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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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このラスボスはどこかおかしい15

 ザッパァァァン!

 ドプン!


 巨大な漆黒の大津波がすべてを飲み込む。

 ブラックホールで吸い込んだほうが良かったかな?

 いや、どちらも怖いし別に構わないか。


『パパだ――!』


『ドレイクしゃま――!』


『こ、ここは?』


 あの場に居た者たちの意識が瞬時に伝わってくる。

 これがすべて一つの世界の感覚?

 相手のプライベートな内容も筒抜けで理解できてしまうが、みんなそれぞれの意識はしっかりと存在している。

 俺の大切な家族や仲間たちはすべて無事のようだ。

 グランディアからの領民も魂だけは運良く誰一人として減っていない。

 傷つけられた身体も飲み込んだから闇の中で治療できるかな?

 

『ドレイク、みんなを解放するのは後にしなさい』


『そうだにゃ、破壊神。あいつが向かった先のことが気がかりだにゃ』


「ああ、急いでアルス大陸に行かないと……」


 思い当たる場所といえばまずはユーナタウンだ。

 タナトスによって破壊されたと聞いてはいるが確かめもしたいしな。

 雷神化し一瞬でユーナタウンのあった場所へ行く。

 

「これは……酷いな」


 巨大なクレーターが一つあるだけで建物の廃墟などは全く見当たらない。

 闇属性濃度で汚染されているため俺以外は近付けないし、ここでは無いようだ。

 あと思い付く場所と言えば……グレンか?

 雪の情報から得るとグレンもここと同じようにドラゴンブレスで壊滅したようだし……。


『ドレイク、ポワポワ村は?』


「ああ、そういえば雪もあの時居たんだよな」


 雪はどういうわけかセツが存在していない。

 俺がお仕えしていたローウェルグリン城の姫だったころのユキが今ここにいる。

 ま、セツは悪そのものだったし消えたのならそれはそれで良い。

 

『でも驚いちゃった。まさかドレイクがあのリュージお兄ちゃんだったなんて』


「はは、黙っていてごめんな。言っても分からないだろうと思ってさ」


 本当に懐かしいな。

 この世界でも思い出を数多く作っていたことを今更ながら振り返る。

 

『へ――、パパって昔はこんなだったんだぁ』


『ドレイクしゃまが……ドレイクしゃまが……かっこ悪いでしゅぅ』


『妹を放って逃げるなんて……ドレイク様あまりにひどすぎますわ!』


『僕が生まれるための母さんとの生殖行為は……記憶が無い? 父さん、眠っていたというのですか!?』


 あ、ちょっと止めて!

 俺の思い出を勝手に見ないで!

 うわっ、プライベート筒抜けの世界って凄く恥ずかしいんですけど!


『母様! 母様! わぁぁぁん!』


『エターニャ!』


 ダークエルフたちも火事で焼け死んだ者たちは闇の中に居る。

 外に出てしまっていたときはあまりの人数の多さに気付かなかったがルーシィさんが取り込んだ者もタナトスの闇に送られていたようだ。

 結局あの村を混乱させてしまっただけのようだな。

 

『これもあの娘が呪いに最後まで抵抗してくれたからだ』


『あの娘ってダリアのことか?』


『ああ、呪いは闇の世界で取り込んだ者を魔力に変換していたつもりのようだがその殆どは娘が与えていたのだ』


『ダリアってそんなに魔法が得意でもないし地球人だぞ?』


『消えたくないという思いが魔力を捻り出していたのであろう。だが、その結果娘自身の魂はかなり薄いものへと変わっていったがな』


 確かにUSBメモリに入れたときの魂は死人のものより小さかった。

 あのUSBの中で魂をデータ化するってナデシコが言っていたし後のことは彼女に任せよう。

 ポワポワ村上空に到着し下を見下ろすと生前に来た頃より旅館の数が増えていた。

 有名な温泉地のようだし良いことだな。

 ナデシコたちは何処だ?

 

『ドレイク様、後ろ!』


 今の声は……コスモス?


「あっは! ここに居るんだね?」


「なっ、破壊神!? いつの間に?」


 破壊神が村に向かって太刀を投げつける。


 ズガァァァァン!


 一瞬でポワポワ村が壊滅してしまう。

 え……威力が半端ねぇぇぇ!

 何なのミサイルなの!?


「ふむ……居ないようだね。ここも外れみたいだよ」


「お前! まさか、俺の後を追ってきたのか?」


「その方が確実に辿り着けると思ってね」


 そんな馬鹿な!?

 雷神の霹靂一閃の速度に付いてきたとでも言うのか?

 生身の人間であの速度を出したならGで身体が粉々になるぞ。

 というか光速を人間が出せるはずがないだろ!

 

 ヒュン


「うん?」


 ガキィィィン!


 ナデシコが破壊神の背後に現れ斬りつけるがそれをいとも簡単に弾き返す。

 

「ん、やっぱりうまくいかないか」


「ナデシコ!」


「あはは、虚を突くとはやるね。でも無駄」


 ナデシコはやっぱりここに居たのか。

 だとしたら師匠やユーナもここに?

 いや、破壊神はここに居ないと言っていたし……ってかナデシコが背負っているのって光龍の卵だよな?

 

 ヒュン


「ドレイク、これを取り込んで」


「え?」


「ドラさんに聞いたの。早く!」


 ナデシコが俺に渡したのは光龍の卵と巻物だ。

 訳が分からないが言われた通りに取り込む。

 だって、ナデシコって怖いんだもん!


「そうだ、ユーナたちは?」


「ん、地球に置いてきた」


 ふぁっ!?

 

「…………え?」


 俺も破壊神も一瞬思考が停止した。

 え……えぇぇ!?

 いや、それなら破壊神も師匠に手出しできないし正答なんだよな?


「ナデシコ……地球に……別の次元に柱を置いてきたの?」


「ん、後はあんたを欽治から引き剥がせばあたしたちの勝ち」


 いや、そうだけどさ!

 なんかこう……ストーリー的におかしくないか!?


「あは……あははははははははは! 神をも不可能なことをするなんて……」


 バキィ!


 破壊神が大きく地面を踏みつけ俺たちを睨みつける。


「そんなのチートだろうがぁぁぁぁ!」


 そうですよねぇぇぇ!

 めっちゃキレてますやん!

 ってか、この先の展開って……最悪な方向に行ってし……おっとフラグが立ってしまうから止めておこう。

 

「ドレイク、ここでラストバトルだよ」


 マジか……でもナデシコもいるなら何とかなりそうな気がする。

 先程ナデシコが渡してくれた巻物は師匠のものだった。

 修行ができないから破壊神に有効であろう戦い方を書いてくれている。

 ドラゴンスタイル?

 なっ、龍神をそんな使い方したことなんて無いぞ?

 ぶっつけ本番でやれってか?

 ……いや、どう考えても無理だろ!?

 縮地だって極めるのに2年程かかったんだぞ!

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