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俺、神様になります  作者: 昼神誠
混沌の世界へようこそ
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この魔界はどこかおかしい4

 いったい、どんな策なんだろう。

 あるなら早くしてほしいのだが。

 マイケルは空中から雪を見下ろし、余裕の態度で言い放つ。


「小鳥ちゃんも救済し終わったわよぉん。さてさて、お次は何が来るのかなぁ?」

「へっ、それならこいつらが相手だ」


 パチン


 雪ちゃんが指を鳴らす。


 ドウーン!

 

「なぁぁぁ!?」


 外れた?

 いや、わざと外させたのか?

 あれってビーム兵器だよな、どこから撃ってきたんだ?


「な、何の魔法なのっ!? いったい、どこから!?」

「へっ、魔法じゃねぇぜ」

「何だと?」

「ほら、よそ見していると次は当たるぜ?」


 ドウーン!


「ぐぅぉぉぉ!」

「あっははは、ざまぁねぇな!」


 雪が得意げに笑っていたのはこれがあったからか。

 

「お、おのれぇ! 小賢しい真似をしちゃってくれてぇ!」

「ほらほら、上空に気を付けないとダメだぜぇ?」


 ギュン!

 ガキィィィン!


「な、何だ!? こいつらは?」


 で、で、で、出た――!

 人形決戦兵器じゃないか!

 

「蠅叩きの次は恐竜叩きでもしてもらおうかっ!」

「「うぉぉぉ! ジーク姐さん!」」


 パイロットはまさかアンチ地球派のやつらなのか?

 そんなことより、姐さん!

 俺にも一機ください!

 

「だが、大きいだけで!」


 ギュン!

 ズガァァン!


 マイケルが石の粒手を放つ。

 あの魔法は知っている。

 ストーンアローだ。


「め、メインカメラが!」


 いや、それダメ。

 

「うっふふふ、大きくても動きがアタクシより遅ければ!」

「へっ、いつまでイキがっていられるかな?」


 ドウーン!

 ドウーン!


 ビーム兵器の一斉発射。

 

「ぐぅぉぉぉ! しつこい攻撃ねっ!」


 マイケルがビームを避けながら、人形決戦兵器に近付き頭部を潰していく。

 でも、それってロボット相手にはあまり効果無いんだよなぁ。

 カメラの一つを潰すだけだし。

 狙うならコックピットなんだけど、まぁ知る由もないか。


 ギュン!

 ズガァァン!

 ギュン!

 ズガァァン!!


「ちぃぃぃ!」

「右舷、弾幕遅いぞ! 何やってやがる!?」


 いや、それもアカン。

 雪もノリノリじゃねぇか。

 だが、マイケルを押している。

 

「おのれぇぇぇ、頭を潰してなぜ生きているのっ!?」

「くくく、これが科学の力ってやつだ!」

「ふざけやがってぇぇぇ!」

「ほらほら、よそ見してると危ないぞ?」


 ドウーン!

 ドウーン!


 容赦なくビームを撃ちまくる人形決戦兵器が数機。

 マイケルの動きがさっきより悪くなっている?

 まさか、SPが尽きかけている?

 これはイケるか?


「戦いは数なんだよ。蟻の最大の武器は数だ。てめぇはそれを思い知りながら死んでいけ!」


 ドォン!


「ぐぅぉぉぉ、腕がぁぁぁ!」


 ビームがかすっただけでマイケルの片腕が焼け落ちている。

 ビーム兵器って相当な威力なんだな。


「あっははは、こいつぁ最高のショーだぜ!」


 雪とマイケル、どっちが悪役かわからなくなってくるのだが。

 

「ゆ、ゆ、ゆ、許さなぁぁぁい!」

「ほらほら、止まるなって言ってるだろうが」


 ドウーン!

 ドウーン!


 情け無しのビーム兵器での波状攻撃が続いている。

 マイケルはもはや必死に避けることに専念するしか無いようだ。

 そろそろ、一思いにやってやれよ。

 人形決戦兵器で小さい人間を狙い定めるのが難しいのか?


 ドォン!


「ぎゃぁぁぁ!」


 マイケルの太ももから下に直撃する。

 奴の両足はもうどこにも見当たらない。

 これで決まったな。


「はぁ……んだよ。だっせぇな。そろそろお開きにしてやるか?」

「お前たちを救済するのはアタクシなの! アタクシに救済されなさぁぁぁい!」


 マイケルが天高く片腕を上げる。

 何か、魔法を放つつもりか?


