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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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このラスボスはどこかおかしい3

 破壊神?

 何を言っているんだ、欽治。


『虚言、そんな神はいない』


『そうだにゃ、聞いたこともないにゃ』


「あっははは、龍神如きが知らなくても当然だよ」


 唐突に返答する欽治。


「なっ、龍神の声が聞こえているのか!?」


「僕は神だよ。心の声など聞くのも容易い」


 神って……俺やユーナと同族?

 いや、ステータス上では種族はヒューマン……つまりはただの人間だ。

 まさか半神?

 そんなはずがあるか!?

 欽治はバッグベアの能力で肉体や魂すべての時間が戻され、死ぬ以前の人間に戻っている。

 それに欽治は以前の俺と同じ転移者だ。

 ……まさか、今のダリアと同じような状態?


「先輩とは違うよ、兄ちゃん。先輩は闇龍神共々、呪いに喰われた哀れな存在」


 ふぁっ、呪い?

 呪いって何だ?

 また、初耳だぞ?

 闇龍神の御霊を持っているだけでは無かったのか?


『色々と知っていそうね? ドレイク、今は下手に手出ししないで情報を聞き出すことに専念するのよ』


『自分もそう思うッス』


 そうだな、自分で神と名乗る奴相手に迂闊に戦闘を仕掛けられない。

 それに身体は欽治のものだし馬鹿力も健在だ。


「おっと、そう言えば兄ちゃんたちはまだ知らないことだったね。でも……ま、条件次第では色々と教えてあげても良いよ」


「色々とって……どこまで知っている?」


「すべてさ。今さっき土龍神が言っていたでしょ? 僕から情報を聞き出せって」


『あっ……』


『さっきのも聞こえていたみたいにゃ』


『ごめん、今は迂闊に話しかけないほうが良さそうね』


 こいつは本当にやりにくいな。

 俺の思考は聞こえていないようだが龍神の声は聞こえてしまう。

 

「破壊神、欽治はまだ無事なのか?」


「ふぅん、兄ちゃんは僕が心配なんだ?」


「お前のことじゃない。欽治そのものの魂のことだ」


 ダリアと同じように生まれ持っての魂に後から他の魂が入った状態なら上手く行けば引き剥がせるかもしれない。

 だが、こいつはダリアとは違うと言っていたし……そこのところだけでもなんとか聞き出して欽治を助け出せば何とかなるかもしれない。


「兄ちゃん、もしかして僕が僕じゃないと思っている?」


「今のお前に兄と呼ばれる謂れはない。俺の弟だったキンジは……もう居ないんだ」


「お兄様……」


 ユーナが師匠を治療しながら俺の方を心配そうに見守っている。


「……イリュージョン」


 ヴォン


 破壊神が幻影を解除し欽治(青年)に戻る。

 見たところ何も変わっていない。

 ダリアは髪の色が淡いピンク色だったのがマゼンタピンクに変わっていたことで普通では無いことは理解できた。


「どうやらドレイクさんは僕が別の存在に支配されていると思っているようだね」


「そうだ」


「一つ問おう、君たち神族は自分が神とでも思っているのかい?」


 違う、あくまでも神族はこの世界の一つの種族であって神様ではない。

 だが、この質問では自惚れた答えのほうがいいのか?

 兄妹であるユーナにフォローを入れてもらうか、目配せをしてユーナに合図を送る。


 コクッ


 ユーナが俺の意図を理解してくれたのか頷く。


「ああ、俺たち神族は他の種族を導くこの世界の神だ」


「ふぅん、ドレイクさんまで他の神族同様にそう思っているんだ? 僕の勘違いだったみたい」


 ちっ、こっちでは無かったか。

 ユーナ、頼むぞ。

 

「お兄様、ユーナたちは人様が居なければ存在できない種族なの。信仰を栄養源に活動できているのだから人様と同じ一つの種族だとユーナは思うの」


「あっは、妹に救われたね。そう、神族は神では無いんだよ、もちろん龍神もね」


 ナイスだ、ユーナ。

 ツッコミどころ満載な返答をしたらどうなるか賭けだったが、完璧な解答をしてくれてお兄ちゃんは嬉しいぞ!


『あいつ、おいらたちまで単なる動物扱いしやがったにゃ!』


『痛い目見させてやるッス!』


 いや、逆に俺らが痛い目見ると思うぞ。

 しかし、龍神も神では無いだと?

 この世界の創造主だぞ。

 性格はどうであれこの世界を作った者を神と呼ぶのでは無いのか?


「死後も思念体としてしぶとく残留しているけれど生前は単なる生命体。宇宙空間でも生きていられるほどに頑丈だけどね。それのどこが神だっていうのかな?」


 言われてみれば確かに?

 いや、だったら神って何だ?

 創造主≒神では無いのか?


「ド、ドレイク……かなり昔に変わった考えを持つ学者と話したことがあるですよぉ」


「バハムートお義姉様、まだ動かないで」


 師匠が俺と欽治に話しかける。


「この惑星よりも広大な空間である宇宙は誰が作ったのかって言うとんでもない発想で当時は誰も興味を持たなかったですぅ」


 宇宙は誰が作ったかって?

 ……龍神もこの宇宙で生きる単なる生物なら宇宙の創造主こそ神ってか?


「ああ、ナヌリワイだね。今から924年前にこの世界に転移してきたロシア人だったかな? 真実に近付いた者として処断したのを覚えているよ」


「ちょっ……ロシア? どうして地球の国名が出てくるんだ!?」


「あっは、謎が増えて困るねドレイクさん。教えてほしければ僕の条件を飲むことだね」


 まさか、今のも俺に条件を飲ませるための誘導だったのか?

 この世界にはあらゆる時代の地球から人間が転移させられているのは俺がこの世界に来てすぐの頃から知っている。

 そういうものだと気に留めて置かなかったが神が意図して行っていたならそこには何らかの理由があるはずだ。


 ……今、破壊神が無意識に口を滑らせたのか重要なことを漏らしたな。

 そのロシア人が真実に近付いたために殺したと……だったら師匠から話を聞けば何か分かるかもしれない。

 ユーナの方を横目で見るとニーズの治療は完了したのか大人しく眠っている。

 そして、ファフは氷漬けにさせられていた。

 今のユーナが凶行を起こすはずが無いし理由があって氷漬けにしたのだろう。

 おそらくファフはユーナでも治せないほど死に近付きすぎていたため、コールドスリープで死の進行を遅らせるしか手は無かったと考えるのが妥当か。

 ユーナは師匠の治療を初めているがあの傷だ。

 すぐには終わらないし逃げるにしても出入り口はユーナの背後にある一か所のみ……もう少し時間を稼ぐしか無いよな。


「さっきからお前が言う条件って何だ?」


「聞いても飲まないだろうけど教えてあげる。そこの最後の柱をこちらに渡してちょうだい」


 欽治が指を指したのは師匠だった。

 結局はドラゴンを狩りたいだけなんかい!?

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