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俺、神様になります  作者: 昼神誠
混沌の世界へようこそ
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この魔界はどこかおかしい6

「や……やはり! こんな優しい人族がいるだけでも、儂は……」

「もう、リューくんも節操無いわね!」


 いや、節操無いって言われても……。

 だが、なぜか無性に身体から元気が湧き出てくる。


「君も半分は神族なんだから、まぁ、わかるけどねぇ。時と場所は選んで欲しいわけぇ」

「なんかしましたか……俺には何が何だか? 俺はユーナみたいなホラ吹き野郎なんかじゃ無いんですって」

「またまたぁ、隠さなくても良いわけぇ」


 何なんだ!?

 半分が神族だったら何があるというんだ?


「もしかして本当に知らない? 神族ってのはね、信仰欲というのがあるわけ」

「信仰欲? 神にすがりたいとかですか?」

「逆よ、逆。信仰されたいって欲。神族には面白い能力があってね、自分を信仰してくれる人が多いほど元気になる能力があるわけ。それを本能的に求めちゃうのも難点なんだけど……」


 なん……だとっ!?

 だとしたら、俺を頼ってくれる人が多くなるほど俺は元気になるのか?

 ……元気になる?

 強くなるわけじゃないのか?

 最小限の人付き合いでスローライフを送りたい俺に、何て似合わない能力なんだ。

 こんな能力、人付き合いを強制させられるようなものじゃないか!?

 ユーナが女神と言っていつも人の前に立ちたがるのも、この欲求のせいなのか?

 いや、確かに辻褄は合いそうな感じがする。

 俺もユーナみたいにすればいいのか……あんな痛いことできるかぁ!


「だけど、男であるリューくんはしっかりしないと女性を泣かせることになるわけ! いいこと!」

「え……それってどういう?」

「惚れさせた女性は妊娠しちゃうからに決まってるでしょ?」


 な……ん……だ……とっ!?

 まさか、神の力を使うと女性は確実に口説き落とせるとかなのか!?

 素晴らしい力じゃないか!?

 無用な人付き合いさえ除けばだが……。


「神族の男って夜の街で働く人多いからねぇ。ま、極上のイケメンばかりなんだけど……そのあとがねぇ」


 ルーシィさんも疲れるほどだとぉぅ!?

 どんだけ素晴らしい能力なんだ!?


「あっしも3回くらい妊娠しちゃったしぃ」


 す、すげぇ……ルーシィさん、見た目からそうだと思っていたがやはりそっち系なのか?

 

「えっと……その三人は?」

「みんな、成人して夜の街で働いてるわけぇ、ついでに言うと孫はもう300人以上いるかもぉ?」


 なんという繁殖能力……神の力、恐るべし。


「じゃ……じゃぁ、ニーニャさんって、ルーシィさんの何人目のお子さんなんですか?」

「初めてに決まってるじゃない? あの子のお父さんは猫族でも超絶イケメンだったんだから、口説き落とすのに苦労したわぁ。そんなことより興味本位で行った店で働いてるのが、まさか男神なんて思わなくてね! 翌朝、妊娠してて驚いたわ、あはは」


 翌朝にすでに妊娠!?

 んな、馬鹿なことあるのか?


「リューくん、驚いた顔ばかりしてるけど、君も半分は神族なんだから本当に気を付けるわけ! ニーニャに声をかける前にあっしに言ってよ? 許可するけど、にしししし」


 お義母様からの許可をいただいた!?

 こりゃぁ、ニーニャさんを本気で落としにかからねばなるまい。

 でも、口説くのに相手の親の許可がいるって、この人意外と過保護なのか?


「ニーニャさんが超絶美人だっていうのはわかりますけど……その、ルーシィさんにお知らせするのは恥ずかしいんですが……」

「だって、口説き落ちた瞬間に子どもができるんだから教えてもらわなきゃ」


 ふぁっ!?

 落とした瞬間に子どもができる???

 いや、そんなことありまへんがな!

 わいだって、ニーニャさんとすぅんごぉぅいことしまくって……ゲフンゲフン!

 とにかく、愛し合ってコウノトリさんが子どもをだな……。


「えっと、ルーシィさん……子どもができるまでってわかります?」

「雲孫までいるあっしにそれを聞くわけぇ? 勘違いしてそうだから教えてあげるけど、男神は発する愛の言葉にあれが含まれてるから、恐ろしいのよぉ」


 なん……だ……とっ!?

 言葉の中にオタマジャクシ(仮)がいる!?

 えっ……すぅんごぉいことは?

 しないの?

 できないの?

 どっちなんだぁ!?


「えっと、えっと、話がついていけないんですが……」

「と――に――か――く、リューくんは簡単に愛の言葉を発したらいけないから、気を付けるわけ!」

「わ……わかりました」


 俺にそんな自覚が無くても、そうなっちゃったら大変だもんな。

 しかし、俺には本当に神の血が?

 強くなれるわけじゃないのがなぁ……くぅぅ、残念だ。


「それよりもンマンマ、魔王っちは相変わらず?」

「はい、相変わらず厳しい年貢の取り立て、北の渓谷の防人が続いておりますじゃ」

「そっちも相変わらずか……」


 ほぼ、無理矢理に神族の話は打ち切られてしまったように思えるが……。

 ま、今度時間があるときに聞けばいいか。

 村長との会話はどうやら話を聞いている分には魔王は魔王で同じ魔族でありながら弱い立場の者たちに強制労働や重税を課しているようだ。

 人族のところは中世って感じだったが、こっちの大陸は時代背景が古代って感じがする。

 日本史でいうところの奈良時代あたりか。

 防人という言葉からも恐らくアルス大陸からの侵攻を食い止めるものなんだろう。

 北の渓谷はアルス大陸でいうところの南の渓谷のことで、唯一歩いて渡れる地続きの地域のことらしい。

 船もあるにはあるんだろうが、地続きの場所の警備を強化するのは当然だよな。


「ルーシィ殿がこちらにいらしたのは、もしかして」

「にしし! 以前、言ったことをそろそろ実行しちゃおうって考えてるわけでぇ」

「おおお! 儂たちも協力しますじゃ、ですが……」

「あっしも驚いたわけぇ。まさか、勇者軍がすでに侵攻を開始しているなんて」

「あいつらはどうやら先遣隊のようですじゃ。他の村もいくつか襲われたようで同じ旗が掲げてあったようじゃ」

「そっかぁ、なら猶予はまだあるわけね」


 話が見えてこない。

 この村長と以前から何かを画策していることはわかるが、何をするつもりなんだ?

 ルーシィさんと村長はまだ会話を続けている。


「さてさて、リューくん。それじゃ、次のところに行くよ」

「え……まだ、どこかに?」

「いわゆる、魔王城の城下町ってところかな?」


 ボスの本拠地?

 早すぎないですか!?


「ぐぅ――ずぴ――、め、め、眼鏡でハンバァグ……」


 どんな夢を見てるんだ、雪?

 ってか、涎で俺のジャケットびしゃびしゃじゃねぇか!?


 ごくごくごくごく……


 ごくごく民も湧かなくていいからぁ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 神族は信仰されたい欲があるなんて、これは面白い設定ですね! 男はイケメンが多いから夜の町で働いてるのが多いってのも、神聖さとかけ離れていてすごく新鮮です!
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