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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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この国はどこかおかしい5

 12歳で4児のパパ……なんてこった!

 これが夢であって欲しいと思うほどだ。

 ユーナも幼い状態だし急激にロリ率が上昇してしまった。

 そう言えばゴブ爺の保育園に預けているパティも3歳近くになっているはずだ。

 ヤマタノオロチの生存を確認でき次第見に行ってみるか。

 と言ってもあの巨体が無いだけである程度は見当が付いてしまっているのだがな。

 

「ここに居たヤマタノオロチは?」


「ヤマタノオロチ?」


「なぁにそれ――?」


 ファフとニーズが知らないってことはこの子たちが誕生する以前には居なくなっていたと言うわけか。


「欽治、ここに居たドラゴンをどうしたんだ?」


「ぼ、ぼぼぼぼ僕も知りません!」 


 めっちゃ動揺しているやん!

 これは少し揺さぶるだけで吐きそうだな。


「以前、ミズガルズでお前に襲うなと言ったドラゴンなんだが……」


「八つ首のドラゴンなんて一片も残らず駆逐なんてしていません!」


 やっぱり!?

 ……これは完全に殺りやがったな?

 くそぅ、ヤマタノオロチを守り切ることが出来なかった。

 これで龍神の欠片から誕生した龍族はバハムートである師匠だけになる。

 欽治の様子から察するに人型の姿である以上、相手がドラゴンであっても興奮して狩ろうとはしないようだ。

 ドラゴンの尻尾や角が生えているファフやニーズの世話をしていたことからも確認できるしな。


「欽治兄ちゃん続きしようよ」


「おいらも頑張る!」


「う、うん。そうだね早く強くなってお父さんの力にならないとね」


 何をしていたのかと思えば欽治がこの子たちに稽古を着けているのか?

 ファフとニーズはウンディやガイアと同じ年齢なのに成長が早い。

 ドラゴンの血を引いているためかな?

 

「子どもは可愛いですね――。見ているだけで癒やされます」


「そうだな」


 雪があんな状態になってショックも大きいのだろう。

 ま、あいつに注いでいた愛情をこの子たちに向けてくれるのは俺としては嬉しい。


「どうしてこの子たちに稽古を……はっ!」


「じゅるり……」


 いや、これ絶対に邪な考えがあるだろ!?

 まるで獲物を狩るような目でファフとニーズを見ている。

 

「ど、どどどどドラゴンの子を僕が育て最強のドラゴンにするのが夢なんです!」


 絶対に嘘だ!


「……本音は?」


「最強のドラゴンになったあの子たちを僕が全力で狩る……はぁはぁはぁ、これは濡れます!」


 どこに濡れる要素があるんだよ!

 雪のお兄さんなだけあったわ!

 欽治も脳筋なだけではなくサイコパスの片鱗が見られるとは思いもしなかった。

 

「パパ見て見て――! 急襲の型、終生無破剣!」


 バシャァァァン!

 

 巨大な水柱が立ち上がる。

 ほう、沖縄県は初めて見た。

 水属性を含んだ剣戟なのか。

 

「凄いですね。僕の教えた型でも場所によって使えないものもあるんです」


「あの技も?」


「はい、水場でしか放っても意味を成さない終生無破剣もああやって水魔法を太刀に含ませ使いこなせてしまう発想……さすがドラゴンですね。じゅるり」


 だから獲物を狙うような目つきであの子たちを見ないでくれ!

 あと涎を垂らすな!

 暫くの間ファフとニーズの戦闘訓練に付き合うことにした。

 体幹もしっかりとしていてとても2歳児とは思えない動きをする。

 これってそんなに遠くない未来に師匠を超えるのでは無いだろうか?

