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俺、神様になります  作者: 昼神誠
混沌の世界へようこそ
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この解呪はどこかおかしい4

 ダリアのホムンクルスを持って帰るつもりか?

 愛輝のことだし、欽治のように暴走したりはしないだろう。

 だが、愛輝……熱烈なファンだけであることを装っていたが、やはりダリアをそういう目で見ていたんだな?

 とにかく、ここから先は一層、慎重に進むべきだろう。


「黒子の様子はどうだ?」

「何とか……ふぅ、これで大丈夫よ」


 ユーナにエリクサーを渡し、MPを回復させる。

 なんだかんだ言って、こいつも優しいんだよな。

 黒子も助けてくれたし、ダリアのことも助けたい一心でここに来たしな。


「よし、黒子はここでやすませておいて、先に進もう」

「合点承知の助でござる!」


 愛輝は張り切りすぎだな、注意深く見ておかないと暴走はしないと思いたいが。

 雪は愛輝の背中でぐっすり眠っている。

 うん、相変わらず滝のような涎の垂らしかただ。


 ごくごくごくごくご……


 もう、変態は結構です!

 せめて、もう少しの間はシリアス路線で行かせてください!

 とにかく、黒子を置いて奥に進む。

 気を失っている状態で一緒に連れて行くとかえって足手まといになるからだ。

 黒子の亡骸だらけの中、ダリアが捕らえられていた培養槽のところまで来た。

 まだ、ここにも黒子の亡骸が大量に……。

 そういえば、このホムンクルスはすでに1000体以上は活動していたんだよな。

 今まで見てきた数で約半分ほどって感じか。

 500人の黒子を相手にどんなバケモノがいるんだ?

 エラーとさっきの黒子は言ってたが、それが暴走してやったのか?

 創造主のホークもやられたりしてそうだな。

 そうなら、適当なならず者をかっさらって、ダリア復活の生贄になってもらうしか無いよな。

 あれ……どっちが悪役なんだ、これって?


「リュージ、まだ奥に続いてそうよ」


 培養槽の奥に扉があり、開けてみると通路がまだ続いている。

 この先はまだ未踏の地だな。

 以前はここより先に行く必要性も無かったし。

 

「真っ暗でござるな?」

「電灯は設置されているし、なにかの影響で停電になっているんだろうな」


 闇夜より暗く、まったく奥が見えない。

 懐中電灯でもあれば良いんだが……。


「吾輩のペンライトが役に立ちそうでござるな」

「そういえば、持っていたな。すまん、助かる」

「さすが、私の眷属ね。でかしたわ、愛輝」


 いつの間に愛輝まで眷属になったんだ?

 いや、そんなことはどうでもいい。

 愛輝がペンライトを点ける。

 よりにもよって緑色のライトとは……不気味さが際立つぞ。

 だが、周りには何もない。

 トンネルのような上下左右が全てコンクリートで固められた一本道だ。


「まるでホラー映画みたいでござるな、はっはっは」

「笑ってる場合じゃないぞ。……慎重にな」

「でも、リュージ。ライトを点けていたらステルスの効果は意味無いでしょ? この際だから突撃しちゃいましょ!」


 なんで、そんなに突撃したいんだ!

 だが、確かにそうなんだよな。

 ライトのせいで自分の居場所を知らせているようなものだし……かと言って、消すと見えないし。

 ……やっぱり、帰るか?


 ザッザッザッ


 足音が奥から聞こえる。

 こっちに向かってきているのか?


「愛輝、ライトを消せ」

「承知したでござる」

「足音ぐらいで、相変わらずチキンね」

「お前は静かにしろ」

「ちょっ……むぐ……むぐぐ!」


 ユーナの口を塞ぎ、俺も息を殺す。

 

 ザッザッ


 近付いてきている……何者だ?

 黒子が言っていたエラー状態のホムンクルスならヤバいよな。

 とても、勝ち目はないぞ。

 俺は小声でユーナに指示する。


「ユーナ、もしものときのためにテレポートの準備をしておけ。黒子たちをやった奴なら勝ち目は無い」


 コクッ


 ユーナは潔く首を縦に振ってくれた。

 それにしても、このトンネルはかなり長そうだな。

 足音がかなり響くため、正確な距離がつかみづらい。


「は……放しなさい! 私を誰だと思っているんですの!?」


 この声は……聞き覚えがある。

 白衣の女性……ホークの声だ。

 まさか、捕まっている?


「どこへ連れて行くんですの……放しなさい! これは命令ですことよ!」


 ザッザッザッ


 かなり近付いて来ている。

 俺もだが、ユーナや愛輝も足跡のするほうを凝視している。

 

 パッ


「電気が?」

「おそらく非常電源なるものがあるんでござろう」


 このタイミングでかよ?

 すぐに全員にステルスをかける。

 明かりのおかげで薄暗いが奥まで見える。

 300mほど前に長い髪を何者かに掴まれた白衣の女性がいる。

 このホムンクルスは……ダリアにも欽治にも見える?

 なんだ、こいつは?

 2人をかけ合わせたような姿をしている。

 さっきの黒子が言った合わせってこれのことか!?

 それなら、こいつがエラーを起こしている?

 創造主のホークを乱暴に掴んでいるし、そうなんだろう。


 ガッガッガッ


 奥からまだ何者かが来る?

