表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
537/592

この夜はどこかおかしい4

「ドレイク様、ウンディを今すぐもとに戻してくださいまし!」


「そうよ、自分のお腹を痛めて産んだのはルカ様なのよ!」


 こいつぅ!

 ゴブフェ美って俺が国を空けている間にグランディアへやってきた者か?

 見たことのない顔だし、ここまで俺に言い詰めてくる領民など今まで居なかったからな。

 だが壁の外に居たゴブリンは勇者軍によって駆逐されてしまったはずだ。

 生き残りがここに辿り着いた?

 ま、俺も確認したわけではないし可能性は捨てきれない。

 

「さぁ、早くウンディを!」


「この女の敵め! ルカ様のお言葉を聞き入れなさい!」


 他の領民は黙って俺の方を見ている。

 これが同調圧力と言うやつか?

 俺は悪くないのに何だか物凄く悪いことをしている気分に陥ってくる。


『なんなんだにゃ! 神に向かってあの態度はいくら温厚なおいらでも腹が立つにゃ!』


 神か……ノーマルフォーム時の俺は最早神族でも何でも無い。

 うん?

 神では無い……神になればもしかして。


「エレメンタルチェンジ、ウィンドフォーム」


 ポワッ!


「お……おおお! 神だ!」


「儂は……儂はなんてことを!」


「神である覇王様を疑ってしまった!?」


「覇王様、どうかお許しを!」


 俺の周囲に居る領民たちが土下座をし俺に頭を垂れる。

 

「ドレイク様ぁぁぁ! 私もなんてことを! どうか! どうかお許しを! そして許せるのなら是非子作りを……」

 

「ちょっ!? ルカ様、あんなにこいつを嫌がっていたのに!? それにみんなしてこんな男神に頭を下げるなんてどうかしてるわ!」


 ルカはまたしても態度を180度回転し目をハートにして俺に媚を売ってくる。

 どうやら俺の存在感とは神のオーラがあったから慕われていただけのようだ。

 つまり俺は神としての役目がなければどうでもいい存在ってことか?

 ……なんだか、かなり傷付くんですけど!

 しかしゴブフェ美だけは俺に対する態度を変えようとしない。

 そんなに男が嫌いなのか?

 勇者軍のならず者たちにすぅんごぉういことをされた……ってことは無いよな?

 いや、女性ゴブリンに手を出す物好きな男も居るかもしれない。

 でもなぁ、その男憎しって感情を俺やグランディアの男性たちにぶつけられてもただ迷惑なだけだ。

 ま、さっきの様子だと男性たちはこいつとは関わろうとせず若干孤立しているのは分かっていたが同じ女性たちには大きな影響を与えている。

 俺が戻ってきたばかりのころにルカも若干様子が変わったように見受けられたのはフェミニストの思想が影響を与えたからなのか?

 

「ゴブフェ美だったか? お前は何処の国から来た?」


「男が気安く私の名前を口に出さないで! 汚れてしまうわ!」


 ビュゥゥゥ


 話すつもりは無いのか?

 だが、それだと話が先に進まない。

 風を強くし威圧をかけてみる。


「答えろ」


「ひっ……こ、これだから男は! 最後には力を持って無理矢理に従わせようとする!」


 おっと彼女にとってこの手段は逆効果だったようだ。

 大抵の者ならこれで何でも話すのだが神に対し畏れ慄かないとは気が強いだけでなくそれなりにこの世界の道理に対する抵抗力もあるようだ。

 ステータスは普通のゴブリンと同じか。

 知力は若干高めだが偏った知識で高くなっているのは聞くまでもない。

 

「ドレイク様、ウンディを何処へ連れて行くつもりですの?」


「うん? ああ、地下神殿だ。あそこなら人々の想いも防げるし何より広いからな」


「ウンディをそこで数ヶ月ほど生活させるともとに戻りますの?」


「いや、ユーナの様子からして少なくとも1年以上は必要だろう。だが、子どもにとっての1年は大きい。ホークが魔封石を大量に使った施設を作ってくれるまでだ」


「では、私も地下神殿で暮らしますわ。もちろん、仕事は屋敷で済ますつもりです」


 今やあそこにヤマタノオロチの巨体は無い。

 そうか、あの空間内に家や寺子屋を建てればユーナやローズの息子のガイアも安心して生活できそうだ。

 

「ルカ様、そのような男神に近付かないでください!」


「ゴブフェ美黙りなさい。この領地がここまで発展されたのはドレイク様が守ってくださっているからですわ。貴女には話を聞いていただいたご恩があります。今回は見逃しましょう。ですが、次からはドレイク様を侮辱されるのでしたら……」


「こ、これだから男に惚れている女ってのは!」


 まだ噛みつく気か?

 引き際をわきまえないと自滅するだけだぞ。

 

「ドレイク様、申し訳ございません。この者は1年前に領民が倒れているところを発見し救って差し上げたのですが……」


「もと難民なのは分かっているよ。何処からやってきたんだ?」


「それが武者小路教とやらを広める宣教師のようでして……」


 うん?

 武者小路?

 どこかで聞いたような?


「宣教師ってことは牧師だったのか?」


「ええ、どんな神であろうと神に仕える仕事をしている者は蔑ろに出来ません。ですから、この国で武者小路教とやらを広めることを許可したのですが……」


「因みにだがその宗教が敬う神って誰なんだ?」


「はっ、武者小路教をそんじょそこらの宗教と同じにしてほしくないわね! 女性による女性のための女性だけの宗教なんだから!」


「この信者たちが奉るのは神族ではありません。人間ですの。教えでは祖が現人神として奉られているようですけれど……」


「今も生きている人なのか?」


「当たり前でしょ! 武者小路杏樹様の素晴らしさを知れば誰だって女性が至高なる者であることを認識するわ!」


 ふぁっ!?

 あ、杏樹だってぇぇぇ!

 そう言えばあいつの名字は武者小路だったよな。

 道理で聞いたことが有る名前のはずだ。

 あいつを神とする宗教?

 あんなド変態を神と同等に扱うなんて……こいつら、フェミニストなんて生易しいものじゃねぇ!

 男は滅んで当然とする思想に侵されたやつらだ!

 

「杏樹に会ったことがあるのか?」


「私は杏樹様に愛された一人よ! あの方の前では男なんてくっさいゲテモノをぶら下げた汚物にしか見えないわ!」


 杏樹ぅぅぅ、お前ってやつは種族が何であろうと雌なら手を出すのか!?

 やっぱ究極の変態だよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