 性格は優しいが神族の特性も俺から受け継いでいるため人々の想いを取り込んでしまう体質はユーナと同じだ。

 半神のため肉体が壁となって魂に影響を及ぼす速度は遅いがそれでも人々の悪い想いも取り込んでしまい悪神にさせるわけにはいかないよな。

 

「そう言えばどうしてここで特訓をしているんだ?」


「母ちゃんが外に出たら駄目だって言うもん」


「パパ、僕も外の世界を見てみたいよ」


 欽治に話を聞くとファフとニーズはこの地下神殿で生まれたようだ。

 そして師匠から外に出る許可は俺から得てからだと言う。

 もしかしてこの地下神殿も人々の想いを阻む魔封石のような特性があるのか?

 

「すまん、少し調べたいことができた」


「はい、分かりました」


「父ちゃん何処行くの――?」


「壁を調べるだけだよ」


 この光る鉱石も魔封石と同様に鉱石感知の能力で反応しなかった。

 今の俺は土神の能力を失っているから再度確かめることは出来ないが以前試した時はそうだったのをしっかりと覚えている。

 光る鉱石を含んだコンクリートの壁に手を当ててみる。


『やっと我に気付きおったか?』

 

 壁から声が聞こえる?

 いや、これは思念?


「もしかしてヤマタノオロチか?」


『他に誰がおる。それよりも土神の力を失い風神の力を得たか?』


 エレメンタルチェンジをしていないのにヤマタノオロチには分かるのか?

 

「本来なら有り得ないようだが風龍神の御霊のお陰で一命を取り留められたよ」


『にゃにゃん、もっと褒めてもいいにゃん』


『こ、これは風龍神様!? お、おい土神……じゃなかった! 風神よ龍神様が居るなら先に言わぬか!』


 いつも偉そうなヤマタノオロチだが風龍神には頭が上がらないようだ。

 

『にゃふぅ、おいらの欠片も持っている? それに他の龍神の欠片まで……凄いにゃん! 光龍ちゃんの欠片まで持っているにゃ!?』


 光龍ちゃん?

 光属性の龍神のことかな?


『主は何者にゃ? 肉体が滅びても生きていることから新しい龍神なのかにゃ?』


 龍神の欠片から生まれた龍族のことを龍神本人が知らなくても当然か。

 それより俺も気になっていた。

 欽治に滅されたはずなのに生きているのは何故なのだろう?


「ヤマタノオロチ、すまないが欽治に殺られたはずなのでは?」


『そうじゃった! 風神、貴様があんなのを連れてきたため我も肉体が滅びてしまったではないか!』


「す、すまん。色々あって俺も動けない状態だったんだ」


『誤って許されると思うな! この我が滅ぼされたのだぞ!』


 ヤマタノオロチが激おこぷんぷん丸になっている。

 欽治のせいでどうして俺が叱られるハメになるんだ。


『にゃにゃ、乱暴なやつだにゃん。もっと静かに……』


『す、すみません! 風龍神様!』


 俺とでは会話が進みそうにも無いし風龍神に任せるか。


『主は龍神では無いのかにゃ?』


『はっ、我は貴方様や他の龍神の一部から誕生したヤマタノオロチと申します』


『にゃ、おいらの子どもみたいなものかにゃ?』


『いいえ、繁殖能力で誕生した存在では無いため子息より分身に近いものかと……』


『分身能力なんてどの龍神にも持っていないにゃ。分身できるなら戦時中にたくさん増やしているにゃ』


『光龍神様の命令によりラグナロクの後に誕生するよう設定されておりました故、我も詳細は存じませぬが欠片を預けた覚えは?』


『光龍ちゃんの命令? あ、確かに鱗を2~3枚渡したにゃん!』


 龍神の欠片って鱗のことだったのか。

 ……あれ、神族の神である存在なのに実体があるのか?

 人神はスライムが意思を持った存在であることはミャク島の古代杉の記憶からすでに知っている。

 スライムの構造は属性力の塊だ。

 水スライムは水属性だけで創造されているし、風スライムは風属性だけで構成されている。

 他の属性スライムも例外はない。

 そこに意思を持って誕生した存在が人神なのだ。

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