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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神のいない世界
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この決戦はどこかおかしい6

 しかし肝心の勇者の居場所が分からない。

 リアルに近いマップや人員配置をしているのならば勇者が居るのはアルス大陸の最東端にあるミスリウリ村だ。

 だが違っていれば大きな時間のロスとなってしまう。

 もしかしたら勇者城の最上階にある勇者の間に居る可能性も捨てきれない。

 

 チラッ


 横目でナデシコ型を見る。

 また独り言……じゃなくて同系統と通信をしているようだ。

 

『ん、何?』


『あっ、いや……勇者に用事があるのだが』


『勇者様ならミスリウリ村』


 簡単に教えてくれた。

 それって機密情報扱いにしなくて良いのか?

 ミスリウリ村か……行ったことが無い場所だしアルス大陸の最東端にある村だとしか俺も知らないんだよな。

 ナデシコ型に聞けば教えてくれるかな?

 

『ミスリウリ村の場所って分かるか?』


『勇者様に用件でもあるの?』


『あ、いや……まぁそんなところだ』


 ナデシコと10年以上話していないためナデシコ型とこうやって話すのもなんだか緊張してしまう。

 転生してからは常に戦闘状態のときしか会話していなかったからな。


『じゃ掴まって』


『えっ!? まさか連れて行ってくれるのか?』


『ん、用件を済ませないと帰らないんでしょ?』


 もしかしてこれもクリア条件では無いのでは?

 上手く行き過ぎている。

 それにミスリウリ村で勇者とバトルになったらこのナデシコ型も敵として加勢してくるのは簡単に想像が付く。

 どうしたものか……迷うな。

 他にグレンで試練のクリア条件になりそうなものは何か無いか?

 それを試してから移動しなければ時間の無駄になる。


『ん、遅い』


 ガシッ

 ヒュン


 ふぁっ!?

 ナデシコ型が俺の腕を掴み瞬間移動する。

 ぎゃぁぁぁ、何やってんだよぉぉぉ!

 まだ連れて行ってくれなんてお願いもしていないだろうがぁぁぁ!


『誰だ、貴様は?』


『勇者様に用件があるんだって』


 しかも勇者の目の前に現れている!?

 ちょ、ちょ……ちょ待てよ!

 まだ心の準備というものが出来ていないのに!

 

『俺に用件だと? 知り合いのガキなど居ないが……』


『こりゃ、DK59021023! 勇者様の眼前に出現するとは失礼極まりないぞ!』


 ぎゃぁぁぁ!

 スリードまで隣に居るやん!?

 あかん、終わった。

 俺ここで死ぬんだぁ……。

 

『ん、反省』


『反省など猿でも出来るわい! さっさと失せんか!』


『怒られそうだからあたし帰るね』


 ヒュン


 えっ!?

 えええええ!?

 そこで逃げるの!?

 しかも俺をここに置いて!?

 ひ、酷い!

 なんて非常識極まりないんでしょう、あの娘ったら!

 

『小僧、貴様もじゃ! 勇者様に用件があるのなら事前にアポイントを取るのが社会常識というものであろう!』


『ひっ、す……すみません! では俺も……』


 ナデシコ型と同じように俺もここから上手く誤魔化して離れるしか無い。

 

『待て』


『勇者様いけませぬぞ! 社会常識を教えるのも勇者の役目! ここはまずアポの取り方を……』


 あんたらの教育を受けたら絶対に危険人物ばかりになるわ!

 しかし、スリードめ。

 やたらと常識に拘るよな。

 あ、勤勉の使徒だから真面目過ぎて脳が凝り固まっているだけか。

 だがここはスリードの言うことに従っておけば逃げ切れるかもしれない。


『爺、黙れ』


『はっ、失礼いたしました』


 えっ?

 勇者さんどうしてお止めになるんですか?

 アポを取ったら帰りますのでわざわざ席から立たなくても……。


 ゴッゴッゴッ


 世紀末悪党のボスが乗っていそうな玉座式の馬車から勇者が降りてくる。

 

『小僧、貴様なかなか良い身体をしているな? 何処で鍛えた?』


『えっ、身体……』


 ちょ、何々何?

 まさか勇者ってそっち系なの!?

 それとも単なる脳筋?

 

『勇者様、まだ闇の者と戦いは終わっておりませぬぞ!』


『爺、先程も言っただろう? 黙れと』


『ぎょ、御意』


『少し俺の準備運動の相手をしていけ小僧』


 うっそぉぉぉん!

 やっぱそうなるのねぇぇぇ!?

 しかしスリードが手出ししてこないのなら何とかなるかも。

 ナデシコ型は帰ってしまったし、やはり上手く行き過ぎている感は否めないが試練のクリア条件を達成出来そうな内容なのは変わりがない。

 

『こっちだ』


 勇者の後に付いていき村外れの広場に出る。

 海を挟んだ向こう側にうっすらと見えるのはガンデリオン大陸か?

 闇属性で発生した黒い雲も見えるしおそらくそうなのだろう。

 闇ユーナがここまで襲ってこないよな?

 フラグが立ったら困るしこれ以上あいつらのことを気にするのは止めておこう。


『きゃ――勇者様頑張ってぇぇぇ!』


『ぎゃははは、ガキも頑張れよぉ!』


 勇者の側室とならず者たちが観戦にやって来る。

 横から茶々を入れられるのは正直苦手なんだよなぁ。

 無の境地のために心を落ち着ける必要だってあるしな。

 

『ギブアップするか相手の意識を失わせたら勝ちだ』


『もし勢い付いて殺してしまったら?』


『俺が小僧を殺す? その時はその時だ。運がなかったと諦めろ』


 自信満々だな?

 自身が負けることは最初から頭に入っていないようだ。

 それに力を抑えるつもりもまったく考えていないらしい。


『では儂が開始の合図を……』


 グッ

 サッ


 勇者が構えを取る。

 見た感じはごく普通の格闘技で取るような構えだ。

 ファイティングポーズって言えば良いのかな?

 俺も合気道の構えを取りスリードが合図する間勇者の方をジッと見つめる。


『ほう、その構え合気道か?』


 構えを見ただけで理解できるとは……勇者と言うより格闘家のほうが似合っていそうだよな。

 

『勇者様が見定められた小童じゃ。儂も後から味見させてもらうますかのぅ』


 いいえ結構です。

 スリードの相手なんかしたくない。

 

『爺……』


『おっと……では初め!』


 グンッ!

 

 いきなり突っ込んでくるのよ!?

 しかも速い!

 だが素早さ極振り状態になったマイケルほどでは無いな。

 

『ふんっ!』


 ガシッ


 一気に間を詰めて右ストレート?

 舐めているのか?

 勇者の腕を掴んで投げようとしたときだった。


『ふっ!』


 ドゴッ!


『がっ!』


 俺の腹部に激しい打撃感?

 いつ殴られた?


『うっ……げほっげほっ!』


 吐血だと!?

 吹き飛ぶほどの衝撃は無かったのにどうして?

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