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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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この夜はどこかおかしい1

『おいらの鱗だけで無く他の龍神の鱗も媒体にして誕生した存在が主ってことであっているかにゃ?』


『はっ、そのとおりでございます』


「なぁ、風龍神一つ聞いていいか?」


『なにかにゃ?』


「光龍神がヤマタノオロチやその他の龍族を作ったのか?」


『光龍ちゃんは全ての生命の創造主だにゃ』


「だったら人間も?」


『人間は猿の進化形の一つに過ぎないにゃ。光龍ちゃんが創造したのはそこの龍族を除けばこの星そのものだにゃ』


「だったら生命の創造主は星になるのでは?」


『その星が出来なかったら神族も人族も生まれていないにゃ』


 いや、スケールが大きすぎてついていけないのだが……。

 風龍神の御霊が俺の中に入り込み風龍神の全てを識った時、すでにこの星は誕生していた。

 まだ生命体と言えばスライムだけだったがスライムが人間や犬や猫に進化したのでは無いのは確かだ。

 原初の生命体から様々な種族に枝分かれしていったのは地球と同じだ。

 古生代から恐竜が居た中生代、哺乳類が誕生した新生代まで地球と同様の進化を辿ってきている。

 ただスライムの存在が後に大きな影響を及ぼしたのがこの星の特徴なのである。

 スライムが誕生しなければ地球と同じ経路を辿っていたとも言えるよな。

 

「風龍神の記憶は俺も共有したから識っているが誕生した瞬間のことは知らない」


『にゃにゃ、おいらの生まれた時? そんなの考えたことも無かったにゃ』


 実体のある存在だったら人族と同じスライムの進化系?

 いや、他の動物の想いを取り込んで意思を持たなければ神族は誕生しない。

 人間どころか魚類でさえ誕生していない頃の記憶がある風龍神は何処から来た?

 もしかして光龍神が創造した?

 

『我らは今ここに居る。それだけで良いでは無いか。過去を辿ったところで現状は変わらぬぞ』


『そうだにゃん。難しいことは考えてもキリがないにゃ。おいらは光龍ちゃんが主を何故作ったか聞きたいにゃ』


 ま、他の龍神の御霊を取り戻せば分かることだし後回しにしてもいいだろう。

 ってか過去を知っても意味がないようなことを言っておきながら風龍神のやつ、ヤマタノオロチの誕生に関しては興味津々のようだ。

 

『我はバハムートやヨルムンガルド・ワイバーン・ケツァルコアトルなど単一の龍神の欠片から誕生した龍族たちが与えられた使命とは異なるものを持っております』


『にゃにゃ、ケツァルコアトルはおいらが光龍ちゃんに頼んで作ってもらったにゃん』


 ケツァルコアトルは風龍神の欠片のみで作られた存在だったのか?

 

「風龍神はどうして龍族を作ってもらおうと思ったんだ?」


『龍神たちは生殖機能が無いにゃ。でも下々の生物を見ているとおいらも子どもというものが欲しくなってきたにゃ』


 それでケツァルコアトルを?

 だとしたらヨルムンガルドやワイバーンも他属性の龍神が光龍神に頼んで作ってもらったのだろう。

 

『うむ、そして龍神の欠片から誕生したバハムートやヨルムンガルドどもには子孫を残すという使命が与えられ今に至っておる』


 だから師匠はあんなに痴女なのか。

 ま、それくらい盛んでなければ絶対数が少なかった龍族が今ほどの数になることは無かっただろう。

 

『だから気になっているにゃ。主は子孫を増やせる龍族より永遠の存在であるおいらたち龍神に極めて近い存在だにゃ』


「だから御霊だけになっても意識があるのか?」


『我は子孫を残すという使命ではなく龍神そのものの存在を無くさないために作られのです』


『何故にゃ? おいらたちは滅びないにゃ』


『ですが風龍神様や他属性の龍神様は人神によって肉体を滅ぼされ、光龍神様は御霊の意識までも奪われました』


『にゃふぅ……』


 普通の生き物だったら肉体を深く傷付けられるだけで逝ってしまうのにそれが無い龍神たちは御霊と言う存在になって存命できている。

 しかし、自分自身で動くことが出来ないという時点で植物に近い。

 いや、数を増やすことが出来ない時点でほとんどモノだな。


「なぁ、風龍神。どうして意識があるのにタナトスに反抗しなかったんだ?」


『あれはすべての生命を滅ぼすことしか考えていないにゃ。おいらは動けないし口で何を言っても無駄だから眠っていたにゃ』


「それで力を自由に使わせてあげていたのか?」


『にゃふぅん、もちろん全部じゃ無いにゃ。そのために眠っていたのにゃから』


 全部の力では無い?

 ああ、そうか。

 天罰も使われたら一瞬で全生命を窒息死させられる。

 ……待てよ、タナトスは他の龍神の御霊も持っている。


「もしかして、他の奪われた属性の御霊も?」


『眠っているにゃ。当然にゃ、おいらたちだって大人しく使われるほど間抜けじゃ無いにゃ』


 天罰が使われないだけ良いよな。

 でも闇に攻撃できるのは光だけと言う事実は変わらない。

 

「ヤマタノオロチが龍神の存在を残すために作られたのは分かった。でも御霊になってしまったのなら他の龍神と変わらないよな?」


『いいや、一つだけ肉体を取り戻せる方法がある。風神よ、貴様の屋敷に有る龍の卵を持って来い』


「龍の卵?」


『バハムートと貴様の子だ! まだ生まれていない卵が有るじゃろう!』


 えっ、師匠って卵を産んだのか?

 だったらファフとニーズはバハムートが産んだ有精卵から生まれたってことか。

 ま、人の形をしていても師匠だってドラゴンだもんな。

 と言うか3人目が居たのかよ!

 12歳で5児のパパだなんて……くそぅ、男の重圧が更に重く俺に伸し掛かってくる。

 

『早く持って来ぬか!』


「お、おう。なんかよく分からないが取り敢えず見てくる」


 壁から手を離し坑道に戻ろうとした時だった。


「パパぁ、お話終わったの?」


「父ちゃん遊んで――」


「こらこら、まだ修練が終わっていないよ。早く強くなって……強くなって……ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、僕の獲物に! じゅるり」


 欽治も何とかしないと本気でファフとニーズを狩ってしまいそうだ。

 まだ自覚が出ないが俺の子だ。

 そんなことは絶対にさせない。

 

「「ぶ――ぶ――」」


「ははは、またここに戻ってきた時に遊んでやるよ」


「ほんと!?」


「やったぁぁぁ」


 う――ん、純粋で可愛い。

 想いを取り込んでいない神族は心が綺麗なのは本当のようだ。

 純粋過ぎるが故に穢れると真っ逆さまに堕ちていくのだろうな。

 ディーテやヒメも最初はこんなのだったと思うと少し寂しい気持ちになる。

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