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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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このラスボスはどこかおかしい21

『肉体を持たない種族? ゴーストやファントムと似たような者ですか?』


『今のおいらたちと同じだにゃ』


『私たちは他の知的生命体に寄生はしないけどね』


『そんなのがうじゃうじゃ居る宇宙は気持ち悪いデース』


 龍神も意識だけの存在で今を生きている。

 俺自身が共存できる良い例だったとは灯台下暗しというやつだな。

 だが、破壊神は龍神と違い知的生命体に悪意そのものを持っている。

 自分たちの消滅が恐ろしいのだろう。

 誰にだって死は怖い。

 だから神を名乗り襲われる前に滅ぼすか……こんな奴らと共存などできるのか?

 惑星を簡単に爆発させるほどの技術力を持った相手だぞ。


「あっは……僕は破壊神だ……僕は破壊神だ……僕は破壊神だ……だだだだ……」


 まるでバグでも起きたかのように欽治の口から同じ言葉が発せられる。

 事実であることを認めたくないため壊れたのか?

 それとも欽治の肉体がかなり危険な状態に陥っている?

 早く祓わないといけないな。

 

『ドレイク、星を再生させても同じかもしれない』


『おいらたちでも見えない奴らを追い払うことなんて無理だにゃ』


「龍神様方、この者たちと共存できないのですか?」


『ユーナちゃんは簡単に言うけれど、目の前の者だって話し合いにさえ応じてくれないのよ』


 宇宙戦争なんてできるほどの科学力がそもそも無いしな。

 こっちの地球ではやってのけそうだけど……。

 

『ドレイク様、口を挟むことご了承下さい』


 パァァァ


 コスモスが卵の殻を割り中から出てくる。

 これは……光属性を持っている?


『むぅ、光龍神となったのか? 早く外に出てくれ。闇の世界に長く居ると我の闇属性と相殺され消滅してしまうぞ』


『はい、闇龍神様』


 フワッ


 俺の身体から光の粒子が放たれ人の形を形成する。

 

「コスモス!」


「ドレイク様、あの宇宙はこの者たちに譲りましょう」


「だったら俺たちは何処に住む? この地球にはエルフ族やドワーフ族、それにゴブリンやオークなど居ない。非人道的な研究材料に使われるかもしれないんだぞ」


「宇宙を創世するのです。ドレイク様の中に」


『なるほどな……我の力を最大限に利用するつもりか』


 えっ?

 どういうこと?

 意味が分からないのだが……。


「お兄様の中に宇宙?」


 心の中の宇宙ってコス○?

 ま、ましゃか……俺も聖○士にって超有名コミックのパクリじゃねぇか!

 闇龍神の力を使う?

 そういや、龍神たちは星の形成に何らかの形で助力していた。

 闇龍神は何をしたんだろう?


『我も取り込んでいて知らぬのか? 我はすべての土台を創世する』


『えっちゃんは新たな空間を作れるだわさ。ここもその片鱗だわさ』


 マジか……それって宇宙を作れるってことじゃねぇか?

 えっ、まさか闇龍神が全ての創世神にあたる存在?

 

『我だけでは宇宙までは作れぬ。だが、光龍神が蘇ったのなら……』


「はい、私がドレイク様の中の闇空間でビッグバンを起こします」


 それで宇宙の誕生か。

 ……痛そうだな?

 痛いどころか俺自身の身体が保てるのか?

 

「お義姉様、待って下さい。ユーナやママはどうなるの? それにお兄様は?」


「ユーナさんは連れて来られますよ。もちろんホークさんも。ああ、そうでした。ドレイク様、先に地球人たちをここで解放してしまいましょう。肉体と魂の結合は私がします」


「いや、ちょっと待て! まだ目の前に破壊神が……」


「ピ……ガガ……ガ……ガ……」


『もう壊れた?』


『自壊したのかしら?』


「欽治!」


 氷を解かし欽治を介抱する。

 意識がどうなっているのかは目覚めるまで分からない。

 まだ破壊神が取り憑いたままでは危険だよな?


