漫才『好きな人ができた』
※【ゲラゲラコンテスト2】参加作品
二人「はいどーも」
ボケ「突然なんだけど、実は好きな人ができたんだよね」
ツッコミ「おっと唐突だね。でもいいじゃん。全然応援するよ」
ボケ「ありがとう。やっぱりお前は優しいな」
ツッコミ「いやいや相方なんだし、別に普通だって」
ボケ「いやお前は優しいよ」
ツッコミ「いややめてよ。普段そんなこと言わないじゃん。念のため言っておくけど、お金なら貸さないからね」
ボケ「あはは! 今日もツッコミが冴えてるなあ」
ツッコミ「今のはツッコミのつもりじゃなかったけどね。いやそんなことより君が好きになった人ってどんな子なの?」
ボケ「強いて言うなら俺のことを誰よりも理解してくれてるというか…」
ツッコミ「なるほどね。なかなか良さそうな子じゃん」
ボケ「それでいて、いつ何時でも俺のそばで俺を支えてくれるんだ」
ツッコミ「ほー、すごいな。君にそんな子がいるなんて知らなかったよ」
ボケ「あと、ここが本当に好きなポイントなんだけど。ずっと俺が一番面白いって思ってくれてるところが何よりも好きなんだ」
ツッコミ「ん? ……ちょっと質問なんだけど、その人って僕も知ってる人だったりする?」
ボケ「そりゃ知ってるに決まってるよ。むしろ誰よりも知ってると言っても過言ではないんじゃないかな」
ツッコミ「……あー、なんだろう。なんか凄く嫌な予感してきた。帰っていいかな?」
ボケ「いや駄目だよ。お前には相談に乗ってほしいんだから」
ツッコミ「え、嫌です嫌です。今から歯医者の予約あるんで帰らせてください」
ボケ「そんな取ってつけたような理由で逃げれると思うなよ」
ツッコミ「いやこんなん新手の拷問じゃない?」
ボケ「拷問?」
ツッコミ「……別になんでもないよ。あー、やめといたほうがいいと思うよその子。多分めちゃくちゃ性格悪いよ。うん絶対に性格悪いと思う」
ボケ「俺はそうは思わないけどな。誰よりも俺のことを考えてくれてる優しい人だと思ってる」
ツッコミ「おえー!」
ボケ「どうした!?」
ツッコミ「やめてくれ! もうやめてくれ! このままだと舞台上でゲロまきちらすことになるぞ」
ボケ「んな大袈裟な…。で、ズバリその好きな人っていうのは…」
ツッコミ「え、言うの!?」
ボケ「え、言っちゃ駄目なの?」
ツッコミ「駄目とかじゃないけど、僕に相談するんでしょ?」
ボケ「まあそうだけど。それが?」
ツッコミ「……いや、君がそれでいいなら言ってみていいけど…。あー、うん! 僕も男だ。いい加減覚悟を決めるよ」
ボケ「はあ…、まあじゃあ驚かないで聞いてくれよ。俺の好きな人って言うのは…」
ツッコミ「うん(ゴクリ)」
ボケ「……俺なんだよね」
ツッコミ「え?」
ボケ「え?」
ツッコミ「あー、駄目だ。ちょっと頭が混乱する。詳しく説明してもらえない?」
ボケ「だからさっきから言ってるじゃん。誰よりも俺を理解してて、俺のことが一番面白いって思ってる人だって。俺さ、自分がこの世で一番面白いと思ってるからね」
ツッコミ「ただの糞痛いナルシストでした! いや紛らわしい言い方やめてもらえるかな!? マジで寿命が何年か縮んだんだけど」
ボケ「え? 紛らわしいってどういうこと?」
ツッコミ「いや、もういい。それに関してはもう触れないでくれる? ちょっと意識した自分を本気で絞め殺したいと思ってるから」
ボケ「ああそう。で、どうしたらいいと思う?」
ツッコミ「いやもう勝手にしてくんない?」
ボケ「そうは言ってもさ。好きで好きでたまらないんだよ」
ツッコミ「本当に何言ってんの? さっきとは違う角度でめちゃくちゃヤバイ人だよ」
ボケ「だからさ、今日は自分で自分にラブレター書いてきたんだよね」(手紙を広げる)
ツッコミ「あーもう、気が触れてるねー」
ボケ「拝啓、めちゃくちゃ面白い自分へ」
ツッコミ「よく堂々と立ってられるよね」
ボケ「あなたのことですから、今日も爆笑をとっていることだと思います。その調子です」
ツッコミ「めちゃくちゃ腹立つな」
ボケ「ここでおもしろ俳句を一句考えました」
ツッコミ「そのメンタルだけは評価するよ」
ボケ「うんこマン、ああうんこマン、うんこマン。これでお客さんは大爆笑間違いなしでしょう」
ツッコミ「客を舐めるなよ! あとで絶対に硬いもので殴るから覚悟しとけ」
ボケ「以上です。どうだった?」
ツッコミ「え、それで終わり? いやどうしたもこうしたもないよ。ただ言えるのは、お客さんも僕もすごく時間を無駄にしたということだけだよ」
ボケ「もうそんなに褒めないでよー」
ツッコミ「耳どうなってるの!? もういいよ!」
二人「どうもありがとうございましたー」