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基本の薬草採取だったら、ダンジョンにわざわざ行くのではなく、町から出てすぐの森の方がいいだろう。
俺はさっさとマックスには独り立ちしてもらいたいから、今日の昼の3時間でさっさと教える事に決めた。
午前中は早速受けた依頼に行く。と聞いてもないのに言ってくる。
一応どんな依頼をやるのか依頼書を見てみたら、単なる荷運びだったから安心した。
朝食の片付けをしてマックスを追い出したら、すぐに店の開店時間になる。
暇だったから、カウンターで朝食の時に出来なかった薬草の記録をつける。
本当に予定を狂わせる踊れない
相変わらず客はまばらにしか入らず、暇だったから助かったけど。
昼を準備して(当たり前だがマックスの分は用意していない)一人で食べ終わった頃に、マックスがやってきた。
何でも早く終わった礼にと、依頼主が食事を御馳走してくれて、一食得したと笑っていた。
いくら貰ったのか確認したら、予想通り依頼金からかなり割り引かれていた。
確か見せて貰った依頼書には大銅貨10枚と書いてあったが、マックスが手にしているのは大銅貨5枚しかない。
随分と高い昼ごはんだったようだ。
俺だったら絶対に奢ってもらわないだろうが、喜んでいるようだから、黙っておいた。
この町に住んでいる住人にとって新人冒険者なんて、いいカモでしかない。
「ナルは昼ごはん食べたのか?」
「食べたに決まってるだろう」
喋りながら裏門にいる門番に冒険者カードを見せる。
一応町の範囲外になるからな。
各町には門番が立っている。外からの不審者と、魔物が入らないように警戒しているのだ。
一応町の外も領地だが、金が無いのか開拓もされずに放置されている。
いくらダンジョンのお陰で強い魔物がホイホイ現れなくなったと言っても、元から縄張りにしている魔物などは未だに現れる。
浅い所までだったら子供でも行けるが、奥の開拓の進んでいない方に行くにつれ、強力な魔物が出てくる事もある。
依頼書にあった薬草は低級ポーションの材料なので、奥まで行く必要はない。
「お、早速あったぞ」
マックスが持ってきたのは、シュロキ草に似ているただの草だ。
「これは違う」
「何でだよ、依頼書に出てたものと同じだぞ」
こいつの記憶力は、相変わらずクソのようだ。
「いいか、シュロキ草はもっと葉がギザギザしていて、裏に一本赤い葉脈がある。これはないだろう?」
「よく覚えてるな」
持ってきた草を裏返して丁寧に教えてやると関心された。
「ふざけてるのか、マックス」
学園の一年時に習った基礎中の基礎だろう。
毎回授業中に寝ていたこいつに言っても無駄だと思い、怒りを飲み込んだ。
マックスの記憶力は興味のない事に関しては、1日もてば褒めてやれるレベルだからな。
テストの前は毎回苦労させられた。
そういえばナルは薬屋だったもんな。と呑気にマックスは言ってから、また探しに行った。
探さなくても、俺の足元の茂みにも生えているんだが。
少し会わない間に頭だけではなく、目まで悪くなったんじゃないだろうか?
お、ラッキー、ウフ茸が生えてる。
これ旨いんだよな。
バターと一緒に焼いてパスタにしよう。
しかも密集して生えている。根こそぎとっていこう。どうせ他の奴に見つかったら無くなってしまうだろうし。
ウフ茸を採取して収納袋に入れていると、奥に行っていたマックスがをブーコを片手に戻ってきた。
「ナル、美味そうな魔物見つけたぞ」
「いや、薬草はどうした」
「忘れてた」
俺はため息をついた。
「解体しておくから、さっさと薬草を見つけてこい。三時になったら俺は帰るぞ」
ブーコは森に居るずんぐりむっくりした動きの遅い魔物だ。臆病で、人を見かけると穴を掘って逃げてしまう。たまに畑を荒らすので、増えると駆除の依頼が初心者向けに出されている。
味は独特の匂いはあるが、脂がのっていて美味い。
ウフ茸もゲットしたし、今日の夕食は豪華だな。
予備で持ってきた解体用のナイフで、ワクワクと解体する。
味オンチのマックスには微妙な所を渡して、旨い部分を確保しておこう。少しぐらい無くなっても気付かないだろうし、解体料だ。
思わぬ獲物に俺はワクワクしながら、とりあえず血抜きをする事にした。
それからも、マックスは何度がシュロキ草を持ってきたが、草自体が違うものだったり、茎を乱暴に千切ったのか、使い物になる部分が少ない物を持ってきたりして、ウンザリした。
俺が依頼主だったら、こんな状態のシュロキ草を何本持ってきても、絶対に買いとらない。
「大丈夫だ、遠目から見れば全く同じだ」
「駄目に決まってるだろ」
ギルドで採取の仕方を聞いていないのか?
マジ、ライブラリの本が実体化出来るのなら、こいつに見せてやりたい。
自分にしか使えないって、やっぱり不便な能力だな。
そうだ、面倒だから俺が採取しよう。
どうせ頭の栄養まで筋肉にいっているマックスが受ける依頼なんて、討伐系だろう。
次点で護衛依頼になるだろう。一応、元・騎士だしな。
採取の依頼は絶対に受けないように伝えればばれないだろう。
そうと決まったら、血抜きしたブーコをさっさと解体して、口裏を合わせて帰ろう。
この後も俺は忙しいのだ。
俺はナイフを手早く動かす。
銅貨 10円
大銅貨 100円
銀貨 1千円
金貨 1万円
白金貨 10万
お金に関して、上記で設定しています。