「ドレイク様、欽治さんを闇の中に。そこで一旦、肉体と意識を引き剥がします。ですが、もしもの時のために先に闇の世界に居る者たちを外に」


「そうだな、分かった」


 コスモスの言う通りに作業をしルカやウンディ、領民や地球人たちを外に出す。

 光属性って万能なんだな。

 まさか、それをコスモスが持つとは……。


「パパぁぁぁ!」


「ドレイクしゃま――」


「コスモス、正妻の座は譲りませんわよ」


「ふふ、はいはい。ルカも相変わらずね」


「勝者の余裕!? これだからまったく!」


 この二人はすぐに喧嘩する。

 だが、なんだか懐かしいな。


「ドレイク様、欽治さんを」


「ああ、欽治すまんな」

 

 ドプン


 アビスフォームになり欽治を闇に堕とす。

 

「ドレイク様、ご健闘を……」


 俺も目を閉じ闇の世界に意識を向かわせる。


『欽治!』


 目の前に欽治が倒れている。

 肉体は別の場所に保存しているため、これは欽治の魂だ。

 眠っているということは破壊神はすでに居ないのか?


『違うね、まさかこんな手で引き剥がされるとは』


 背後から現れたのはキンジだ。

 俺の弟だった姿で現れるか。


『その姿は止めろと以前言ったはずだ』


『やだよぉぉぉ、兄ちゃん』


『貴様に兄と呼ばれたくない! 早く自分の居た場所に戻れ!』


『あは、怒っているね? 戻りたくても戻れないんだよね。コスモスに無理矢理連れて来られちゃったから……あっ、今はドレイクに連れて来られたんだっけ?』


『向こう側に連れていけば大人しく出て行くのか?』


『無理だね。僕は破壊神。柱を壊すまで君たちをひたすら追い続けるよ』


『俺たちがあの宇宙から出ていくと言ったら?』


『それは聞いていたさ。でも、気が変わって戻って来ないとも限らないでしょ? 不安材料はすべて抹消するのが破壊神の役目なんだ』


 駄目だ、対話で解決できるタイプじゃないぞ。

 そこまで自分たちの種族を脅かされるのに恐怖を抱いているのだろう。

 こいつらが肉体を持っていた頃の身体って技術力が高い代償に人間以下の身体能力を持った動物だったのかもしれない。

 だから肉体を捨て意識だけで生きる術を持った。

 だが、それも消滅させられないとは言い切れない……負のスパイラルに陥っているな。

 可哀想なことだが、それで他の惑星を破壊していくことは断じて許されない。

 しかし、俺たちにはどうにもすることができないのも事実だ。

 眼の前に居るこいつを除いては……。


『さて殺ろうか、ここで兄ちゃんを消すとこの身体は僕が使えるからね』


『俺のふりをして師匠に近付き殺すか?』


『ついでにこの星の生命体も絶滅させるよ。過去から何度も向こう側に来ていたからね』


『異世界転移のことを知っているのか?』


『うん、昔に破壊した名残りで次元に影響が出ちゃってね。こっちの世界と繋がりやすくなったんだよね』


『昔に破壊?』


『そうだよ。あの場所は宇宙では立地条件が最優良だからね。すぐに新たな星が誕生し生命が誕生しやすいんだ』


 宇宙にも立地条件があったのか?

 まぁ、太陽に近すぎても遠すぎても生命は誕生しないって聞くし良い場所なのは確かだな。

 だが、やけに転移者が多いのもこいつらの副産物だったのか。

 意図的で無いにしても地球にまで迷惑をかけているじゃないか。

 

『さて話すことはもう無いよ、兄ちゃん』


 ヒュッ


 闇の世界でも速さは同じか。

 だが、俺の中だ。

 お前がアウェイな場所で負ける気がしない。

 

『そこだ!』


『あは!』


 バキッ!


