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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神のいない世界
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この修行はどこかおかしい12

 ちょっと待て!

 いくら何でも使徒を同時に2人は相手にできないって!

 これってもしかして1日が経過するごとに1体追加されていくのか?

 最終的には100体のマイケルを相手にすることになる?

 ……できるかぁぁぁ!


『あっはぁぁぁん!』


『そぉぉぉれ!』


 ドォォォン!


『うわっ!』


 攻撃を捌くことを忘れ反射的に避けてしまった。

 ダメージを受けなければ試練が続行されるのは分かるがこれでは訓練にならない。

 でも仮想空間だからっていくら何でも設定が自由過ぎるだろうが!

 現実でマイケルが100人も居るはずがない。

 いや2人だって存在していないぞ。

 ホムンクルス製造はホークの趣味で男性は作らないようだからな。

 こんなの修行になっても活かしきれるための場が来ないのではないのか?

 

『さっさと死ねぇぇぇい!』


 グンッ!


 2人同時にハンマーパンチ。

 1人なら確実に合気道で捌ける。

 だが2人の場合はどうすればいい?

 ……学習した内容を思い出せ!

 合気道には他人数掛けというものがある。

 投げる側の絶対条件はこちらから向かわないことだ。

 

『もらったぁぁぁ!』


 右側に居るマイケルの方が若干攻撃速度が早い。

 そうか、同時に襲って来られても絶対に時間差が生まれる。

 一度に相手をするのは常に1人になる。

 完全に一致した動きの場合は……いや、そういう事態を作らないようにしなければいいだけだ。

 兎に角、まずは右側のマイケルの攻撃を捌く。


 スッ

 ガシッ!


『んまっ!?』


 右側のマイケルの腕を掴む。

 だが左側のマイケルの拳はもう目と鼻の先まで来ている。

 だったら右側のマイケルを左側に居る奴にぶつけるまでだ。


『うおりゃぁぁぁ!』


 ダンッ!


『ぐぼっ!』


 2人同時に地面に叩きつけられる。

 1人でも掴めれば何とか出来るかもしれない。

 ひたすら攻撃を捌き2人のマイケルを相手にする。

 かなり慣れてきた。


『48時間経過。AIを追加します』


 どこからか機械的な声が流れる。

 いつの間にか2日も捌き続けていたのか。

 そして思った通り1日ごとに1体が追加されていくようだ。

 

『ぬわぁぁぁ!』


『うふぅんん!』


『とっとと死に逝けや、クソガキャァァァ!』


 2人が3人になったところで捌き方はあまり変わらなかった。

 そのまま順調に攻撃を捌き続け4日目5日目と経過していくのだった。

 そして99日目。


『はぁはぁはぁ……さ、さすがにこいつは堪えるな』


『あっらぁぁぁん?』


『もうお終いかしらん?』


『ぐへへへ、だったら次でイカせてあげるわぁん』

 

 いくら攻撃をしようとAIはすぐに全回復する。

 残り時間は約20時間。

 100人のマイケルになると向こう側も一斉に襲いかかってきても、そのすべての攻撃が同時に俺に襲いかかるわけではない。

 ただでさえ恰幅の良い相手だ。

 俺の周辺を囲まれていてもマイケル同士互いの身体が邪魔をしてしまい最大で6~7人ほどしか同時に攻撃が飛んでこない。

 すでに試練開始から一週間後には6人程度の同時攻撃で驚くようなことも無くなり余裕で攻撃を捌き続けている。

 しかも1日に1体だけ追加されるという仕組みは訓練としては本当によく出来ていると感じた。

 複数のマイケルによる同時攻撃もすでに慣れている時に変化を与えてくれるためだ。

 

 グンッ


『『あっはぁぁぁん!』』


 マイケルの能力であるステータス変化も相手が魔法を使わなければどうということはない。

 素早さ極振りで俺に急接近し筋力極振りに変え攻撃をしてくる。

 今回は俺の真後ろに居る奴の攻撃が真っ先にやってくるか。


『こいつ! 後ろに目でもあるんじゃなぁぁぁい!?』


 殺気を感じるなんて第六感的なものではない。

 正直に言うとそういった類を感じられる程度にはなりたかったのだがまるで出来やしない。

 すべては音が教えてくれる。

 相手との距離感が分かる程度だ。

 一撃でも受けてはいけないという内容が集中力を鍛えてくれる最大の要因となった。


 師匠の言う無の境地にはまだ近付けていない。

 そもそも何も考えずに攻撃をしたり捌いたりするなんて無理なことだ。

 師匠ほどの使い手になると身体が先に反応してしまうのだろう。

 だが相手の動きを聞き取れるようになったのはかなり大きい。

 第四試練がどんなものなのか分からないが今なら四方八方から襲い来るナデシコの太刀投げでも対処できそうだ。


 スゥゥゥ

 ガシッ!


 後方のマイケルから放たれる右ストレートを流れるように躱しそのまま腕を掴む。

 右斜め前と真横に居る相手がほぼ同時に俺に当たるか?

 だったら……。


『せいやっ!』


 ブンッ!


 真後ろに居るマイケルを右側から攻撃を仕掛けてきた2人のマイケルに向かって投げる。

 多人数との戦闘も慣れると意外と簡単だ。

 それもこれも俺の頭に刷り込まれた様々な格闘技のおかげなのが少々悔しい感じになるが贅沢は言っていられない。

 ホークには感謝しないとな。


『きっさまぁぁぁ!』


『よくもアタクシたちをぉぉぉ!』


 ここまでで約2秒ほどだ。

 当然だが大量のマイケルが次々と襲いかかってくる。

 すべての攻撃で最も俺に近い相手を聞き取り捌いていく。

 そして……。


 ヴヴン


『お疲れ様でした、ドレイク様。第三の戦闘プログラムも終了となります』


 ドサッ


 地面に吸い取られるように座り込む。

 集中力が100日間も保てたなんて驚きだ。


『はぁぁぁ、疲れたぁぁぁ』


『うふっ! 本当によく頑張りましたね。第四試練の前にいくつか連絡事項があります』


 そうか100日も経っていたのなら外の世界では大きな変化が起きていてもおかしくはない。


『勇者軍のガンデリオン大陸遠征は?』


『そのことでホーク様から問い合わせがきています』


 ホークからわざわざ俺に?

 話すべきことはすべて話たつもりだがガンデリオン大陸で何かあったのだろうか?


 ぽぅ


 目の前にスクリーンが現れる。


『まずはこの映像を御覧下さい。75日前に生き残りの尖兵が持ち帰った映像です』


 眼前のスクリーンに映像が投影される。

 これは……どこだ?

 ガンデリオン大陸だよな?

 

『今から90日前勇者軍はアルス大陸の東端から最も近いヘルヘイムに侵攻いたしました。その時の映像です』

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