表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、神様になります  作者: 昼神誠
混沌の世界へようこそ
82/592

この解呪はどこかおかしい8

 ダリアのことを心配するのはいいんだが、あまりにも考え無しすぎる。

 今、俺たちはユーナの考えなしのテレポートのせいで研究所のトンネル前にいる。

 この馬鹿が人の話を聞かずに勝手に発動したためだ。

 そして、今……。


「くくく、あれほどの傷が一瞬に治るとはな。いったい、どうやったのかねぇ? それと……くくく、まさかお前らまでノコノコと戻ってきていたとはな。ちょうど良い……以前のように逃しはせぬぞ」


 最大のピンチに陥っていた。

 跳んだ先にラグナがいるってちょっと考えたらわかるだろ!

 ラグナがナデシコにやられたのがトンネルを入ってすぐのところなんだから、そりゃいるでしょ!

 せめて、トンネルからもっと離れた場所に飛べよ!

 しかし、ラグナは何を言っているんだ?

 ……自分が蘇ったことに気付いていないのか?


「まったく、バッグベアがいてくれてよかったですわ。ラグナ、貴方は一度死にましたわ。油断せずにその失敗作を処分しちゃってくださいな」

「俺が死んだ? ……馬鹿も大概にして言え」


 ひぃぃぃ、後ろからホークまでやって来た。

 手になにか持っている……何だ、あの気味の悪い玉は?

 どちらにしても最悪だ……ユーナ、責任取って何とかしろ!


「こ……これはマズいわね……」


 そのマズイ状況にやったのはお前だろうがァァァ!


「ん……ユーナ姉と雪はあたしが守るから大丈夫」


 ねぇ、俺は?

 俺も貴女様のペットだから守ってもらえますよね!?

 

「吾輩が白衣の女性を相手にするでござるよ。ナデシコ殿は……」

「あんた、勝手に喋ったから500ゼニカね」

「りょ……了解でござる……リュージ殿ぉ、少々お金を……」


 ナデシコは頼りになりそうだが……ホーク相手に愛輝って通用するのか?

 女相手でも容赦しない愛輝でも倒せると良いんだが、ホークの闘ったところを見たことが無いんだよな。

 そもそもホークは戦闘タイプなのか……そうじゃないことを祈りたいな。


「さて、そこの金髪の子と幼い子……どちらも最高ですわぁ。今すぐにでも量産を……ウフフフ」

「100%を超えた100%も久しぶりに出してみるのも良いかもねぇ」


 両側からメッチャ熱い視線を感じるんですけど……これは殺意ですよね?

 もうアカン!

 ナデシコ、お前だけが頼みの綱だ!


「ど……どうしよう? リュージ」

「だからァァァ、お前が考え無しに突っ込むからだろうガァァ!」

「あたしが……何とかする」

「さすがにダリア嬢の心を持っているだけあって慈愛に溢れているでござるな」

「あんたはまた喋ったから1000ゼニカ払って……」

「くぅ、仕方ないでござる!」

「さぁ、楽しませてもらおう! ニンギョォォォォ!」


 ゴゥ!


 ラグナが力を貯めている。

 すでに100%なのに、何で力を貯めているんだ?

 ナデシコが雪を俺に預け、前に出る。

 頼むぞ……ナデシコ。


「ハァァァ! 100%中の……」


 あっ、終わった……まさか、それあるの!?

 本気も本気じゃん!

 作者さんももろパクリはヤバいでしょう!

 せめて120%にしときなさいって!


「急襲の型……」


 ナデシコが姿勢を低くし、居合の構えを取る。

 あれは……どういう技だ?

 

「100%ォォォ!」

「大痛剣!」


 ガキィィィン!

 ブワッ!


 お互いがぶつかり凄まじい気迫で空気が大きく振動する。

 ナデシコが相手の懐に飛び込んでからの一閃をラグナが左腕でガードする。

 まさか、刀傷も受け付けないってどれだけ硬いんだ?


 ヒュッ


 ナデシコが消えた。

 

「そこだぁぁぁ!」

「くっ……以前と……違う?」


 ドゥン!

 バリ――ン!


 ラグナの右ストレートをまともに受け、培養槽に激突するナデシコ。

 

「ナデシコ! ちょっと、あんた! 私の妹に何するのよ!」

「おい、奴を刺激するな! それにナデシコがあれくらいでやられるわけないだろ」


 ガラッ


「くくく、貴様の空間移動も油断しなければどうということは無い」

「痛い……それにさっきより強くなってる? ……なんで?」

「以前はただの人形と思い油断していただけだ……これは俺も反省したよ。久しぶりに強者に出会ったことで闘いの快感を思い出せたよ……いかなる相手でも最初から全開で戦うことが礼儀だとな。お前のおかげだ……感謝しよう」


 そんなつまらないことで感謝しなくてもいいですから!


「……そう……全力……。あたしも出してみようかな?」


 ナデシコもまだ本気じゃなかったのか?

 これは……どっちが勝つかわからなくなってきたな。


「ほう……嬉しいねぇ。まだ、本気じゃないとはな。お前に変えてば、俺はさらなる高みに行けそうだねぇ」

「パパからの教えで……これは使ってはいけないって……だから、避けてね」

「ほう……それは避けるなと言うことでいいのかね?」

「ん……違う……絶対に避けて……」

「くくく……あーはっはっは! 面白いねぇ! 良いだろう、全力で受け止めることでお前の力より上であることを証明してみせよう!」

「そう……どうなっても知らないよ……秘伝……死酷の型……」


 カチャ


 四国だとっ……初めて見る技だ。

 それに、秘伝だと?

