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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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このラスボスはどこかおかしい12

 ナデシコに手を掴まれ跳んだのはグランディア近郊か?

 ってか、この人たちは一体……?

 

「雪!」


 ナデシコが走っていった先には雪が倒れている。

 はぁぁぁ、なんでサイコパス女までここに居るんだ!?

 そいつだけはマジでヤバい。

 まさか、この倒れている大量の人たちは雪に人形にされた人たちなのか?

 ……あそこにいるのは?

 目をやった先で倒れているのはウンディやガイアたちとユーナタウンの領民だ。

 

「ルカ! ローズ! ウンディ! ガイア! ホークまで!? どうしてこんなところに居るんだ!? おいっ、目を覚ませ!」


 必死に起こそうとするが誰も目覚めない。

 

「雪っ! 雪っ!」


 雪の方も同じようだ。

 ナデシコが必死に目を覚まさせようとするが目覚めない。

 というか、そいつは今ここで目覚められると困るんだが……。

 

「う、うう……こ……こは……」


 誰よりも早くローズだけが目覚めた。

 良かった、やはりみんな意識を失っているだけのようだ。

 

「ローズ! 大丈夫か!? どうしてここに居る?」


「ひっ……だ、誰!? ここはどこでありますか!?」


 あれ、ローズだよな?


「うわぁぁぁ! なんじゃこりゃぁぁぁ!?」


「ば、化け物アルネ! って、自分の肌も緑色になっているアルヨ!?」


 ザワザワザワ


 目を覚ます人たちが増えてきたが皆が皆、覚醒後自分の姿に驚いている。

 一体、何だってんだよ?

 

「ローズ、何があった?」


「き、貴様は誰でありますか! 自分はローズでは無いであります! 自分は欧州連合の特殊部隊チームイオタに所属するドロシーであります!」


 な、何を言って……?

 欧州ってヨーロッパのことか?

 ローズは地球のことなど全く知らないはずだ。


「勇者さ……ドレイク様!」


 背後から俺の名を呼ぶ声が聞こえる。

 振り向いてみるとそこに立っていたのは……え、誰?

 一人の男性だがスーツ姿でいかにも何処かの会社員という感じだ。

 この異世界の住人では有り得ないような格好をしている。

 

「えぇっと……どちら様?」


「私ですわ! ホークです!」


「いや、ホークはそこに倒れている女性……ああ、同じ名前の別人さんか」


「違いますわ! 元勇者軍で慈愛の使徒であったホークです! 現在はオーバーテクノロジー開発局局長のホークですわ! あと……そう、ユーナの母です!」


 ユーナを知って過去や現在の役職名まで理解しているってことは俺の知っているホークなのだろう。

 だが、どう見ても別人にしか見えない。

 

「あんた何を言っている! 俺は雪じゃないって! ってか、なんで女装させられてい……どわっ、胸……胸が!?」


「雪……もしかして混乱しているの?」


 雪も目覚めたようだが自分の姿に驚いている。

 一人称が俺とか本人は言わなかったはずだ。

 これは……いや、マジでわからん。


「おそらく皆が皆、入れ替わっているようですわね」


「ホークは冷静だな。ってかこの人達は何なんだ?」


「私も理解が追いついておりませんの。闇に呑まれ次に目が覚めたらこうなっていましたわ」


 闇に堕ちた?

 ホークはユーナタウンの地下研究所に居たはずだ。


「もしかして、俺が居ない間にタナトスがやってきたのか?」


「ええ、黒いドラゴンと共に。そしてドラゴンブレスで街ごと消滅しましたわ」


 嘘……だろ?

 だって、そこにルカやウンディたちの姿があるし街で見かけたゴブリンやオークたちも居る。


「アッハ、すべてが一の世界から戻ってきた反動だろうね」


「破壊神! いつからそこに?」


 後ろを振り返ると欽治が大きな岩の上で座りこちらを見ている。

 

「欽治、雪がおかしくなったのはどういうこと?」


「教えてあげてもいい。けれど交換条件で最後の柱の居場所を話してもらうよ」


 また交換条件か。

 その条件だけは絶対に飲めない。

 それに何となく理解できた。

 破壊神は相変わらず口が軽くて助かる。

 今、すべてが一の世界から戻ってきた反動だと言った。

 ダリアのあの刀傷から察するに破壊神が闇に堕ちた者たちを何らかの手段を持って開放したのだろう。

 闇に堕ちる=死だと俺は思い込んでしまっていたが、ミャク島でおふくろに聞いた話を思い出すと連れ戻せないことは無いのだろう。

 だが、闇の世界は個が存在しない場所だという。


「闇から強制的に個が存在するこの世界に戻すとなると……それぞれ個の肉体の中に魂がランダムに詰め込まれた状態で戻ってきた」


「ふぅん、見たこともないのになかなか鋭いじゃないか」


「それって雪は雪じゃないってこと?」


「だから、俺は雪じゃないって! ってか、なんで身体が女になってやがんだよ!」


「でもそれを知ってドレイクさんはどうするつもりだい?」


 俺が土の身体に魂が入っているのとは訳が違う。

 戻す方法など存在しない。

 それに時間が経てば経つほど危険なことも起こりうる。

 身体と魂が合っていないと拒絶反応が起こるかもしれないし、何よりこの人数だ。

 グランディール大陸の地平線の果てまで人で埋め尽くされるほどの人口……その全員が歪な状況で精神状態がまともでいられるはずがない。

 ホークの格好からして地球人も居るようだし……ってか大半が地球人のようだ。

 ダリアめ、タナトスとなった後に地球に戻って何してやがったんだ!?

 大勢の地球人が一斉に異世界転移させられたようなものだ。

 これは急いで対処しないと取り返しのつかない状況になりかねないぞ。


 パァンパァンパァン!

 ダダダダダダ!


 銃声が大地に響き渡る。

 げぇ、早速かよ!?


「ひぃぃ、化け物だ!」


「撃て撃て撃てぇぇぇ!」


 不味い、恐怖は伝搬する。

 この人数がみんな一斉に動き始めたら大混乱が起こるぞ。


「ち、違う……俺はにんげ」


「く、来るな! 醜い化け物が!」


「お、おい! やめろ!」


 パァン

 ドサッ


 近くに居た兵士の格好をした男がゴブリンに向かって銃を放つ。


「うわぁぁぁ!」


「人殺しぃぃぃ!」

 

 何処かも分からない場所で地球人がいきなり目の前にゴブリンやオークを見せつけられて混乱するのは当たり前だ。

 これは早くしないとグランディアの領民だった者たちが全滅させられるおそれもある。

 それに中に居る魂は別者であるという状況……その中にウンティやガイアも居るとしたら……。

 えぇぃ、仕方ない!


「土龍神、天罰で手足だけ石化させるぞ」


『無理よ。いくらなんでも数が多すぎるわ。それにもとに戻した後に石化した部分の神経に障害が残るかもしれないわよ』


 そうだとしても……他に方法が無い。


『にゃにゃ? 待つにゃ。ドレイク、南西方向に龍神の御霊を感じるにゃ』


『これは氷龍神の御霊と……闇龍神?』

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