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俺、神様になります  作者: 昼神誠
混沌の世界へようこそ
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この解呪はどこかおかしい10

 それにしても盗聴器とは、愛輝はそんなものどこに持っていたんだ?

 勇者や使徒が一斉に揃うなら何らかの情報が得られるかもしれない。

 ホークの話が正しければ、あいつらはあいつらで世界を救おうとしているみたいだし、見極める必要がある。

 ……でも男は救わないってのはいただけないけどな。


「おっ、繋がったでござる」


 スマホから誰かの声が聞こえる。


「ホーク、遅かったな」

「失礼しましたですの……それより何の用ですこと? 私は研究で忙しいですのよ」

「バカタレ! 勇者殿から重大な発表があるのじゃ。勇者様へ勤勉に励むのが儂らの使命じゃろ」


 これはスリードか?

 ルーシィさんが言っていたように勇者に盲目的に従っているみたいだな。

 

「……ラグナはどうした?」

「あやつは何をやっておるんじゃ。留守番もまともにできんのか?」

「ラグナは来ないですわ」

「なんじゃと……どういう事じゃ?」

「おそらく、レジスタンスにやられたのでしょうね。私が見つけたときにはすでに息尽きていましたわ」


 ホークがうまく誤魔化してくれているようだ。

 この様子じゃ、約束は守ってくれそうだな。


「あのラグナが……やられた? 勇者殿、どうやらレジスタンスも脅威と見なさなければいけないようですね」

「ふむ……それは後にしよう」


 コッコッコッ


 音声だけだから、何をしようとしているのかわからないな。

 誰かの足音……離れて行っているようだな。


「勇者殿から話が始まるぞい」

「……我々は一人の英雄を失った! しかし、これは敗北を意味するのか!? 否! これは始まりなのだ!」


 ちょっとまてぇぇぇい!

 あの名演説っぽくなっている!?

 

「リュージ殿……衝撃の事実でござるな。まさか、勇者がギ〇ンとは……」


 いやいや、違うよ!

 愛も情けも必要無い人に似ているけど、決して本人たちじゃないからね!


「諸君が愛してくれた救恤の使徒マイケル・オールダムが死んだ……なぜだ!」


 ずっと聞いているが、もろパクリじゃねぇか。

 作者さん、あなたぁ……またやりましたね?

 え、これはオマージュでありパロディでもある?

 そう言えば許される世の中じゃないでしょ!

 

「我々は今、この怒りを結集し、魔王軍に叩きつけて、はじめて真の勝利を得ることができる!」


 なるほど、奴らが結集したのは救恤の使徒が死んだことを知らせるためか。

 しかも、魔王軍の仕業だと誤解している。

 これって……ついに勇者軍が魔界へ進軍をするのか?

 ホークの言っていた、スライム問題はどうするんだ?


「今、勇者殿がおっしゃったことは真実じゃ! 儂らは魔王軍を駆逐せねばいかん! じゃが、お主等も知っているように謎のスライム大発生問題もある! そこでじゃ、アルス大陸の問題を片付ける部隊とグランディール大陸に攻撃を仕掛ける部隊を分けることにする! 攻撃部隊は明朝0600に南門に集結じゃ!」

「「おっしゃぁぁぁ! 戦争だぜぇ!」」

「「ヒャッハ―!!!」」


 さすが、ならず者共だ。

 戦争が始まるってのに滅茶苦茶、喜んでるじゃねぇか。


「ホークよ、ラグナはどこで息絶えたのだ?」

「ゆ……勇者様、失礼いたしました。ご報告が遅れてしまい申し訳ありません。ラグナですが……研究所にて死亡しました」

「そうか……バッグベアのリペアでも間に合わなんだか……惜しい人物をまた一人、失ったか。相手は誰だ?」

「おそらく、レジスタンスかと……詳細はわかっておりません」

「バッグベア」

「はい……ここに」

「リペアをもう一度、試してやれぬか?」

「……やってみましょう。ホーク、ラグナは研究所のどこに?」

「地下研究所の通路ですわ。あ……最奥は今、培養槽が稼働しているので立ち入り禁止ですわ」

「ふむ……なら、行って来よう」


 げっ……この近くまで新たな使徒が来る?

