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 黒歴史の夢を見ていた俺が目を覚ました時には、ピクシー達が言った通りに、夜が来たのか辺りは真っ暗になっていた。

 と言っても真っ暗ではなく、ダンジョンの中なのに星が出ている。

 意味が分からない。

 目だけで周囲を確認すると、発光しているピクシーに照らされた、浮世離れした顔のイーサンが側に居た。

 普通だったら幻想的だと思うのかもしれないが、中身のせいで全くもって台無しだが。

 イーサンはピクシーに何かを聞いたのか、手元の手帳に何かを書き込んでいる。


「あ、起きたー」

「思ったよりも威力が強くなっちゃったのー」

「人間ってもろいからー」


 起きてすぐに騒がしく寄ってくるピクシー達を、八つ当たりした恥ずかしさもあって、手で追い払う。


「目が覚めたのか?結構な威力の電撃だったが、体は平気か?」


 電撃だったのか。

 いつの間にか意識を失っていたから、何事かと思った。

 起き上がってもふらつく事はなかったが、一応袋からポーションを取り出して一気に飲み干した。


「気絶して少しは頭が冷えたか?」

「ああ、ピクシー達も悪かったな」

「気にしないのさー」

「人間なんて怖くないからさー」


 どんなに小さくても数が集まれば脅威だという事だな。

 さすが伝説の生き物だ。


「ナル、何を焦っているか知らんが、お前はもうちょと人を頼る事を覚えた方がいい」


 そのいい草に腹が立った。

 そんな事は、親や権威に守られてる奴が言える言葉だ。

 何も持たない俺が何かに頼って、もし裏切られたら?

 弱みを握って脅されたら?

 そんなの困るだろう。


「分かっている。ナルは人一倍責任感も強いし、一人で何でも出来る。実際に卒業して誰も知り合いの居ない土地で、お前は立派に居場所を作った。そのおかげで私達もすんなりと町の人に受け入れられた。知っているか?あのシビルですら、お前は真面目すぎて可愛げがないと、褒めていたのだぞ」


 それは褒められているのか?

 それに、お前らは絶対に受け入れられてないと思う。

 絶対に手綱を離してほしくなくて、言ってるだけだろ。


「それに、一人で何もかもしようとするのは、傲慢だと思わないか?この天才の私ですらたまに女に癒しを求めてしまうのだ。凡人であるお前だって少しぐらい甘えたって、罰が当たる訳ないだろう」


 思っても見なかった言葉を言われ、言葉が止まる。


「……俺って傲慢か?」

「ある意味な。頼らないという事は信用していないと同義だからな」


 だからメリッサは怒ったのか。

 仕事を手伝ったりして、俺が頼って。褒められたかったのか。


「子供の扱いって難しいな」

「私達だってこの町の人間からしたら、まだ子供だろう?」


 確かにセオドアさんも俺の頭をメリッサと同じ様に良く撫でていた。

 まだ21だ。

 ダックウィードの町の平均年齢は40ぐらいだろう。

 年寄りが多い町だからな。


「それに、この町の人間の大人かの基準は、子供が居るかどうからしいからな。モテないナルはずっと子供扱いされるぞ」


 余計なお世話だ。

 

「そういえば、マックスは?」

「その辺をピクシー達に案内してもらっているみたいだ」


 イーサンが指さした方がぼんやりと光っている。

 遠くからでもどこに居るかすぐに分かるな。


「さて、漸くナルが起きてくれた。腹が減ってたんだ。さっさと飯を作れ」


 ずっと待っていたのか。

 俺はカバンから調理器具を取り出し、ついでに火を起していい場所をピクシーに聞いた。

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