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俺、神様になります  作者: 昼神誠
混沌の世界へようこそ
57/592

この魔界はどこかおかしい3

「あっらぁ、良い男たちじゃなぁい!」


 よくこれだけの人数を支配したものだな。

 さすがに3000人というだけあって、全体が見渡せるわけではない。

 巻き込まれるのも怖いし、少し高台に移動したいのだが目と鼻の先に救恤の使徒がいるため、へたに動けない。

 

「へっ、せいぜいイキがっていやがれ。舎弟1から500はチャカで援護射撃! 501から530は短刀ドスであいつを蜂の巣にしてやれや!」


 チャカとかドスとか幼い子が使う言葉じゃないですよ、雪!

 というか、呼び出した奴らって武器まで持ってこれるんだ?


「姐さん! お久しぶりです!」


 スライムにやられた人だよな、なんで生きているんだ?

 

「んな、挨拶は後でいいんだよ。さっさと、あのオッサンにオヤジ狩りすんぞ」

「す、すいやせん!」


 怖いお兄さんたちがまるで奴隷のように……。

 

「お前ら! 姐さんが見てるぞ! 頑張った後に良い子良い子してもらうぞ!」

「うぉぉぉ!」


 あれ、怖いお兄さんたち……だよね?

 短刀を持ったお兄さんたちが使徒に向かい走っていく。

 その間に拳銃を持った怖いお兄さんたちは使途を取り囲むように動き出す。

 

「うふ……無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁ!」


 ゴゥ!

 ズガーン!


「「あふん」」


 まったく戦力になって無いやん!

 短刀を持った怖いお兄さんたちは使徒の鞭でやられ、消えていく。

 あふんすると元の世界に強制的に戻されるんだったな?


 パァン!

 パァン!


 拳銃の射撃音が大地に響き渡る。

 

「そんな豆粒、痛くも痒くも無いわよぉん」


 やはり、ステータスを一瞬で変えられてはどうしようもならんな。

 今は体力極振りの鋼の身体になっている状態だ。

 体力を爆上げしたとたん、ドレスが破れ筋骨隆々な肉体が姿を見せる。

 うん、ちょっとは気持ち悪さが軽減したかもな。


 ドォン!


「姐さん! 弾が切れやし……あふん」

「「あふん」」


 ダメだ……数が多いだけでは意味が無い。

 あいつの言う通り数が増えただけでは何も変わらない。


「あっははは、数の恐怖とやらはどうしたのぉん?」

「へっ、あんなゴミ共相手にして勝っても何もすごかねぇぞ」


 ゴミって……怖いお兄さんたちがあまりにも不憫だろ、雪。


「誉め言葉として受け取っておくわぁん。残りの彷徨える子羊ちゃんたちもすぐに救済してあ・げ・る」

「まだまだこれからだ。てめえは肉片さえ残さず救済してやらぁ! 舎弟531から600……突撃ぃぃぃ!」


 ブォン!

 ブォン!


 だから、どっちもそんなのは救済なんかじゃないんだって!

 それより、この懐かしいエンジン音はバイクか?

 さっきの黒いスーツの人たちの後に出てきたのは、背中に夜露死苦と書かれた特攻服を着ている暴走族たちだ。

 手には釘バットを持っている。


「てめえら! 姐さんに良い子良い子してもらうぞ!」

「ヒャッハー!」


 ブォン!


 あんたたちもかい!

 バイクで荒れた大地を疾走しながら、使徒を翻弄し攻撃を与えるつもりのようだ。

 

「うふん……無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」


 あまりその言葉を連発しないでください!

 某有名少年漫画と同じだから!


 ギュン!


 素早さ極振りか、やはりそう来るよな。

 

「あふん」

「あふん」

「あふ」

「あべし!」


 目にも見えないほどの速さで各個撃破していく使徒。

 だが、移動してくれて助かった。


「ルーシィさん、あの高台に今のうちに!」

「え……おけまる!」


 ルーシィさんが俺の左手を掴みテレポートをかける。

 一瞬で高台に着き、身をかがめて戦場全体を見渡す。

 暴走族のお兄さんたちは、次々と簡単にやられて数を減らしていく。


「へっ、使えねぇ野郎共だ」


 雪が得意げに笑っている。

 何か策でもあるのか、それとも単純にこの環境を楽しんでいるのか?

