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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神のいない世界
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この修行はどこかおかしい11

『あっはぁぁぁん! そんなしょぼい盾であたくしの攻撃を防ぐおつもりかしらぁぁぁん!』


 仕方がないだろ!

 これ以上の大きい盾を作ると重さで俺の動きそのものが鈍くなるんだよ!


 ガァァァン!


『くっ、やっぱり……』


 凄まじい重圧が俺に伸し掛かる。

 

『あはん! このまま押し潰してあげる、坊や!』


 このままではさっきと同じだ。

 正面から受けた以上は何もしようがないのか?

 様々な格闘技を頭に叩き込まれたのに実践しないと無駄だというのがよく分かる。

 

『むふふ!』


 それにしても暑苦しいやつだな。

 筋力に極振りしているために体温も高熱を帯びているのか?

 マイケルの全身が汗だらけだ。

 俺にも熱が伝わり額から汗が流れる。

 

 ツルッ


『あらっ?』


 ドゴォォォン!


 俺の展開した盾と拳との間に汗がしたたりマイケルのハンパーパンチが滑る。

 マイケルはそのまま振り落とした拳が地面に衝突する。

 再び衝撃波により発生した石礫により俺はダメージを負ってしまった。


 ヴヴ……


『また失敗です。次こそは成功することを祈っていますね』


 分かった気がする。

 真正面からそのまま受けるとダメージを追うが受け流せば話は別だ。

 第二試練のときもラグナの威力を逆手に取り俺は勝利した。

 正面からまともにやり合うなというメッセージがこの戦闘プログラムには含まれているように思える。

 マイケルの攻撃をすべて受け流し続けて約100日間を耐える。

 つまりは相手からの攻撃を確実に受け流せということだ。

 

『もう一度……』


 ヴヴン!


『あっらぁ? なんて可愛い坊……』


 以下略。

 例に漏れず戦闘プログラム内のマイケルは俺に身を隠すことを促してくる。

 そしてそれを無視するとハンマーパンチが俺に向かって放たれる。

 今度は失敗しない。

 攻撃を受け流すにしても方向を調整しなければマイケルの拳が地面に激突し、衝撃波によって俺はダメージを受けてしまう。


『アースシールド!』


 いつもより表面に丸みを持たせる。

 こうすることでより相手の攻撃を受け流すことが容易くなる。

 

 ゴンッ!


 シールドにマイケルの拳が激突する。

 奴の力が俺に伸しかかるよりも早く力の向きを変える。

 

 スゥゥゥ

 

『なっ!? 受け流したですってぇぇぇ!?』


 マイケルの拳の向きを横に反らす。

 力のかかる方向を曲げたためマイケルも体勢を崩してしまう。

 そうか、合気道だ。

 合気道を使えば相手の力を逸らしつつ攻撃もできる。

 今なら俺でも簡単にマイケルの巨体を投げ飛ばせそうだ。


 ガシッ


 マイケルの腕を両腕で掴む。


『このガキャ!』


『うおりゃぁぁぁ!』


 ブンッ!

 ドゴッ!


 マイケルを頭部から地面に叩きつける。


『がはっ!』


 これくらいで倒せる相手では無い。

 すぐに起き上がってくるだろう。

 急いでマイケルから距離を取る。


 バッバッ!


『キィィィ! このガキ! 優しくしてあげたら調子に乗りやがって!』


 どこが優しいんだよ!

 開始早々に俺に筋力極振りで拳を振り向けてくる奴の言うことではないぞ!

 しかも一撃を喰らった程度で激昂するなんて気の短い奴だ。


『死にさらせや、ガキィィィ!』


 ビュン


 素早さを極振りにして一気に間を詰めるつもりか。

 だが、その速度を逆に利用してやるまでだ。


『ぬぅぅぅん!』


 俺の側面まで目に見えぬほどの速度で接近しそのまま拳を振り下ろす。

 身長差があるために俺に対する攻撃はどうしても下向きになってしまうようだ。

 

 ガシッ


 合気道を使えば防御をするまでもない。

 マイケルの腕を掴み再び投げ飛ばす。

 今回は俺に急接近したときの速度も加算され投げ技の威力は上がっている。

 俺は少しの体力で最大の攻撃ができている。

 

『なっ、また!?』


『飛んでけぇぇぇ!』


 ブンッ

 ヒュゥゥゥ……バキバキバキバキ!

 ドゴォォォン!


 マイケルが付近の木に激突しながら吹き飛んでいく。

 相手からの力を利用するにしても速度が加わっているのと無いのとではこれほどまでに威力が変わるのか?

 

『もう許さん! もう許さないわぁぁぁ!』


 即座に起き上がり素早さを極振りにしての急接近。

 しかも今回は俺の背後にいつの間にか移動している。

 だが動きが読めている以上は合気道に隙は無い。


『むぉぉぉぉ!』


 ブンッ

 ガシッ!


 相手を掴みさえすれば後はその威力を利用して投げるだけだ。


『ぬふんっ!』


 ブンッ!


 体勢を崩した状態でマイケルが俺の脇腹に胴回し回転蹴りを仕掛けてくる。

 何度も同じ技を喰らっていたら対策くらい考え付いて当然だよな。

 ここで蹴りを喰らってしまうとまた初めからやり直しだ。

 掴んだ時点でマイケルのパンチはすでに死に技となっている。

 今、すべての威力が籠もっているのはマイケルの左足だ。

 

 フワッ


『なんですって!?』


 掴んでいるマイケルの腕を軸にして俺も地面から足を離す。

 こうすることでマイケルの蹴りも軸となっていた俺を失うことで威力が激減する。

 そしてマイケルの太い腕から手を離し後頭部に向けて回し蹴りを放つ。

 

『寝ていろ!』


 ドフッ!


『がっ!』


 俺単体の力でも急所に直撃させればある程度のダメージは与えられるようだ。

 だが第三試練では俺がダメージを受けずに躱し続けることだ。

 すぐにマイケルのHPが全回復する。

 対策をしてくるのは分かっていた。

 今回は咄嗟の判断でうまくいったが次はどうなるものやら。

 第三試練の難しさはそこにある。

 鍛えるのは俺の判断力の速さなのだろう。

 優柔不断な俺が最も苦手としているものに100日をかけるのだからよほど克服させたいのだろう。

 性格的なものでもあるしバトルで治せるのなら俺も望むところだ。


『もう許さなぁぁぁい! 救恤してやるわ!』


 しかしラグナと比べると雑魚いよな。

 俺がそれだけ強くなったのか?

 ま、幼いころの雪に負けたほどの相手だ。

 実際には未来兵器と数の暴力の前に敗れたし本当は強いのもかもしれない。

 そこからマイケルの攻撃を受け流しつつ投げ技や打撃技を与えていく。

 そして約1日が経過しようとしていた。

 

『24時間経過。新たにAIを一体追加します』


 へっ!?

 

 ヴヴ……ヴヴン


『あらぁぁぁ! なんて可愛い坊や!』


 マイケルが2人だとぅ!?

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