 ゴゴゴゴゴ!

 

 地響き?

 いや、空気自体が振動している。


「あいつ、SPを全部使って落とすつもり!?」 

「奴は何をするつもりなんですか?」

「空を見ればわかるわけ」


 上空を眺めてみる。

 何も変わりは無いように見えるが……。


 ゴゴゴゴゴ!


 いや……さっきより辺りが暗くなっている?

 日食のほうを見ると太陽を覆い隠すメテオがさっきより大きく感じるがまさか?

 空がさっきから暗くなってきているのもこれが原因か。

 

「まさか、あのメテオを……」

「窮鼠猫を嚙むってやつね。雪っち、相手を舐めすぎよ」

「何とか落下を阻止する手段は無いんですか!?」

「無理なわけ……完全に軌道がこっちに向かっているしぃ」


 これはマズい……あんな質量のメテオが落ちたらこの大陸だけじゃ済まないんじゃないのか?

 マイケルも勇者を道連れにして何してるんだよ!?

 頭が完璧にキレて、そんなことを考える余裕も無かったわけか?

 本当に窮鼠ってやつだな。


「あははははは! アタクシも救済されるがお前らも救済、勇者殿も救済、魔王も救済! 救済救済救済救済救済救済救済済済済済ぃぃぃぃ!」


 マイケルは完全に壊れているようだ。


 ドウーン!

 

 ビームが直撃し、マイケルの姿は完全に消え去った。

 

「へっ、とんだ置き土産をしていきやがって」


 雪がまだ笑みを浮かべている?

 何か打開策があるのか?

 

「お前ら、全力であの隕石を受け止めろ!」

「「うぉぉぉ! ジーク姐! ジーク姐!」」


 まさか、サイコフレ……ゲフンゲフン!

 念力みたいなもので押し戻すのか!?

 人形決戦兵器たちがメテオに向かって飛んでいく。


「あふん」

「あふん」

「あふん」

「姐さん! とても近付け……あふん!」


 ダメじゃねぇぇぇか!

 そりゃ、そうだよね!

 地球の引力に引かれている隕石にそう簡単に近付けるものじゃないし!


「へっ、使えねぇ奴らだ」


 雪も容赦無い言葉をはいてるし!

 頑張ったんだから、せめて労ってやれよ!

 俺は雪の元に行き、直接問いただす。


「雪ちゃ……姐さん! 他に何か方法は無いんですか!?」

「無いな。あんなの止めるなんて無理だ……諦めろ」


 なんでそんなに落ち着いてんだよ!

 全員、揃ってゲームオーバーじゃねぇか!

 誰かこの局面を変えられる……誰もいないし!

 ダリアがいれば、過去に戻って生き残れる。

 だが、勇者に捕らわれているし、そもそもここは違う大陸だ。

 アカン、詰んだ……詰んだよな、これ。

 いや、諦めてたまるか!

 普通だって最後まで足掻くことくらいできる!


「ルーシィさん、本当に何か方法は無いんですか!?」

「まさか、ここまでやるなんてねぇ。あっしも無理だわぁ」

「無理って死ぬんですよ!」

「あっしは1000年生きたしぃ。ま、良い男ともっと遊びたかったくらいかなぁ」


 完全に諦めモードに入っていらっしゃる。

 それほどまでにどうしようもない状況ってことかよ。

 

 ゴゴゴゴゴ


 大地も空気も揺れ、風が下から上に吹いているのが感じられる。

 これが隕石の落ちるときなのか。

 絶滅する寸前の恐竜の気分が何となくわかった気がする。

 

 ドーン!


 遠くの山で噴火が起きたようだ。

 この状況に勇者や魔王は何をしてやがるんだ?

 星そのものが消えるかもしれない瞬間だぞ!?

 

「おっと、そういや……」


 急に雪が言葉を発する。

 

「何かあるんですか!? 姐さん!」

「姉ちゃんなら何とかできんじゃね?」


 ……できるわけ、ねぇだろぉぉぉ!

 今、ここに居ない人に希望を求めてるんじゃねぇぇぇ!

 少し期待しちゃったせいで余計に最悪な気分になってしまったじゃないか!

 もう、アカン!

 詰んだ……詰んだよね、これ!?

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