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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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このラスボスはどこかおかしい13

 言われた方向に精神を研ぎ澄ますと氷龍神ともう一つかなり微弱だが龍神の神力を感じる。


「ふぅん、さっき吐き出した時に龍神の御霊も外に出てしまったみたいだね。取りに行ってもいいよ。何もしないから」


 何もしないっていうのが一番怪しいんだよな。

 破壊神の動向に気をつけながら御霊のある方向へ行く。

 20億という人口がこの一帯に密集してしまっているため縮地さえも使えない状況だ。


「ば、化け物じゃぁぁぁ」


「どうして、私の股に汚物がついているのよ!?」


「んほぉ、巨乳触り放題やん」


「お、女になれたどぉぉぉ!」


「ワイ氏、ロリ体に……うへへ」


「ありゃまぁ、ひどい腰痛も消えたし姿勢もまっすぐなるしどうしてかのう?」


 あれ、思いの外喜んでいる人たちも……居る?

 何だかんだ言って自分の老いや外見が気に入らない人たちだって居るのは当然だと思うが、元に戻す方法が見つかった時に元の持ち主の肉体が失踪しないようにしないといけないな。

 だが20億の人たちの動向を全て把握できるかと言うと不可能に近い。

 やはりウンティやガイアたち俺の家族をも巻き込むことになるが動きを封じるしか方法がない。

 

『氷龍神の御霊、反応近くです』


『あったにゃ、あのお爺さんが拾おうとしているにゃ』


 やばっ、普通の人間が迂闊に触ると何が起こるか分からない御霊だぞ。

 

「あらん、綺麗な水晶玉……これは高く売れそうだわぁ?」


 パキン

 

 お爺さんが触れた瞬間に凍ってしまった。

 

「わわっ、なんだ? 人が凍りついたぞ」


「ま、まさかあの化け物たちの仕業か!?」


「どうでもいい! あんな醜い化け物は殺してしまえぇぇぇ!」


 さらに混乱が広がる。

 ゴブリンやオークたちは何もしていないのに見た目だけで差別するか……この地球人たちをいつまでもこの世界においておくとマジで絶滅させられてしまいそうだな。

 なんとか地球へ返す方法も考えなければ……。

 それにしてもお爺さんの凍りついた肉体から魂が抜けていく気配がない。

 

『コールドスリープ状態にあると把握』


『自分の火で解かせば息を吹き返すッスよ』


 ……コールドスリープなら必要な時に目覚めさせることができるか?

 みんなを石化させるよりその方がまだ人道的だと言えるだろう。

 氷龍神の御霊を手に取り体内に入れる。


「氷龍神、力を貸してくれ」


『ふ、ふわぁぁぁ……寒いからまだ寝るだわさ』


『にゃははは、氷龍ちゃん相変わらずだにゃ』


『氷龍、貴女が必要なの』


『あちきが必要? 必要とされているなら少し手伝ってあげるだわさ』


 なんか無気力感溢れる龍神なんだな。

 ま、良いや。


「氷龍神、よろしく頼む。エレメンタルチェンジ、アイスフォーム!」


『面倒だからこの地表ごと全てを凍らせるだわさ』


 氷神に変化し天罰を発動させる。


「よしっ、天罰!」

  

 パキン!


 一瞬にして遥か地平線の彼方まで氷の大地に変わってしまった。

 ルカ、ローズ、ウンティ、ガイア、それに領民たちすまないがもう少し眠っていてくれ。

 ホークだけは天罰の対象から除外しておいた。

 外見は誰だか分からないが魂はホークだと理解しているし彼女の頭脳は役に立つ。


『ドレイク、もう一つの神力も近くに感じられる』


 タナトスが持っていたもう一つと言えば……闇龍神か。

 御霊が入っていた空の水晶は俺がずっとポケットに入れていたがここに入れて復活するかな?

 手に取り出し微弱な神力を感じる方向に進む。

 徐々に水晶玉が黒く染まっていき神力が辺りから感じられなくなった。

 

『やったにゃ。でも……』


『自分はここに闇龍神が来ることに反対ッス』


『あちきも……同じだわさ』


『ごめんなさいねドレイク。闇龍神とは誰も仲良く出来ないの』


 過去に何があったかを知っている俺としてはこいつらの誤解を解いてやりたいと思うが今、無理矢理に俺の中に入れても反感を買うだけか。

 闇龍神の御霊をポケットに入れホークの居た場所へ戻る。


「あっは、ドレイクさんの親しい人も居るというのに全員を氷漬けにするなんて残酷だね」


「魂を元の肉体に戻すまでの間だけだ」


「ふぅん……ま、良いや。僕がこの星を壊すまでに解決できることを祈っているよ」


 ゆっくりと破壊神が立ち上がり俺に背を向け去っていこうとする。

 何もしてこない……俺やナデシコが師匠の居場所は絶対に喋らないから自分で探すつもりか。

 ここでこいつを野放しにして良いのか……?

 だが、どう足掻いても勝てる存在ではない。


「破壊神! 欽治は無事なのか」


「あははは、それを知りたければ情報交換しかないね」


 くそっ、師匠の居場所だけは言えるはずもないのを知って……。

 

 ヒュッ


 眼の前から破壊神は居なくなり静寂が訪れる。

 

「ナデシコ、すまない。今はこうするしか……」


「ん、良いよ。魂が別人ならこの人は雪じゃないし」


「ホーク……少し話をしたい」


「ええ、分かっておりますわ。でも最新鋭の設備が整ったユーナタウンはもう……」


 闇に堕ちた人間たちだけ助かって無機物である建物とかは元に戻っていないよな?

 そうだとしたら闇の中に居た者たちが居るここにあっておかしくないはずだし。


「それと勇者様、コスモスさんの記憶が入っていた機材も失ってしまったので彼女はもう……」


 そうか……そうだよな。

 なんだろう、もう会えないのに悲しみや喪失感も感じない。

 ルカやローズたちが居るからか?

 でも、あいつらだって躊躇いせずに氷漬けにしてしまった俺って……。


「ドレイク、この大陸は日中の気温が高い。先にこの人たちを涼しい場所に運ぶべき」


「お、おぅ……地形操作で地下に送れば良いだろ」


 ズンッ!


 な、なんだ地震?

 激しく地面が揺れ地割れや地盤沈下が起きる。


『ドレイク、あの破壊神とやらグランディール大陸全てのアースドラゴンを殺したわ。もう間もなくこの大陸が海に沈んでしまう』


 は……はぁぁぁ!?

 いや、だって……さっきまでそこに居たぞ?

 いくらなんでも早すぎないか?


「ナデシコ、ドワーフ国に居るユーナや師匠たちをすぐにアルス大陸へ連れて行ってくれ! あとドワーフたちも助け出せるだけアルス大陸へ」


「ん、じゃここは任せる。雪の肉体は持って行かせてもらうね」


「ホークも頼む」


「ん」


「お願い致しますわね」


 ヒュン


 コスモスとホークに任せておけばユーナたちは良いとして20億の人をどうすればいい?


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