 欽治が以前言っていたが奥義を授かるために、父親の下で再度修行をしたいって言っていたが……奥義と秘伝は違うのか?

 ナデシコは太刀を鞘に収め、何の構えもなく立っているだけだ。

 

「ん……どうした? 棒立ちなど……まさか、秘伝とやらもハッタリだったか?」

「……」


 そうだぞ、ナデシコ!

 どうして、構えを取らない。

 それとも、それが四国の構えなのか?


「くくく……そうか。久しぶりに本気とやり合える奴と出会えたと思ったのだがな……残念だよ。実に……残念だぁぁぁ!」


 ブォ!


 ラグナがナデシコに向かって走り出す。

 まだ、何もせず立ち続けているだけのナデシコ。

 

「はっはぁ! 覚悟は決まったか……南無阿弥陀仏!」


 ラグナが走りの勢いをつけたまま、拳を大きく突き出す。


 グォ!


 ラグナの左ストレートが決まったと思った瞬間。

 

「む……また空間移動か!? いや、違う!」


 ナデシコが姿勢を低くしラグナの懐に背中からぶつかる。

 あの動きって……鉄山靠?

 いや、鞘の先端がラグナの腹部にめり込んでいる。


 ドゴッ!


「其の壱……渦牙輪剣」

「ぐ……ぐばぁ!」


 さらにそこから太刀を抜き、大きく一回転する。

 まるで鳴門の大渦潮みたいだ。


 シュバッ!


「其の弐……特死魔剣」

「うごわァァァ!」


 ラグナの脛から下が真っ二つに……?

 まだ、続くのか。

 大きく一回転した後、そのまま太刀を上に切り上げる。


 ザンッ!


「其の参……江悲雌剣」

「ヌォォォォ!」


 ラグナの右腕が肩から切り落とされる。

 いつの間に両手持ちに切り替えていたんだ?

 早すぎる……。


 ドサッ


「ぐぉぉぉ!」


 ラグナの両足が切断されたため、ラグナは立つことができず左手を大きく突き出したまま、倒れてしまう。

 ここまででラグナは左腕以外の四肢を失ったことになる。

 死酷の型ってまさか四肢全てを切り落とすのか?

 恐ろしいというより酷い技だな。


 ダンッ!


「其の肆……鋼血剣」


 ドシュッ!


「ぬぐわぁぁぁ!」


 ナデシコは上に大きく振り上げたまま飛び上がり、倒れたラグナにめがけて太刀を大きく振り落とす。

 狙い場所はもちろん左腕だ。

 腕を狙わず、とどめを刺してやれよ……殺さずに苦痛を与えるつもりか?

 ラグナの左腕が胴体から切り落とされる。


「死より酷いのがこの秘伝……だから……殺しはしない……死にたい?」


 ひ……ひでぇぇぇ。

 あんな状態なんだから安らかに眠らせてやれよ。

 確かに死酷……だな。


「お、おのれぇぇぇ……覚えていろ! お前は絶対にぶっ殺す! おい、ホーク! そこで呆けてないでお前の得意の魔法でさっさと俺を治療しやがれ!」

「え、ええ……ヒー……」


 ギュン!

 カチャ


「死酷の型は30分ほど苦痛を味わってもらう秘伝……治療などさせない」

「ひっ!」

「安心して……30分後にトドメを刺してあげるから」


 ホークの首筋に刃を向け、脅すナデシコ。

 ラグナを放置させるつもりか……ますます、ひでぇ。

 それにヒールなんて、普通の回復魔法でどうにかなる傷じゃないだろ。

 せいぜい痛みが少し和らぐ程度だ。

 痛みを和らげるのもさせないってわけか。

 それにしても、ホークは他の使徒より弱いのかも。

 いや、弱いというか頭脳派といったほうが良いのか。


「ユーナ、今ならホークを連れ去ることができるんじゃないのか?」

「そ……そうね」


 ユーナもあんな酷い目に遭わされているラグナに同情してしまっているのか?


「ら……ラグナ、ごめんなさい。助けてあげられない……」

「く…くそ……い、意識が……」


 ドスッ!


「ヌォォォ!」

「安心して……意識も飛ばさせないから……」


 ナデシコがラグナのふとももに太刀を突き刺す。

 これは……もう……見てられんぞ。


「ユーナ!」

「わかってるって……フリーズコフィン!」


 カチン!


 ホークの全身が一瞬に凍てつく。

 思った以上に簡単に捕らえることができたな。

 ここまでの道のりはいろいろとカオスだったが。

 というか、躊躇なくホークを凍らせるってユーナもやることえげつないな。


「任務完了?」

「ええ。ナデシコ、貴女凄いわ! リュージの何千倍も頼りになるわ!」

「ほんと……ユーナ姉に喜んでくれて……嬉しい」


 役立たずで悪かったな。

 ナデシコもユーナに褒められて頬を赤くしているし、ちくしょう可愛いぜ。


「いやぁ、危なかったでござるな。むむ……リュージ殿!」


 愛輝が俺の真横に来る。

 やめろよ、暑苦しいし。


「雪殿……大丈夫でござるか?」

「うん? 雪ちゃんなら背中でぐっすり寝ているだろ?」

「いや、息をしてないでござるが……」


 な……なんだってぇぇぇ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