 俺の右ストレートが破壊神の腹部に当たると同時に俺の左腕に激痛が走る。


『ぐわぁぁぁ!』


『この世界は便利だね。武器が自在に取り出せて……』


 なっ……いつの間に太刀を?

 俺の中の仕様をすでに把握したってのか?

 やべぇ、左腕に感覚が無いと思ったら斬り落とされている。

 再生出来ないかな?

 意識を込めるとトカゲのしっぽのように腕が生えてきた。

 元通りにはなるが痛みによる精神ダメージは治らないか。


『おいらたちも手伝うにゃ』


『ここから出ていってもらうッス!』


『ああ、龍神たち力を貸してくれ!』


 ノーマルフォームでも勝てると油断していた事実は潔く認めよう。

 だが、今からは全力で破壊神を潰す。


『駄目よ! ドレイクも分かっているでしょ。ここは貴方の中なの!』


『そうです。土の身体に付与するのとは訳が違います。ドレイクがここで私達を使うと心が壊れます』


 ふぁっ!?

 ……えっ、龍神たちを使えない?


『ドレイク、エレメンタルチェンジは自身の身体に負荷がかかっているのは自覚しているわよね? それに記憶に少し障害が起きていた事に気づいていない? 最近忘れっぽくなったとか……それ以上の負荷によって自我崩壊してしまうわよ』


 確かに直前のことを忘れてしまっていることが増えたような?

 しかし、龍神の力を使わないと欽治のステータスを持った破壊神には勝てない。

 

『あっは、ここでは得意な逃げもできないね』


 そうだったぁぁぁ!

 あわわわわ、チートな脳筋相手にノーマルじゃ勝てる見込みがねぇ!

 

『じゃ、さくっと殺られてね』


 ここで殺られてたまるか!

 自我崩壊だってすぐには影響が出ないだろ。

 それに忘れることだって何も悪いことばかりではない。

 一瞬で決着をつけてすぐに終わらせれば……。


『みんなの力を貸せ! 10秒だ、10秒で片を付ける!』


『それしかないにゃ』


『耐えられることを祈るだけだわさ』


『最後は賭けッスか! こういう展開は燃えるッス!』


『みんなっ……もう! ドレイク、どうなっても知らないわよ!』


『やっちゃうデース!』


『任務了解』


 右腕に風龍神を宿す。


 グラッ


 本当だ、これはかなりキツいな。

 だが、一属性では勝てない。

 右脚に雷龍神、左脚に氷龍神を宿す。

 

『う、うぅ……』


『やっぱり駄目よ! ドレイク壊れちゃう!』


『早くしろ!』

 

 左腕に水龍神を宿し残り二属性。

 胴体は防御重視の土龍神を宿す。

 そして炎龍神には頭部を……。


『それじゃ兄ちゃんバイバ――イ』


 ヒュッ

 ガキィィィン!


 破壊神の刃が右脇腹に直撃するが刃が通らない。

 当然だ、土龍神によって硬度を最大にしている。

 代償として素早く動けないがこれも計算の内だ。


 ガシッ


 左腕で破壊神を掴む。


『あはっ、接近戦がお望みなのかな兄ちゃん? こちらが優勢だと分かっているの?』


『…………科戸の風ぇぇぇ!』


 ブォォォォ!


 右腕に宿した風龍神により最大濃度の空気の塊を破壊神の腹部にぶつける。

 もちろん、左手で掴んだ破壊神を絶対に離してはならない。


『がはぁぁぁ……こ、この!』


『ま……だ……だ……ケラウノス!』


 バチッ!


 右脚を大きく振り上げ破壊神の頭上から雷霆を与える。

 雷龍神最大の一撃、その名に恥じぬ威力で破壊神は一瞬にして黒焦げになってしまった。

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