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俺、神様になります  作者: 昼神誠
混沌の世界へようこそ
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この研究所はどこかおかしい

「あの子の名前、変わってるわけ。何て読めばいいわけよ?」

「製造番号ですかね?」

「セーゾーバンゴー? ぷっ、変な名前。ウケる」


 さっきからアナライズで見ているのだが名前の部分が1008と表示される。

 数字が名前?

 どんな民族だよ?

 入り口前の黒子は1014だったし。

 廃棄処分って変なこと言うし、もしかしたら人造人間なのか?

 って、ことは廃棄処分はそのままの意味なんだろう。

 命を作り出しておいて使えない奴は捨てる、まさにならず者が考えそうなことだ。


「廃棄処分される前に侵入者は殺さなきゃ……」

「来るでござるか!?」


 黒子は低姿勢になり太刀を構える。

 あの構えも見たことがある。 

 やはり、こいつらのコピー元ってあいつじゃないのか?


 ギュン

 

 愛輝、目がけて一瞬で間を詰め突きを繰り出す黒子。


 ヒュン


 もう、その突きってどう見てもガト……コホン。

 それを紙一重で躱す愛輝。

 お互い無言になっている。

 いつもの愛輝ならダリアの布教だの何だのうるさいのだがいつにも増して真剣だ。

 

「リュージ殿たちは早くダリア嬢を助けるでござる。ダリア嬢だけでも一秒でも早く救出するでござる」


 ダリアが捕らわれているから真剣に取り組んでいるだけか、見直して損したぞ。

 だが、燃費の悪い愛輝がいつまでも避け続けることもできないだろう。

 

「あっしはここで愛輝っちを援護するわけ。リューくん、一人でお願いできる?」


 そう言いながら、愛輝にヒールをかけるルーシィさん。

 ……惚れたか?

 ま、ルーシィさんが援護してくれるなら愛輝も死ぬことは無いだろう。

 

「ユーナたちを見つけ次第、ここに連れて来ます。ルーシィさんはいつでもテレポートできる準備をお願いします」

「オッケー、まかせるわけよ!」


 俺だけは黒子に見つかっていないため、簡単に地下へ降りることができた。

 以前と同じで降りた先に一つだけ扉がある。

 前はここを開けるとニーニャさんがいたのだが今回はどうだろう。

 そっと扉を開ける。


 ガチャ


 ……誰もいない。

 ニーニャさん以外の町の女性らの姿もない。

 次の扉にいるのか?


 ガチャ


 また無人だ。

 その後も盗品は置いてあるものの人っ子一人見当たらない。

 ユーナを以前見つけた扉のところまで来たが他の町の住人の姿も無かった。

 どういうことだ?

 愛輝によるとここにダリアの位置情報があるということだったが。

 まだ先もあるし見ておくほうが良いか、それとも戻って愛輝に再確認したほうが良いのだろうか?

 愛輝に確認すると言ってもあの黒子が邪魔だ。

 ここは俺一人で見つけるしかないだろう、そのために足止めをしてもらっているわけだし。


 ガチャ


 次の扉を開けたが、ここも今までと何ら変わりは無い普通の空き部屋だ。

 相変わらず奥にまた扉がある。

 どの扉も鍵がかかっていないことも変だ。

 以前は全ての扉に鍵がかかっていて杏樹が蹴り開け進んだ。

 その時に比べると違和感を感じる。

 あの怪獣でみんな慌てて逃げたからなのか?

 

 ガチャ


 次の扉を開けたときだった。

 奥に扉は無い。

 辺りを見回すと盗品が乱雑に置かれている以外は他の部屋と変わりがない。

 ここで行き止まりとなるとダリアの位置はすでに動いた後なのか?

