表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
569/592

このタウンはどこかおかしい7

 ルカから報告の続きを聞き、その後ローズの住むマンションへ向かった。

 部屋割りを俺が決めローズにそのことを伝えるためだ。

 

 コンコン


「あれ? 何処かへ出かけているのかな?」


『中から土属性の気配は感じるわよ』


 鍵は開いている。

 ま、家族だし勝手に入っても構わないだろう。

 部屋の中に入るとルカたちの住んでいるところと違って殺風景だ。

 ルカめ、距離的に離すだけでなく扱いまで差別化している。

 後で長時間お説教コースだな。


「ドレイクしゃま? そのおしゅがたは……」


「ローズ、良かった。居るのならどうして返事をし……えっ?」


 ローズが抱きかかえているガイアがぐったりとしている。

 息はあるが非常に弱々しい。


「ドレイクしゃまぁ……ガイアが……ガイアが……」


 ローズに話を聞くとこの街へ転移してから急にガイアの容態が悪くなったようで、どうすれば良いのかずっと悩んでいたらしい。

 パニクって行動に移せないとはローズらしいと言えばらしいか。

 ガイアは俺が土神だったころのローズとの子だから高い土属性を秘めている。

 土龍神なら原因が分かるかもしれない。


「土龍神、ガイアを診てくれないか?」


『分かっているから早く土神になって、その子の額に手を添えて頂戴』


 ガイアに手を添えると力強い土属性の神力が流れ込んでくる。


 ブォッ!

 

『これは……』


『自分たち龍神に近いほどの神力ッスね』


『謀反を起こされると勝ち目ないにゃ。おいらたちにとって危険な存在ににゃるかもしれないにゃ』


『幼いうちに殺っとくッスか?』


 こら、俺の子だぞ!

 しかし、こいつは本当に驚いた。

 ガイアのステータスは2才の時点で俺のアースフォーム時を軽く超えるほどのステータスを持っている。

 こんなことってあるのか?

 

『生まれ持っての天才としては異常過ぎるわね』


「ドレイクしゃま、ガイアが弱っている原因はなんでしゅか?」


「ん? ああ、もうちょっと待って」


『この子、凄まじい勢いで神力を放出しているわね。まるで水道の蛇口を全開にしているように……』


『方角的には南方、そこに神力を付与しなければいけない存在が居ると推定』


 南方?

 ……南方でガイアに縁の有りそうな場所といえば故郷であるグランディア?


『もしかしてアースドラゴンに死期が迫ってきている? いえ、そんなはずは……』


「ちょっと待て。どうしてアースドラゴンとガイアが関係している? あの大地を形成していたアースドラゴンは土龍神のものだろう?」


『この子に聞かないと真実は分からないけれど、おそらく眷属化したのでしょうね。そうでなければ神力を対価として支払う必要が無いもの』


「アースドラゴンを眷属にしたらどうなるんだ?」


『グランディール大陸の北部を形成していたアースドラゴンを自在に操作できるわ。地脈も何もかもね』


 まじかよ。

 でも、ガイアがどうしてそんなことを?


『やっぱり謀反を起こすつもりだったんだにゃ。赤子でも油断にゃらないにゃ!』


『殺っちまうッスか? 殺っちまうッスか?』


『どちらにせよ、アースドラゴンがこの子から大量に神力を取らないといけないほど追い詰められているのは事実だわ』


 欽治、強すぎだろ!?

 ドラゴンとはいえ無害な大陸の一部だぞ?

 

「ドレイクしゃま、早くガイアを……」


 どちらにしても欽治を止めなければ話にならないか。

 グランディアで戦火に巻き込まれた犠牲者は後回しだ。

 俺、一人でなら一瞬で行けるしな。


「ローズ、ガイアをもう少し看ていてくれ。原因が分かったからそれを排除してくる」


「は、はい! ドレイクしゃま!」


 俺がガイアの額から手を離そうとしたときだった。


「はぁはぁはぁ……僕も……連れて行って……」


「ガイア、意識が戻ったのでしゅね!?」


 ガイアの声を聴くのはこれが初めてだ。

 ウンディといい神族は2歳でもしっかりと言葉を話せるらしい。


「無理だな。雷神化しての移動にお前は耐えられない」


「そん……な……うぅ」


 悔しそうな顔をしているが無理なものは無理だ。

 ガイアに合わせて移動していたら時間がかかりすぎる。

 体力が無い状態では背中に乗せて縮地で移動するのも危険なほどだしな。


 コンコン


 突然、誰かが扉をノックする。

 来客はローズに任せて俺はグランディアに行かせてもらおう。


「わわっ、ユーナしゃま! こんなところにどうして!?」


「えへへ、あたしも居るよ――!」


「こんにちは」


 部屋に入ってきたのはユーナとウンディとエターニャだ。

 まさか、ガイアを遊びに誘いに来たのかな?


「どうしたんだ、揃いも揃って」


「ユーナちゃんがパパに話があるんだって!」


「お……お兄様、えっと……やっぱり……恥ずかしい」


 ウンディの背中に隠れるユーナ。

 うん、やっぱり可愛い。

 以前のユーナとは全く違った感じで大人しいのが最高に良い。


「どうしたんだ、ユーナ。兄ちゃんに言ってみ」


「う、うぅ……その……えっと……ガイアの代わりにユーナが行っても良い?」


「ユーナ……様……あり……がと……う」


「やった! ちゃんと言えたね、ユーナちゃん!」


 ユーナが自分から来たがるとはどういうことだ?


「ドレイク様、ユーナさんが未来予知で見たようで……」


 未来予知?

 そう言えば以前のユーナもそんな不可思議な力を持っていたな。

 エターニャがこそっと俺に内容を話してくれる。

 これから行くグランディアで良くないことが起こるらしい。

 そして、それを俺は止められないようだ。


「ユーナが付いて行ってその事態は収められるのか?」


「さぁ、そこまでは分からないようです。でもドレイク様が一人で向かっても解決できないのであれば……」


 俺の霹靂一閃の速度に耐えられるユーナだけでも連れていくべきってか?


『丁度良いじゃない。さっき色々と話していた件も解決できるし一石二鳥よ』

 

『未来予知ってフラグキャンセラーのことと推定』


『ドレイクの妹は有能だにゃ。それも有り得そうだにゃ』


 フラグ……何だって?

 でも確かに俺が関わることにあらゆるフラグが立つのなら事前にそれを何となく把握できるユーナは貴重な存在だ。

 良くないことが起きるのであれば尚更付いてきてもらったほうが良いのだろうが……やっぱり危険だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