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俺、神様になります  作者: 昼神誠
混沌の世界へようこそ
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この二人はどこかおかしい1

 ちょうど、研究員のデスクにこの研究所の地図らしきものが貼っていた。

 今いる区画は周りの様相からして合成モンスター開発区のようだ。

 ダリアや欽治がいるとしたら、この地図に書いてあるクローン研究開発区にいるかもしれない。

 他にはスライム研究区?

 日記で見たマッドサイエンティストは勇者の元から去ったはずだし……誰かが研究を引き継いでまたヤバいものをスライムで作ってるんじゃないだろうな?

 とにかく、地図を頼りにクローン研究開発区へ行ってみる。

 道中も培養槽だらけで中には見たこともない生物が入っていて、見ているだけで気持ちが悪くなってくる。

 あまりこういうグロ耐性無いんだよ、俺は。

 雪は爆笑して喜びだしそうだよな。

 今は爆睡中だが。

 

「すぴ――、み……」


 み?

 次はどんな寝言を言うんだい、雪。


「み……耳から……鼻くそ……」


 それって、つまり耳くそだよね!?

 いったい、どんな夢を見てるんだよ。


「おっほっほっほ、素晴らしいですわ!」


 クローン研究開発区の中を散策中、高笑いをしている女性を見つける。

 白衣を着ていかにも研究員という格好をしている女性だ。

 近くに三人ほどモブっぽい研究員もいる。


「どうですか? ベースは男性ですが女性型として開発をしてみました」

「この素体の能力はノーキンというものだそうです。能力を継承しやすいのか筋力が培養中であるのにも関わらず100越えしております」


 脳筋って能力名じゃないんですけどね。

 しかし、やっぱりあの黒子たちは……。


「どんな能力でも構いませんわ。それにしてもこの子、本当に美しいフォルムですことね」

「所長の仰せの通りナイスバディにしております」

 

 ナイスバディだとっ!?

 俺も見せてもらいたいがここから培養槽の中が見えない。 

 

「今の稼働数はいくつでしたの?」

「現在で1037になります」

「培養中のものを含めると1040になりますじゃ」

「そう……1040で一度、打ち切りでいいですわ。次の新素体のクローンに取りかかりなさい」

「承知いたしました。次のクローンの素体は女性ですが、性別はいかがなさいますか?」

「もちろん、女性型で着手しなさい。男など作るつもりはありませんわ、気持ち悪い」

「承知しました」


 性別を自由に変えて作れるのか?

 ということは……欽治の女性版ができる!?

 男であの美貌の持ち主だぞ?

 そんなの超絶美少女の完成じゃないか。

 ……俺にも一つもらえないかなぁ。


「げへへ、この素体はいかがしたしやしょう?」

「データをすべて取り、緊急増産するときに必要な細胞を取れるだけ取りなさい。その後は廃棄で構いませんわ。もう生かしておく必要もありませんし」

「承知いたしました」


 コッコッコッ


 白衣の女性とモブっぽい研究員三人は別の場所へ行った。

 研究員が見ていた培養槽の近くへ行ってみる。

 よくわからない液体の中にいるのは欽治そっくりだが身体が女性になっているホムンクルスが入っている。

 これがさっきの黒子たちの正体か?

 けど、確かにナイスバディ……うへ、うへへ、本当だ。

 裸だし最高じゃね――か。

 目にしっかりと焼き付けて、欽治を助けた後、おかずにできるようにこの裸体を脳内にインストールしておこう。


 ゴボゴボゴボ


 奥に通常より大きい培養槽が目に映る。

 近付いてみると本物の欽治が培養槽に入れられている。

 身体を見ただけでわかる、だって男だし。

 今まで男か女か微妙にわからなく場面はあったのだが、これでやっと確信が持てた。

 うん……男だ。

 萌え豚共よ、残念がっていいぞ。

 俺も少し希望は持っていた。

 ただ胸が可哀想過ぎる女の子かもしれないって……だが、真実は男だ。

 何とか取り出せないか培養槽の前にある機械を見てみるがまったくわからない。

 へたにボタンを押して欽治を死なせるようなことになったらいけないし、こういう場合は培養槽を壊すのがお決まりみたいな所もあるが敵に見つかりたくもないし。

 

「むにゃ……むにゃ……おねーちゃん」


 雪の寝言か……。

 お気楽なもんだ、お姉ちゃん……じゃなかったお兄ちゃんが大変な目に遭っているというのに。


 ゴボゴボゴボ

 ゴボッ!

 バンッバンッ!


 培養槽の内で欽治が意識を取り戻し暴れだす。

 まさか、雪の声が聞こえたのか?

 

 バンッバンッ!