 ホークがこの部屋は立ち入り禁止と伝えてくれたが……大丈夫だよな?


「ホーク、お前にはスライム対策部隊を任せるつもりだ。お前のおかげで呪術を解かれたディーテも残す」

「ディーテを!? 魔王軍相手には彼女の力が必要なのでは!?」


 ディーテ、それが呪術にかかって眠っていた奴なのか?

 しかし、やはりホークが目覚ましたんだな。


「魔界で用事が片付いた後、帰る故郷が無くなっては困るからな。お前はディーテの復活を最後まで拒んでいたが、これは命令だ。仲良くやってくれ」

「りょ……了解しましたわ。私は研究があるのでこれで……」

「うむ」


 ホークがロビーから離れたようだ。

 しかし、マズいことになったな。

 戦争が始まる……のか?

 ルーシィさん、どうやらこいつらを止めて戦争を食い止めるという話……間に合いそうにもなさそうです。


「ふむ、どうやら戦争が始まりそうな感じでござるな」

「始まりそうじゃないんだよ。始まるんだ……くそっ、なんとか阻止できればいいんだが」

「スライムは……どうするの?」

「それなんだよな。大量発生と聞いたが、どうも実感が無いんだ」

「スライムは強敵……たぶん、あたしでも倒しきれない」


 それはわかってる。

 以前、温泉街で欽治とスライムの戦いを見たがスライムの最大の脅威は再生力だ。

 あればかりは力でどうにかできそうもないんだよな。

 しかも、大量にいるとなるとさらに厄介だ。


「いろいろと手詰まりになりそうでござるな……」


 コッコッコッ


 足音……ホークが戻ってくるには早すぎる。

 まさかバッグベアという奴か?

 立ち入り禁止だとホークが伝えたはずだぞ。


「ステルスをかけるが万が一のためにそこのロッカーに隠れるぞ」

「ひぃぃ……くわばらくわばら」

「ん……わかった」


 こんな隠れかたで見つからないなら良いのだが……。

 近くにある研究員のロッカーに身を隠す。

 こんな所に入るのは、小学生のときの掃除用具入れ以来だな。

 かくれんぼで意外と見つからない場所なんだよな……臭かったけど。

 良い子のみんなは真似しちゃダメだよ、俺が子どものときの話だかんね。


 コッコッコッ


 トンネルのせいで音が響き渡るが、かなり近付いて来ている。

 やっぱり、ここに来るつもりなんだ……バッグベアという奴じゃないことを祈りたい。

 

「ラグナよ……お前ほどの使い手がここまで酷い目にされるとは」


 や……やっぱり来た!

 しかも、ラグナを連れて。

 そう言えば、ナデシコの死酷の型でトドメは刺していないから生きてはいるのか?

 

「リペアもあまり使いたくないのでな。勇者殿には悪いが……ここで少しでも早く再生することを願うばかりだ」


 ボチャン


 培養槽にラグナを入れた。

 まさか、あいつもあんなので治ったりするのか?

 見た目からして、しぶとそうな感じだし。

 バッグベアも勇者の命令を無視して能力を使わないなんて、あの能力にも制限が何かあったりするのか……それとも、傷が酷すぎると再生は無理なのか?

 ま、すぐに治らないだけでも助かるか。

 バッグベアが去った後に、ラグナが入ってる培養槽の電源を切れば溺れて死ぬだけだ。

 えっ……相変わらず、ずる賢い?

 

「さっきの沈下で一度、死んだか……運の無い奴だ。いや、俺の能力不足が原因か」


 用事が済んだなら、さっさと退散して欲しいものだが。

 ラグナの入っている培養槽前で何やらわけのわからないことをつぶやいている。

 

「こいつらが新たなモルモットか……ほう、こんな幼子まで。パティと年もあまり変わらんじゃ無いのか?」


 ユーナと雪が入っている培養槽を見ている。

 

「ほう……この幼子、異世界人か。こっちの少女は神族? いや、少し違うな」


 半神ですよ。

 どうでもいいから早くどこかへ言ってくれ。


「ここまで来たついでだ。ホークの手伝いをしておいてやるか……クローン生成を開始して……」


 何だって――!

 余計な事してんじゃねぇぇぇ!

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