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俺、神様になります  作者: 昼神誠
混沌の世界へようこそ
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この矛盾はどこかおかしい3

「くくく、良いぞ! やはり、俺の想像は間違っていなかったようだ!」

「黙れ! 私は貴様を絶対に殺す!」


 ガガッ!

 バキッ!

 グンッ!

 ドゴッ!


 お互いにガード無しの殴り合いになっている。

 いや、杏樹は蹴り主体だから殴り合いでは無いか。

 

「武者小路流……双牙虎爆撃!」


 おっ、杏樹の流派の技か?

 飛び膝蹴りからの裏回し跳び蹴り。

 どれも顔面を狙っての攻撃だ。

 

 ガッ

 ドゴッ!

 

 一撃目はラグナにガードされたが、ラグナの側頭部に二撃目が直撃する。

 意外とまともな技だったな。

 

「……くくく、いいねぇ!」 


 だが、まるで効いていない。

 あいつの硬さも相当なものだな。

 まぁ、あの筋肉量を見ていかにも防御力は高そうだもんな。


「何を安心している? だから、男は馬鹿なのだ」


 杏樹が地面に着地した後、すかさず急所に金蹴りを食らわす。


 ドゴッ!


「!!!」


 男の大事な所を思い切り蹴りあげる杏樹。

 おいおい、それは反則だろ。


「おぉぉぉ……」


 もがき苦しむラグナ。

 

「はっ、情けない汚物め! 私がいつから二連撃だと言った? 技の名前だけで勝手な判断をするとは……」


 杏樹も結構、相手を煽るよな。

 いや、あれが素だから煽ってるわけでは無いのか。

 というか、技の名前からして二連撃かと思っていたが、まさかの三連撃とは……。

 武者小路流……躊躇無く目潰しとか金蹴りとか反則技だらけだな。

 技の名前だけでどんな技なのか判断してはいけない良い見本の流儀だな。

 うん、俺の好みだ。


「き、貴様ぁぁぁ……おぉぅふ」


 もう、なんて言うかスンマセン……。

 たとえ敵であっても、男として同情してしまう。


「武者小路流!」


 ふぁっ!?

 さらに卑怯な技を出すのか?

 まだ、ラグナは身悶えてるし、少しくらい待ってあげてもいいんじゃないですか?


「流星虎殺弾!」


 ダンッ!


 杏樹が空高く高く飛び上がる。

 お、今度は飛び蹴りか?


 ギュォォォン!


 身悶え前屈みになっているラグナの後頭部にギロチンの刃のようにかかと落としを入れる。


「ガハッ!」


 白目をむき、倒れこむラグナ。

 これも容赦無いな。

 と言うか、今の技は特に卑怯なものじゃなかったな。

 これも相手を惑わせるためか?

 まともな攻撃なのか、卑怯な攻撃なのか技名だけで判断させなくする……武者小路流、恐ろしい流派だ。

 うん、俺的にだけど。


「ふぅ、これ以上ゲテモノと戯れていられるか!」


 こっちを向き、心配そうな顔をして欽治を見ている。

 

「ルーシィさん、欽治の様子は?」

「もう大丈夫なわけ。でも、あくまで応急だから病院に連れて行かないとね」


 臓器提供をしたホムンクルスは今にも息絶えそうだ。

 このホムンクルスには悪いことをしたな。

 まさか、臓器を交換する魔法があるなんて治癒魔法もいろいろとあるんだな。

 だが、おかげで欽治は助かったし。

 このホムンクルスも病院に連れて行ったほうが良いかもしれない。

 こいつの意思を無視して、こんなことしたわけだし。

 戦闘で怪我をしたり命を奪うのは、お互いわかっているからやっていることだ。

 だけど、今回のこれは違う。

 俺はこのホムンクルスも助けてやりたい。

 息を吹き返した後、何されるかわからないけどさ。

 え、下心もあるんじゃないかって。

 当たり前だろ、いくら欽治のホムンクルスでも女体化した欽治だぞ!

 最高じゃないか!


 欽治の容態を確認した後、杏樹のほうを無事だと手で合図を出した。

 それをわかってくれたのか、走って欽治の下に駆け込んで来た。


「欽ちゃ――ん……ゴメンね! 私が悪かったぁぁぁ」


 欽治を見て、泣き出す杏樹。

 こいつも可愛いところあるじゃないか。

 ん……どさくさに紛れて欽治の尻を撫で回すように触るな!


