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彼女の世界 2 ・ 彼の世界 2
<彼女の世界 2>
ガチャンと電話を切ると また降りしきる雨の音しか聞こえなくなる
そのまま道路沿いの街灯の下へ移動した
もともと人気のない通りで ましてや雨の夜
目の前の道路を過ぎ行く車すらいない
誰も私のことを気にも留めない
そんな事を思ったら思わず泣きそうになって 慌てて深呼吸した
まだ 泣かないって決めてるから
雨は止む気配もない
君はホントに 来てくれるだろうか
<彼の世界 2>
僕と君は 特にどうといった仲でもない
単なる知り合い 単なる友達
だけど 君が救いの手を求めた相手は 僕だった
降りしきる雨の中 僕は車を飛ばす
やがて人気のない街灯の下で 君を見つけた
ずぶ濡れの君は 今にも泣きそうな顔をして俯いていた
慌てて車を止めて外に出る 冷たい雨が僕を濡らした
君がこちらに気付き 顔を上げる
僕のことを確認した 次の瞬間
君はにっこりと笑った
「ホントに来るとは思わなかったなぁ 案外、お人好しなんだね?」
ひどく明るい声で そう言った
僕は呆気に取られて 思わず足を止めてしまった