の年以降、ヒー子のもとに二度とサンタが来ることは無かった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