 ホークの救援か?

 

「ホーク! 慈愛の使徒の分際でこの不始末、どうするつもりだ!?」


 ラグナ!?

 マズいぞ、なんでこんな所にいるんだよ!

 ダメだ、ユーナにすぐにでもテレポートを使ってもらわないと……。

 

「ラグナ……は、早く私を助けるんですの! 後で責任はしっかり取りますわ!」

「ほう……貴様か? この騒ぎを起こした張本人は?」

「……」


 ホムンクルスとラグナが睨み合う。

 

「ラグナ、気を付けるんですの……こいつは!」


 ヒュン


 消えた!!?

 まさか、ダリアの能力を受け継いでいるのか!?

 

 グサッ


「!?」


 ラグナの背後から太刀で心臓を一突きだった。


「ごはっ……な……ん、だとっ!?」


 急所は外れたのか……?

 どちらにしても最悪な状況だ。

 

「……」

「くくく、こいつは面白い。ホーク……こいつは殺ってしまっていいんだろうな?」

「きょ、許可しますわ! 早く、助けるんですの!」


 どエラい場面に出くわしてしまったぞ。

 ラグナも俺たちには気付いていないみたいだが、どっちがやられても俺たちの脅威が残るわけだ。


「ハァァァ! 50%ォォォ!」


 50、半分の力かよ!?

 いきなり、本気でかかるのかと思ったが違うのか。


「……」

「無口な野郎だ。だが……こいつは楽しめそうだ!」


 ゴゥ!


 ホムンクルスに右手で殴りかかるラグナ。

 そんな直線的な攻撃じゃダメだって!

 相手はダリアの能力を受け継いでいるかもしれないんだぞ!


 ヒュン


 ズシャ!

 

「ぐ……ぐぉぉぉ!」


 ラグナの左腕が落ちる。

 今のは空間移動じゃない?

 時間移動か!?

 殴りかかった腕じゃないほうが切り落とされるなんて、空間移動じゃできない芸当なはずだ。

 ……なんていうバケモノを作り出してんだよ。

 しかも、異常をきたし言う事を聞かないとか。

 アイツ一人で世界は滅ぶかもしれんぞ。

 

「……」

「ぐははは! 楽しい……楽しいねぇ! まさか、こんな人形を作り出せるとは! 本気で行かせてもらおう……ぬぉぉぉぉ、100%ォォォ!」


 以前はパワーアップごとに体力も回復していたようだが、切り落とされた部分は再生しないようだ。

 果たして本気のラグナで勝てるかどうかだが。

 しかし、この闘気を当てられるとさすがに意識が飛びそうになるな。

 ユーナたちは……つらそうな表情をしているが、しっかりとラグナとホムンクルスの戦いを見ている。

 正直、今回はラグナに勝ってほしい……あいつはヤバすぎる。

 

「行くぞ!」


 ダァン!


「きゃっ!」


 拳覇か?

 ホムンクルスがホークを投げ放し吹き飛ぶ。

 見えない技には対処できないのか?

 

「まだまだぁ! ぬぉぉぉぉ!」


 ダダダダダァン!


 拳覇の連撃をするラグナ。

 おそらく、さっきの一撃で倒せるとは思っていないからだろう。

 トンネルの横壁に大きなクレーターができあがる。

 

「もう終わりか……思ったよりあっけないねぇ」


 ガラガラ


 トンネルの横壁から突き抜けたホムンクルスが奥から出てくる。

 思った以上に深手を負っているようだ。

 この調子ならラグナが勝ったか。

 止めを刺すまで見た後、すぐにここから去ることをユーナに伝える。

 

「おやおや、いくつかの骨が折れてしまったかね? くくく、悪かったな」

「ラグナ!? 早く、止めを刺すんですの!」

「まぁ、慌てるな。今は楽しませてもらっている」

「ダメですの! そいつは!」


 ヒュン


 消えた……場所移動で逃げたのか?


 ヒュン


「何だとっ!?」

 

 ホムンクルスは数秒ほどで戻って来たが傷が消えている。

 いったい、何がどうなったんだ?

 まさか、治療して過去に戻って来た?

 いや、ダリアの話じゃ同じ時間軸に狙って戻って来ることは無理なはずだ。

 ……まさか、このホムンクルスはそれができるのか!?


「……痛かった」

「うん? ようやく口を開いたかと思えば、泣き言か」

「痛かったぁぁぁ!!!」


 ヒュン

 ドサッ


 また、消えて……次はどこへ行っ……バカな!

 ラグナの首が切り落とされている?

 何が起こったんだ?

 あのラグナが一瞬でやられた?

 

「ラ……ラグナ!? あ……貴女なんてことを! きゃっ、乱暴に掴まないでくださいましっ!」


 ザッザッザッ


 ひぇぇ、こっちに来る!

 

「ユーナ、あいつはヤバい。いったん逃げるぞ!」

「え、ええ……テレポート!」


 ……あれ?


「どうした、ユーナ? テレポートだ……早く!」

「したわよ! したのに移動できないの!」


 な……何だとぉぉぉ!?


 ザッザッザッ


 俺たちとホムンクルスの距離まで数十メートルほどしかない。

 ひぇぇぇ……もう、アカン!

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