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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神のいない世界
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この決戦はどこかおかしい2

 前世の頃に来た時と比べ街の発展がかなり進んでいる。

 中流層までは今の日本と似たセキュリティーだったが上流層は違っていた。

 以前は師匠のおかげで街の上空を飛び越え勇者城に乗り込むことができたため分からなかったが監視カメラを搭載したドローンがそこら中に浮いている。

 しかも顔認証ゲートまで設置されている。

 地球のどこかの国と似たような状態だな。

 住民のほとんどは女性や子どもばかりなのにそこまでする必要があるのか?

 ならず者も勇者軍の軍人であることに変わりはないが所詮はならず者だし、街の中でも悪事を働いたりするのかな?

 前を歩くならず者の話に耳を傾ける。


『はぁ……また顔認証で渋滞してるよ』


『仕方がないだろ。勇者様の側室とその子どもが暮らす区画なのだから』


『風のうわさでよ本当の理由が勇者様が側室の浮気を防止するため設置したって話もあるぜ』


 うわぁ、あの勇者なら喜んで試しそうな理由だな。

 それにしてもあの勇者にまだ側室が残っていたのか?

 くそぅ、イケメンになっているし妻がたくさん居るなんてやっぱりあいつは男の敵だ。


 そんなことよりもどうやって先に進めばいい?

 顔認証なんてグレンの住人では無い俺はすぐにばれてしまう。

 それにカメラで俺の顔を撮られることそのものが危険だ。

 ドローンも厄介だな。

 動く監視カメラのようなものだ。

 治安の悪くなりがちなスラム街にこういった類は設置すればいいのにスラム街には何の手もつけず放置したような状況だった。

 代わりに中流層や上流層に進むごとに監視の目が厳しくなっている。

 地球でもそういうものだし異世界だろうとスラム街は放置される定めなのかな?


『おいガキ後が詰まってるんだ。早く先へ進みやがれ』


『あっ、すみません。俺は……』


『何だ違うのか? まったく紛らわしい所に立ちやがって!』


 顔認証ゲートを通るわけにはいかない。

 やすやすと飛び越えられそうだがドローンが邪魔をしているし……さてどうっすかな?

 表通りは止めて裏通りに行っても同じことだ。

 ……よく考えてみると地下研究所はとてつもなく広い。

 入り口が勇者城だけとは限らないかもしれない。

 そうだ地下に行けば監視カメラやドローンなど配置されていないのでは無いか?

 裏通りに行きマンホールを探す。

 開けてみると悪臭が漂ってくる。

 下水管も通っているのだろう。

 しかしそれにしては普通にトンネルほどの広さが確保されている。

 地表に居ても進展しないし覚悟を決めて地下に降りる。

 おっとマンホールの蓋を閉じておかないといけないな。


 ガシャン


 真っ暗になってもおかしくないのに人感センサー式のライトが設置されているようで先に進むごとに点灯する。

 これで侵入者を同時に感知しているなんてことは無いよな?

 

 コッコッコッコッ


 誰か来る?

 やはり見つかってしまうのか?

 トンネル横の隙間には光が届かず暗いままだ。

 虫が好みそうな場所だが隠れられるのはそこしか無い。

 隙間に潜り込み身を隠す。


『ん、誰も居ない?』


 ブゥゥゥン


『ビッグモスに反応したみたい』


『ついでだからビッグモスを処分しておく?』


『了解』


 ドォォォン!


 え、え、え?

 やっべぇぇぇ!

 どうしてこんな場所にナデシコ型が配備されているんだよ!?

 しかもぞろぞろとやってくる。

 不衛生な場所だからならず者も嫌がって配置されていないと思ったりもしたがナデシコ型なら命令に忠実だし配備されていてもおかしくはないか。

 迂闊だったな。

 すでに30人程度のナデシコ型が集まりビッグモスを駆除している。

 それにしても……。


 ドゴォォォンン!

 バコォォン!


 大きい蛾を倒す程度で太刀投げをするのは止めてくれませんかね!?

 おっかないったらありゃしない!


 ドゴォォォン!


 ひぃぃぃ!

 俺の頬を掠って1体のナデシコ型が投げた太刀が壁に突き刺さる。

 

『ん、外しちゃった……』


 やばい!

 太刀を投げたナデシコ型が俺の側に向かってくる。

 

 キラッ


 太刀に明かりが反射し俺の顔を照らす。

 

『ん、子ども?』


 ぎぃやぁぁぁ!

 見つかってしまった。

 しかもなんて間抜けな見つかり方なんだよ!

 

『侵入者?』


『帽子を被っていて顔が確認できない』


 この数のナデシコ型なら今の俺だったらなんとかやり過ごせるか?

 だがここから勇者城まではまだまだ先だ。

 ナデシコ型同士はアップデートのおかげで互いに通信できる。

 援軍を呼ばれ無尽蔵に湧いて出てくる可能性もありそうだ。

 それにここに居る全員を瞬時に気絶させることも絶対に不可能だ。

 ……これってもしかして詰んでないか?


『もしかしてそこにあるマンホールから落ちた?』


『でも蓋が閉まっている』


『かくれんぼ?』


『ん、なるほど……』


『納得』


 俺の顔がばれていないおかげで街の子どもだと勘違いしてくれているのか?

 これは使えるかもしれない。


『うわぁぁん怖いよぉぉぉ』


『ん、4802013泣かした』


『泣かした―』


 くっくっく、子どもの姿なのは実に便利だ。

 けれどそれもそろそろ限界だな。

 12歳と言えば小学6年生だ。

 さすがに自分でも泣き真似をしているのが恥ずかしく感じる。

 

『ん、あたしが地上に連れて行ってあげる』


 よっしゃ!

 あとは顔バレさえされなければ良いだけだ。

 

『う、うん……』


 ナデシコ型の1体が手を差し出してくる。

 俺はその手を掴み立ち上がる。

 

『やっぱ顔気になる』


 スッ


 突如隣りに居た別のナデシコ型が俺の帽子を取った。


『えっ?』


『顔認証……1件該当有り?』


 ぎゃぁぁぁ!

 不意打ちで帽子を取られた!

 今のはずるいだろ!

 

『か、返して!』


 帽子を持っているナデシコ型から手渡され再び深く被る。


 ドクンドクンドクンドクン


 やっべぇぇぇ!

 心臓が破裂するのでは無いかと思うほど鼓動しているのを感じる。

 どうする?

 ここから縮地を使って一気に勇者城の地下まで向かうべきか?

 地上に逃げればグレンの住人を巻き込んでしまうしそれしか無いよな?


『グランディアの神ドレイク?』


『赤ネームだし誰であろうと抹殺対象に変わりはない』


 ひぃぃやぁぁぁ!

 こんな場所で殺されるなんて御免だ!

 

『縮地!』


 ドォォォン!


 地下水路を奥に進みナデシコ型の集団から離れる。

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