 やはり、愛輝のところに戻って再確認が必要か……黒子が邪魔だし却下だな。

 そういえば、前に感知魔法というものを習得したっけ。

 自分でも忘れていたが、これを使えば何かわかるかもしれない。

 ユーナが取得する魔法が増えてくると自分でも把握しきれないって言っていた意味が少しわかった。

 ステータス画面に習得した魔法やスキルは表示されないし……運営さん、このゲームUIをもっと使いやすくしてください。

 あのときはユーナにメモを取っておけとか偉そうに言った自分が恥ずかしい。

 とにかく、ディテクトをかけてみた。


 キーン


 下に生命反応?

 だが、階段なんて見当たらない。

 もしかして隠し通路とかそんな類か?

 ……ってか、ディテクトに見つけられない隠し通路なんてあるのか?

 そもそも、あったとしてもこんな盗品だらけで散らかった部屋を探すのは一苦労しそうだ。

 だが、行き止まりだし……いちおう、床を徹底的に調べてみた。

 余計なものが煩雑しているせいで思いのほか時間がかかってしまい手がかりも無しだった。

 床に無いとすれば壁か、それとも隠し通路なんて無いのか?

 それなら、どうやってここから下に行くんだ?

 壁を叩いて調べていくと一か所だけ音が違う場所を見つけた。

 だが、その壁の周辺にスイッチらしきものは見つからない。

 欽治や杏樹ならぶち破ってくれそうなものだが、俺にはそんなパワーはない。

 隠し通路かわからないが、この先に何かあるのを見つけたが開け方がわからない。

 時間ばかりが過ぎていき、俺も徐々にイラつきを覚え始めていた。

 

「あ――、くそ! わっかんねぇ!」


 辺りを探してもスイッチらしきものも何も見つからず、八つ当たりに壁を蹴る。

 

 ガッ!


「おわっ!」


 壁が回転し俺は体勢を崩し前に倒れこんでしまった。

 まさか忍者屋敷のような仕掛けだったとは、近代的な建造物だったから、その発想は無かった。

 起き上がるとエレベーターだろうか?

 短い廊下の先で扉が自動的に開き階層を選ぶように勧められる。

 地上は120階まで地下は3階まで行けるそうだ。

 これは便利だな。

 次に来ることがあったら、これに乗って一気に勇者の元まで行くことができるかもしれない。

 ディテクトで見つけた生体反応からすると地下3階ってところか?

 エレベーターのボタンを押し、地下3階へ進む。

 扉が開くと、俺は呆気に取られた。


 ゴゴゴゴゴ

 ウィーン

 ゴポゴポゴポ

 

 研究所?

 なんか、どこかのホラーゲームで見たことのあるバイオ研究所だ。

 培養槽に見たこともない生物が入れられている。

 キメラか?

 近くには研究員の机があり、レポートが散らかって置いている。

 適当にその中から1枚を手に取って読むと気になることが記載されていた。

 異世界人のクローン製造に関して?

 異世界人って俺や欽治たちのことだよな?

 レポート内容はこの世界の住人より潜在能力が秀でており、魔法ではない不可思議な力を持つ者もいるためクローンの有用性は高いとの内容だった。

 的確な命令を実行する知識を身に付けることはつい最近成功したようだが、異能力を引き継いでの製造がまだ未完成のようだ。

 続きが気になったのでもう1枚を手に取ってみる。

 どうやら被験者のレポートのようだ。

 ……これって欽治じゃないか!?

 欽治のクローンが作られているってことか?

 冷静になれば驚くことは無い。

 さっきの黒子たちの動きからして、あいつらがそうなんだろう。

 黒衣を身にまとい顔を隠しているからわからなかったが、剣術の動きが欽治と同じだったから薄々は気付いていた。

 ……欽治のクローンで強さが欽治と同じなら愛輝は勝てないんじゃないのか?

 そもそも勇者は欽治を増産して何をするつもりなんだ?

 魔界との戦争だろうな……相手にとってはあの馬鹿力は単純な恐怖かもしれない。

 被験者となった欽治はこの近くにいるかもしれないし、辺りを探してみるか。

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