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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神の先にあるもの
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この国はどこかおかしい3

「ホーク頼みがある。ユーナが育った環境のように出来るだけ広いスペースで人々の思念が遮断出来る場所を作って欲しい」


「その件に関してはすでに手を打っておりますわよ。ただ壁が特殊な材質のため時間がかかりますの」


 確か魔封石だったか?

 魔力を通さない石であるが故に鉱石感知でも見つけられないんだよな。

 そう言えば俺は闇ユーナによって土神の力を死滅させられたため鉱石感知ができないのだった。 

 でも土神族の天使であるローズが鉱石感知できるから他の鉱石に関しては心配いらない。


「魔封石だよな? 勇者城の地下やホークの階層で大量に使っているイメージがあるのだがそれは何処で採ってきたものなのだ?」


「さぁ? 倉庫に使われずに保管されているものを使っただけですので……」


「倉庫って勇者城のか?」


「ええ、すべて使ってしまったため行っても無駄ですわよ」


 なんじゃそりゃぁ!?

 ユーナのために貴重な石を使って改築してくれたのは感謝したいが在庫がないのなら確かに行くだけ無駄だよな。

 すっかり忘れていたが現魔王であるアレクサンダーもどうにかしなければいけないんだよな。

 地下研究所を爆破したのなら瓦礫だが魔封石がいくつかあるのは分かっているし再利用できそうだ。

 しかしグレンからグランディアまで持って帰るにしても距離がありすぎる。

 

「ドレイクしゃま、魔封石をおしゃがしなんでしゅか?」


「ああ、純度100%の魔封石で壁を作ると人々の思念を完全に断てるんだ」


「しゅ、しゅごいでしゅ! だったらガイアも!?」


「コスモスの部屋に引き篭もりしなくても良くなる」


「だったら今しゅぐにでも鉱夫にお願いしてきましゅ!」


「鉱石感知に反応しないだろ?」


「鉱脈なら最近見つかったんでしゅよ」


「な、何だって!?」


「あら、それは運が良いですわね。だったらここにも建てられる……か」

 

「ここにもって?」


「地下研究所の瓦礫の中にある魔封石を使用して建築する予定なのですわ。場所はドリアドの町ですけれど」


「ドリアドの町? まさかユーナを?」


「ええ、ユーナ派の領民たちも移住を決意しておりますわ。実現すれば人族と魔族が共存できる世界初の町となりますわね」


 ううん、ユーナ派?

 

「ええっと……すまん、ユーナ派ってなんだ?」


「ユーナを神とする派閥のことですわ。この町では自由な思想が出来て羨ましいですわね」


 ユーナって昔から何気に人気があるんだよな。

 領民の前に出したのは数える程度で後はずっとコスモスの部屋に居たから名前だけ聞いた者も多い。

 頻繁に領民と関わる俺と真逆の神だし俺の妹という理由だけで人気が出ているところがある。

 人気というよりかは神的な存在に敬い畏れていると言ったほうが良いのかも。

 そうか神様なんだからあまり領民と関わり過ぎる俺は神族であって神と見なされていないのかもしれない。


「えっと……俺は? 俺の派閥ももちろんあるんだよな?」


 領民に寄り添い色んな事をやってきたんだ。

 派閥なんて争いの種になりそうだがファンクラブ程度のものならあっても良いと思う。


「勇者様の派閥は聞いたことがありませんわね? 他にあるのはルカ派とローズ派……ああ、バハムート派も極少数ですが居たような?」


 俺の存在って一体!?

 ひ、酷い!

 みんなから好かれるように今まで頑張ってきたのにぃぃぃ!

 

「ドレイクしゃまの派閥は無いんでしゅ。だって唯一の男神なんでしゅから」


「あら、そういう意味でしたの? でしたら勇者様の妹君であらせられるユーナ派は少しばかり特殊ですわね?」


 何を2人で納得している!?

 あんなに俺を頼ってくれる領民が俺推しじゃないことに傷付いているのにぃ!

 

「ドレイクしゃま、こしゅもしゅ派なんて無いんでしゅ。だからぁ……あたちと」


「そうだコスモス! ホーク、コスモスの入っている培養槽はどこに?」


 また正妻戦争なんかに巻き込まれてたまるか!

 俺はコスモスと添い遂げると心に決めているんだ!


「案内いたしますわ」


「あたちは鉱夫しゃんたちに魔封石の発掘作業に取り掛かるよう指示してきましゅ」


「ガイアは俺が見ておくよ」


 ローズはすぐさまに鉱山へと向かっていった。

 俺はホークの後を付いて歩き研究所の中にある別の一室へ入る。


「コス……モス……」


 コポコポコポ……


 培養槽の中で眠っているのはコスモスだった。

 頭にたくさんのケーブルが繋がったヘルメットを被せられている。


「あれって俺が脳内特訓で使用したものと同じ?」


「用途は異なりますけれど機械としては同一ですわね」


「何をしているんだ? コスモスは……」


「意識はまだ回復しておりませんわ。いいえ、この言い方には誤解を招きますわね?」


「どういうことだ?」


「意識は戻そうと思えば戻せますわ。あの装置を取り外せば……」


「だったら!」


「本当に良いんですの? あの装置を取り外し意識が戻ってもコスモスさんはアップデートに失敗し欠陥品の意識を持った状態ですわ」


「えっ、それって……でもホークが魂の研究を初めて結果を出したって」


「覚醒させることは出来ましたわ。ですが自分を欠陥品としか言わず、すぐに自身を廃棄処分しようと……」


 研究所で再会した状態から変わっていないってことか。

 身投げをする場所が無い状態で廃棄処分……おそらく自傷行為に走ったのだろう。

 培養液が回復効果もあるおかげで傷は完治している。

 

「だったら今はコスモスの意識をアップデート前に戻している途中なのか?」


「そう簡単ではありませんわ。脳内に入った情報を選んで消すなんて機械ではありませんのに……」


 確かにそうだよな。

 でもパソコンのようにアップデートでホムンクルスの能力が向上する仕組みを作ったのは凄いよな。

 

「あの装置を取り付けているのは何故なんだ?」


「彼女の持つ記憶情報を収集しているんですの。ですが人の持つ情報量は感情を含んでいるため容量が機械以上になるのは必然。容量がすぐにパンクしてしまいますの」


 ホークがコスモスの眠っている培養槽の隣に置いている装置から記録媒体的なものを取り出し新しいものを取り付ける。

 同じ記録媒体が数百個ほど置いている。

 これが全部コスモスの頭の中に入っている情報だってのか?

 

「まさかずっとその作業を?」


「このメモリに入るのはパソコンで言えば512ゼクサバイト。それでも人の頭の情報量を書き込むと数時間分程度しか書き込めないんですの」


 ゼクサってテラの次であるペタの更に上の単位だよな?

 俺の生きていた地球ではまだテラが一般的になりつつある状態だったのにやはりこの世界に浸透してきている科学力はダリアや欽治の居た地球なのかもしれないな。

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