「ラグナはどうなったわけ?」

「ぐすっぐすっ……あの産業廃棄物なら……処理した」


 産業廃棄物って……まぁ、平和に暮らしたい人たちからすると勇者軍はウザい存在だしな。


「油断しちゃ駄目なわけ! あいつは……」


 ズバッ!


 えっ……ルーシィさんが口から血を吹き出し地に倒れる。

 

「ルーシィさん!」

「ルーシィ!」

「う……うう……大丈夫な……わけ。急所は外れて……いるわ」


 脇腹を必死に抑えているが皮膚が赤黒くなっている。

 内出血を起こしているのか?

 何が起こった?

 ラグナのほうを振り返り見てみる。

 

「誰に当たった……ルーシィか? なら、詫びよう」


 ググッ


 白目をむいて地面に倒れていたラグナが起き上がる。

 もう、意識を取り戻したのか?


「き、貴様! 欽ちゃんだけで無く、ルーシィまでも!」

「格闘家にあってはならぬ禁忌の数々。貴様は再び圧倒的なパワーで粉砕してくれよう」


 まぁ、格闘家として反則的な攻撃は許せないわな。

 力を込め始めるラグナ。

 本気を出す気か?

 

「それは私のセリフだ! 私のルーシィをよくも!」


 いや、貴女のじゃありませんけどね。

 また、怒りに満ち満ちてラグナに突っ込む杏樹。


「すぅ……はぁぁぁぁ! 99%ぉぉぉ!」


 99%だとっ?

 本気じゃないのかよ!


 ボコボコボコボコ!


 しかし、50%のときより2倍ほど筋肉が膨れ上がる。


「おぉぉ!」


 グンッ!

 ズガァァァン!


 近付いた杏樹に拳を振り下ろすラグナ。

 杏樹は躱そうともせず膝蹴りをいれようとする。

 二人の拳激がぶつかり地面が割れる。


「うぉぉぉ!」 

「でりゃぁぁ! 武者小路流……流星虎殺弾!」


 ダンッ!

 ダッ!

 ガンッ!


 体格が大きくなったラグナの太ももから肩へと飛び乗り、さらに頭上に飛び上がる。

 そのまま、さっきと同じかかと落としをし、ラグナの脳天に直撃する。


「効かぬ!」


 ダメージ無しだとっ!?

 

 グンッ!


 拳を振り上げるラグナ。


 ドゴッ!


「かはっ!」


 宙にいる杏樹の腹部に直撃し、そのまま落下する。

 硬いのが取り柄の杏樹にダメージが通ったのか?


「ぬははは……パワーこそすべて! どれだけ硬くともそれを上回るパワーさえあれば突破は容易いものだ」

「あ……ああ……」


 杏樹が苦しんでいる。

 腹部に直撃したのが思っていた以上に効いているようだ。


「貴様も100%を出すほどの者では無かったか……残念だ。以前の町でも95%であのざまだったからな。一ヶ月の間に少しは強くなったと思ったのだが……」


 ググ

 パァン!


「かっ……!」


 ラグナが両腕を組むが、杏樹が攻撃を受けている……奴の技、拳覇か?

 以前の本気を出していないときより威力は桁違いのようだ。

 

「まずは貴様の両手、両足をぼろ雑巾のようにしてやろう」


 パァン!

 パァン!

 パァン!

 

 杏樹の手足を集中的に打ち込むラグナ。

 さっきの一撃が効いているのか、杏樹は避けれずにすべて直撃している。


「……」

「ん……もう諦めたのか? 根性の無い女だ」


 杏樹が無言のまま突っ立っている。

 足もボロボロのはずなのに、立てているだけでも凄いと言いたいが、無言なのが一層不安を掻き立てる。

 まさか、弁慶のように立ったまま逝ったのか?


「きゅふ……」

「うん……何がおかしい?」

「きゅふふふ! これは凄く良いぞ! もうすぐだ! もうすぐで私は逝けるぞ!」


 喜んでいたぁぁぁ!?

 ルーシィさんをやられたときの怒りはどうした!?

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