 

 欽治が思いきり内側から培養槽を蹴っている。

 息が苦しそうにしている……そりゃそうか、液体の中にいるんだし。

 暴れだしたときに取れたマスクをすれば酸素が送られるみたいなのだが、それに気付きはしないようだ。

 助けたいが敵に見つかるわけにはいかないし……。


 バンッバンッ!

 ゴボゴボッ


 培養槽は簡単に割れるはずもないが、必死に欽治が蹴り続ける。

 ……ええい、欽治がいれば後はどうにでもなるだろ!

 近くにあった鉄パイプで俺も外から培養槽を叩きつける。


 バンッバンッ!

 ガンッガンッ!

 ミシ……


 硬さが尋常じゃないな。

 早くしないと欽治が溺れてしまう。

 欽治も必死に内側から培養槽を蹴っている。

 

 バンッバンッ!

 ガンッガンッ!

 ミシミシミシ……

 ガシャ――ン!


「わっ!」

「よっと!」


 落ちそうになる欽治を受け止め、すぐにステルスを再度かける。

 

「ゴホッゴホッ……ゲホッ! リュ……リュージさん……?」

「大丈夫か、欽治?」

「ええ……ここは……きゃっ!」


 自分が裸であることに気付き、すぐに俺から離れ身を隠す。

 別に男同士だし恥ずかしがることは無いと思うんだが、脳内インストールしたホムンクルス欽治の裸体を思い出すと俺も少し恥ずかしくなってきた。

 俺はジャケットを欽治に投げ、着るように命じる。


「あ、ありがとうございます。リュージさん。……あれ、すごく湿っている?」

「は……裸で逃げるのも無理だろう? その、湿っているのは雪の涎だ」


 ごくごくごくごく……


 ええい、やっぱり出てくると思ったよ!

 欽治が俺のジャケットを着る……こ、これは!

 見えそうで見えないくらいの丈のせいで、裸の美女にワイシャツのような感じになって色気がヤバい……俺よ、正気を保て!

 こいつは男だ、見えそうで見えないところが見えたらゲロを吐くことになるんだ!

 スーハースーハー……ふぅ、よし!


「リュージさん、良かったです。生きていたんですね」

「ああ、ルーシィさんに助けられてな。今はルーシィさんと愛輝でユーナたちを助けに来たんだが、お前を先に見つけられてよかった」

「そ……そんな! ……嬉しいです」


 顔を赤らめられてもな、欽治を先に助けることができたのは俺にとって身の安全が向上するからと言う意味でなんだが。

 誤解されても良いか……男だし。

 信仰欲っていう余計な欲のせいで、俺にも元気が与えられているし……ってか、欽治……まさか俺に惚れ……いやいやいや、男にそれは困るぞ。


「それよりもここってどこなんですか?」

「首都グレンなんだが、お前ほどの奴が簡単に捕まるなんてな。スリードにやられたのか?」

「いえ……リュージさんが倒れた後、僕も女神様も必死に助けようとしたのですが、

ダリア先輩が僕たちの手を無理矢理掴んで跳んだんです」

「あの場から逃げたってことか?」

「はい。先輩も怪我をしていたのであまり遠くに飛べず……ギルドの近くに跳びました」


 ならず者がうろついている町中に逃げて何してんだよ。

 ……必死だったなら仕方が無いか。

 スリードから距離を取るのは得策だと思うし。

 

「ギルドってことはニーニャさんはどうなったか知っているのか?」

「いえ……ただ……杏樹さんが……ぐすっ……」


 杏樹が何だって?

 欽治の表情が暗くなる。

 

「杏樹がどうかしたのか?」

「背丈の高い筋肉質の男性が杏樹さんと対峙していました。その人が自分より大きい大剣で杏樹さんの胴体を……一突きでした……目に映ったときにはすでに……刺された後でした」


 杏樹がやられた?

 まさか……あの超が付くほどのド変態が?

 重火器でさえ受け付けない、あの硬すぎる肉壁が簡単に一突きで?

 そんな馬鹿な……。


「リュージさんが倒れた直後だったので、ユーナさんは放心状態に……僕も体力が奪われていたのでその男の人に抵抗できずに……そこから気を失ってしまって」


 ユーナもダリアも気力を失い、大人しく捕まったというわけか。

 杏樹を倒した奴と言うのも恐らく使徒の一人だと考えておくといいだろう。

 だが、まさか杏樹がな……あれ、まったく悲しくないのは何でだろう?

 ん……俺ってこんなに非道な奴だっけ、逆に清々しく感じているんだが……?。

 

「むにゃ……ん?」

「雪!?」

「雪ちゃん、目が覚めたのか?」


 そうか、ニーニャさんとの距離が離れたから魔法の効果範囲外になったのか。

 

「おねーちゃん!!」

「雪、無事でよかった!」


 やっべ、欽治に怒られないかな。

 雪をここに連れてきたことについて、どうやって説明しよう。

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