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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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この夜はどこかおかしい8

 こちらに注意を向けさせようと攻撃をしても微動だにせず街へ攻撃を続ける。

 普通の風魔法では弱すぎてまるで効いていない。

 あの禍々しい服装がニーニャさん自身の防御力も底上げしているようだ。

 土属性が含まれているためだろう。


「風龍神、科戸の風をもう一度だ」


『了解にゃ』


 ヒュゥゥゥ


 風属性を掌に込める。

 濃度を最大限まで込めるのに時間が必要なのが超威力魔法の弱点だ。

 だが闇属性を一撃で拡散させ吹き飛ばすほどの風を起こすのにウィンドアローやトルネードでは威力が低すぎる。

 

 ドォォォン!

 ドォォォン!


 街の3分の1ほどが黒く染まってしまった。

 研究所から遠い区画に居る領民はほぼ全滅したようだ。

 そうなると次の狙いは人が集まった研究所になるのは明白。

 

『ローズ、研究所の状況は?』


『ホークしゃんの転送装置で移動を開始しているところでしゅ』


『よし、ガイアを連れてローズも先にドリアドの町へ行ってくれ。ホークが住人の人族に話はつけてあるはずだ。余計なトラブルを起こさないように領民たちを見守ってやってくれ』


『ドレイク様、私もウンディと一緒に研究所へ向かいますわ。屋敷にある宝物などはどうしますか?』


 光龍神の御霊は地下神殿だし他に無くなって困るものは無い。

 石化した母さんはすでに復活してナデシコと行動を共にしているはずだ。

 

『ユーナは?』


『妹君ならオボロさんが先に連れて行きましたわ』


 さすがオボロだ。

 本来のマスターを第一に考えてくれて助かる。


『だったらすぐに研究所へ行ってくれ。上空に注意しろよ。榴弾の爆発する範囲が意外と広い』


『パパ! その……さっきはごめんなさい……』


『ウンディ、ママを守ってくれ』


『うん!』


 ヒュゥゥゥ……


 科戸の風を起こす風球が掌に完成する。


「よし、行くぞ!」


「膨大な神力を感知。対処を開始します」


 ガシャ


 ニーニャさんが榴弾砲を収納しミニガンを取り出す。

 科戸の風から放出される神力でやっと俺に標的を絞ったか。

 今度はこいつをニーニャさんに直撃させることに俺も集中しなければな。

 

「ニーニャさん! 俺も貴女に伝えておきたいことがあります」


「神族の言葉に耳を傾けるとでも?」


 キュゥゥゥ

 ズガガガガガガ!


 ちっ、油断を誘うこともできやしない。

 戦闘モードのニーニャさん相手では他の策を考えなくてはいけないな。

 風神状態だから銃弾を躱すことについては大して苦にならない。

 それが無限ガトリングであろうとだ。

 直線的な攻撃なら軌道も読みやすい。

 無数に向かってくる銃弾を躱しニーニャさんに接近する。


「よしっ、取った!」


「クスッ……」


 ニーニャさんが不敵な笑みを浮かべる。


『にゃ? 風が……危ないにゃ!』


「えっ!?」


 バシッ!


 左腕に一発の弾丸が直撃する。

 どうして!?


『周りを見てみるにゃ。あれは……鋼鉄の壁?』


「まさか跳弾か!?」


 ズズッ……


 左腕から闇属性が侵食を始める。

 くそっ、左腕を切り落とすしか無いか!?


「ウィンドカッター!」


 ズシャ


 ぐぬぅぅぅ!

 分かっているが滅茶苦茶痛ぇぇぇ!

 腕を躊躇せずに切り落とせる思い切りの良さは夢の世界での特訓のおかげだな。

 

「自身の腕をすかさず切断しましたか。その潔さは正直感服しますね」


「ははは……クソ痛ぇがな」


 ホークの造った治療ポッドで四肢は再生させられる。

 問題は四肢以外に当たった場合だ。


「では終わらせてあげましょう。闇の中では痛みなどありませんから」


 ガシャン


 接近できたはずなのに俺が自身の腕を切断している間に再び距離を取られてしまった。

 ニーニャさんのような遠距離主体の攻撃相手には接近戦を挑むのが良い。

 中間距離では鞭攻撃が飛んでくるし。

 あの宙に浮かぶ鋼鉄の壁はアイアンウォールだな。

 やはりニーニャさんの胸に付いているブローチは土龍神の御霊か。

 これからは跳弾にも気を付けないといけない。

 予測しにくい攻撃で急激に難度が上がった。

 四肢なら切断すればなんとか助かるが胴体に直撃すると抵抗することさえできずに俺も闇に堕とされてしまう。

 分かっているがやっぱ闇属性こぇぇわ。

 死も何万回と夢の世界で経験したがそれとは別の恐怖が闇属性にはある。

 

「風龍神、科戸の風をなんとか飛ばして当てられないか?」


『無理にゃ。この魔法は高密度の風球だにゃ。投げ飛ばしている間に風が拡散して威力が弱まってしまうにゃ』


 俺の掌でずっと風属性を練り込み続けて居なくてはならないのはそういった理由があるのか。

 しかし、この状態は右手が完全に封じられて他の魔法を放つことができない。

 左腕があれば……って言ってもすでに遅しだよな。


 キュゥゥゥ

 ズガガガガ!


 ガトリングガンの銃弾をすべて警戒しなければならないのは非常に辛い。

 どの銃弾が跳弾し俺の死角から向かってくるか分からない。

 しかも跳弾は一度切りとは限らないしアイアンウォールを先に壊そうと試みるもニーニャさんはすでのそのことも予測して攻撃を与えてくる。


「ってか、そもそもなんで土属性の壁が宙に浮いているんだよ!」


 俺がロックウォールやグランドウォールを張ろうとしたときは地面が盛り上がり壁になる。

 地面から切り離すなんて思いもしなかった……というかそんなこと可能なのか?

 土神の力を失ってしまった今となっては試しようが無い。

 

『あれはアイアンウォールじゃないにゃ。確か……えぇっと、リフレクトビットだったと思うにゃ』


 なんだよそれ!

 ガン◯ムの世界じゃねぇか!

 

『あれは魔法を反射させるものだったはずにゃ。どうして物理攻撃が反射されているにゃ?』


 ニーニャさんが使用する弓矢や銃器はすべて闇属性の弾だったはずだ。

 つまり魔法の銃弾ってことになる。

 だから反射するのだろう。

 自滅を狙って接近しても闇属性の銃弾が闇属性の身体に当たったところで何の意味も無い。

 そもそも跳弾って使用者自身もどの角度に反射するかまで正確に把握できないのが弱点のはずだ。

 いくら頭の良いニーニャさんでもあの量を計算しきれるはずが無い。

 数撃ちゃ当たるような作戦でガトリングガンを俺に向けているのはそのためか。

 ……何だかニーニャさんらしくない攻撃だな。


 鴉が体内に入っただけで生前の記憶が無くなったとは考えにくい。

 タナトスからの供給が途切れている今こそチャンスなのは確かだ。

 鴉がニーニャさんをおかしくさせている?

 しかし体内に入った鴉だけを排除するなんて無理だ。

 何とか科戸の風を当てるために接近する時間だけでも稼げないか?

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