 おそらく、後者だろう。

 何とか、雪を連れて逃げたいところだが凶暴な性格だからなぁ。


「あふん」

「さぁて、そろそろ飽きてきちゃったわぁん。まだ、アタクシを救済するつもり?」


 まったく疲れた様子も無く、傷の一つも付いていない。

 舎弟か知らんけど弱すぎだろ?

 怖いお兄さんたちももっと頑張ってくださいよ。

 

「へっ、まだまだあるぜ! 舎弟601から700、逝け!」


 死亡前提かよ!

 

「「おぉぉぉ! 姐さんのために!」」


 次も暴走族か。

 だが、乗っているバイクが見たこともないモデルだ。

 雪の時代のバイクか?

 

 ウィーン

 ドドドド


 バイクのタイヤ部分が変形する。

 

 ブォン!

 

 浮いている?

 空飛ぶバイク?

 ヤバい欲しいんですけど!


「お前ら、いくぜぇ! 終わったら姐さんに頭を撫で撫でしてもらうぞ!」

「「うぉぉお!」」


 ドゥン!


 地面を走るバイクより圧倒的に速い。

 今度は空中を飛び回りながら、使徒を翻弄している。


「あらん、子羊ちゃんの次は小鳥ちゃん? ……フライ!」

「フライですってぇ!?」


 ルーシィさんが驚いている。

 使徒が唱えた魔法のことか。

 名前からわかる通り、空を飛ぶ魔法で使徒の身体がフワフワと浮き上がっていく。


「ルーシィさん、あの魔法も珍しいものなんですか?」

「セレクトと言い、フライと言い、どうやら救恤の使徒はとんでもない能力を持っているわけね」

「何の能力なんです?」

「失われた魔法を使う能力なわけ」

「失われた魔法?」

「ロストマジックっていうやつなわけ。あっしの生まれる前にはすでに無くなっていたわけで、詳しくは知らないんだけどぉ……」


 ルーシィさんの話では古代の人たちはMPというものを備えておらず、代わりにSPというステータスがあったらしい。

 今でも確率はかなり低いがMPを持たずSPを持った古代人のDNAが強く引き継がれた状態で生まれる者がいるみたいだ。

 SPを消費して使用する魔法のため、ロストマジックと言われているらしい。

 

「ロストマジックに弱点って無いんですか?」

「魔法そのものはMPと同じで消費して使用するんだけどぉ、問題はそのSPなわけ」

「どんな問題が?」

「自動回復できるんよのねぇ、早くは無いけどぉ。あとはHPをSPに変換できるところもMPとは違うわけでぇ」


 そんなこともできるのか。

 残りのSPはどれくらいか、アナライズで試しに覗いてみる。

 えっと、マイケル・オールダム?

 あいつの名前、マイケルっていうのか……そんなことはどうでもいいんだった。

 えっと、SP……項目が無いぞ?


「ルーシィさん、SPという項目が見えないんですが」

「当然よぉ、アナライズは現代魔法だものぉ」


 現代魔法っていうのもあるのか?

 でも、確かにSPが無くなった現在では見る必要は無いもんな。

 ちなみにマイケルのステータスにMPという項目があるものの、数字は表示されていない。

 困ったな、マイケルのSP残量がわかれば、自動回復できても対策が立てられる。

 だが、見えないと時間をかけてマイケルを消耗させることくらいしか方法が無い。

 どれだけ時間がかかるかもわからないし、雪の舎弟が先に尽きてしまうかもしれない。

 やはり、雪を連れて逃げるしかないか?


「あふん」

「あふん」


 思考を巡らせている間に、蠅叩きをするかのようにマイケルが次々と鞭で飛行型暴走族を打ち墜としていく。

 これでは舎弟の全滅は時間の問題だな。

 あいつらに気を取られている間に退散した方が良さそうだ。

 雪は相変わらず得意げに笑い、マイケルを眺めている。

 

「姐さん、出撃準備が整いました!」

「へっ、やっとか。あのオッサンが恐怖に歪む顔をじっくり楽しませてもらうとすっか!」


 他に何か策があったんだ!

 これは期待していいんスよね、姐さん!?

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