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眩しすぎる世界  作者: 瀬河 柊
1/8

彼女の世界 1 ・ 彼の世界 1


<彼女の世界 1>

雨が降り続いている

こんな夜に傘も差さず歩いている私は 不審者に見えるかもしれない

でも別に構わなかった 誰にどう思われようと もうどうでもいい


しばらく歩いてすっかりずぶ濡れになった頃

ようやく私は目当てのものを見つけた

公衆電話

ケータイの普及ですっかり減ってしまったけど


冷えた震える指で ゆっくりとダイヤルを押す

もう記憶より 指先で覚えている君の番号

雨音より近く 呼び出し音が鳴っている

そして 君の声が聞こえた


<彼の世界 1>

携帯電話が 公衆電話からの着信を告げる

「もしもし?」

怪訝そうに電話に出ると しばしの無言の後 小さな声がした


「…ねぇ、もうヤダ 死にたい…」


震えるか細い声が 一瞬 誰のものか分からなかった


「っ…今ドコっ?!」

君の声だと分かり 慌てて尋ねると

弱々しい声で居場所を呟き プツンと電話は切れた


僕は何も持たず 急いで家を飛び出した



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