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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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このラスボスはどこかおかしい19

「あっは……同士討ちとは人族とはなんとも度し難い」


「欽ちゃぁぁぁん! 何年ぶりに熱い抱擁をぉぉぉ!」


 ば、馬鹿!

 今のあいつは欽治では無い。

 様子が違うことくらい……あの年中脳内ピンクが理解できるはずもないか?

 

 キンッ!

 

 破壊神が何の躊躇いもなく近付く杏樹に右ストレートを放つ。

 今、変な音がしたな?

 キンッって……金属がぶつかるような?


「欽ちゃぁぁぁん!」


 ガバッ!


 杏樹が破壊神に熱い抱擁をする。

 なんちゅう命知らずなやつだ。

 知らぬが仏というが……これは知らぬが地獄だよな。


「こ、この女! 僕の攻撃が効かない? だったらブレイクボディ!」


 シ――ン


「何も起きないだと……ひゃっ! 腋を舐めるなぁぁぁ!」


 なんちゅう硬さをしとるんだ……さすが元祖肉壁。

 破壊神もブレイクとか言っていたし杏樹に破壊の力を使ったのだろうが何も起こらなかった。

 杏樹に効かなかっただけなのか、それとも……いや判断するにはまだ早いな。


「次は念願のアソコ……ふへふへふへへへ」


 ムニュ


「ひゃっ!」


「な……なんだ? この触ったことのない悍ましい感覚は……」


 そうだった!

 杏樹は欽治を女だと思いこんでいる。

 だが股間を触ったりなんかしたらバレるのは当然のことだ。

 男嫌いな杏樹が次に取る行動といえば……。


「ひぇぇぇぇ! 欽ちゃんに……欽ちゃんに汚物が付いてるぅぅぅ!」


 杏樹が大慌てで破壊神から離れ手を服でこする。

 それでは満足できないらしく田んぼの水路に行って手を洗い出す。

 そこまで嫌なものなのか?

 

「神に……神たる僕に何たる不敬を……一人の過ちは全員の過ち……この場にいる全員破壊だぁぁぁ!」


 すみませぇぇぇぇん!

 空気を読めない変態でどうもスミマセェェェン!

 どうかお鎮まりをぉぉぉ!


「欽ちゃん! いつ生えたの!? それともあの世界で誰かに装着されたのか!? くそぉぉぉ、誰だか分からんが私の欽ちゃんをぉぉぉ! 欽ちゃん、少し痛いかもしれないけど切り落としてあげる!」


 勝手に生えるかボケェェェ!

 装着式でもないわっ!

 それに男として終わるようなこと言わんといて下さい!

 というか、お前はもう喋るなぁぁぁ!


「ん、それはやめてもらうね」


 ヒュン

 ドゴッ!


 ナデシコが破壊神の背後に跳び木刀で攻撃をする。

 左肩を潰したし、それなりに出血している。

 これ以上の斬り傷を増やすのは危険と判断したのだろう。

 

「ドレイク、拙の教えた技で行くですよぉ」


 そうだな、俺の攻撃で出血することはなく体力だけ確実に減らせる。

 

「3人ともここで待っていてくれな」


「父ちゃん頑張って!」


「欽治兄ちゃんをもとに戻してあげて」


「お兄様……」


 3人から離れ破壊神とナデシコの戦闘に参加する。

 ナデシコとは時々、目が合う。

 呼吸を合わせろということだろう。

 武術を習っていなかった頃の俺では何の意味があるのか理解できなかったが脳内修行でありとあらゆる武術を極めたからナデシコが伝えたいことが分かる。

 

「宙極の型……火炉使摩剣!」


 ボッ


 木刀が地面との摩擦で火が付き、そのまま破壊神に叩きつける。

 

 チラッ


 ナデシコの合図がきた。

 俺にも火属性の攻撃をしろってことだろう。

 属性反応は魔力の含まれた火でないと起こらないからな。


 ヒュッ


「炎龍の鉤爪ぇぇぇ!」


 ドゴッ


「がっ……」


 横から何者かが俺の脇腹に蹴りを入れる。

 

「クソオスが欽ちゃんに触れるな! 妊娠したらどうしてくれる!」

 

 杏樹またか!

 こ……この脳内ど淫乱メスがぁぁぁぁ!

 

 ズッガァァァァン!


「ナデシコ!」


 俺に変な横槍が入ったためナデシコが破壊神の攻撃をまともに食らい吹き飛ばされる。

 

 ピ……ピガ……ガ……


「ん、義体が壊れちゃった。危険だからクラウドに避難しておく。ドレイク、少し時間稼ぎを……」


 マジか……。

 俺が攻撃しようとすると杏樹が防いでくるし、破壊神はそんなの関係なしに周囲の人々をなぶり殺していくだろう。

 誰か……誰かに杏樹の妨害を防いでくれるような相手はいないか?

 ユーナは駄目だ。

 杏樹に近付いたらまた卑猥なことをされてしまう。

 師匠はモナという医者がホークと一緒に治療している。

 他に向こうの世界から来たのは一般人ばかりで女性はことごとく杏樹に襲われたのか倒れ込んでいる。

 ってか、どれだけ女好きなんだよ!

 ゴブリンやオークのメスや見た目が男か女か分からないドワーフの女性も杏樹にイカされたようだ。

 種族も関係なしとか……歩く卑猥生物だな。

 

「まずは一体。次はそこらへんのゴミデータから破壊していこうかな? この宇宙の神も喜ぶだろうね。大切なゲームである地球のデータを壊していくウイルスを除去してくれてさ……あはははは!」


 人間が地球を食い潰すウイルスか……。

 確かに産業革命以降から化石燃料を使い発展してきたけどさ、俺の居た頃より遥か未来の地球を見て分かる。

 地球人は宇宙に移動し、この星をこれ以上汚さないようにしている。

 空気がかなり澄んでいるのもそのお陰なのだろう。


「ちょっと待て! 欽ちゃん、どうしたのだ? あの優しい欽ちゃんが人を傷付けるはずが無いよね?」


 ニヤッ


 破壊神が不敵な笑みを浮かべ消える。


 ヒュッ

 パンパンパン!


「い、いやぁぁぁ!」


「きゃぁぁぁぁ!」


 一瞬で群衆の中に飛び込んでいき数十人の頭部がワンパンで粉々になっていく。

 

「破壊神、貴様ぁぁぁ!」


「なるほど、男は容赦なく滅ぼすということか! 欽ちゃん、さすがは私が見込んだ人だ!」


 ふぁっ!?

 よく見ると死亡したのは男性ばかり……いや、違う。

 女性は杏樹のせいで腰が抜けて立っていられなかったため死を逃れただけだ。

 

「おっと倒れているゴミデータも壊さないとね」


 そうだよな。

 杏樹もこれで分かっただろう。

 こいつは欽治であって欽治でない。


「欽ちゃん! 次は向こうだ。向こうに悪臭を放つ男がたくさん居る!」


「へぇぇ、本当だ。ゴミデータの塊が見えるね。少しでも多く除去するなら向こうが先決か……」


 ヒュッ


 ……ちょっと待てぇぇぇ!

 杏樹ぅぅぅ、男嫌いでもそれは駄目なことくらい理解しろ!

 

「欽ちゃん、私は分かったぞ! 汚物を無理矢理装着されたため男が憎くて仕方がないのだろう。うん、滅ぼして良い! そんなクソオスどもは消えても誰も困らない」


 ……こいつ、本当に殺っちゃっていいっすか?

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