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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神のいない世界
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この夕食はどこかおかしい1

 寄宿舎から出て、俺も屋敷に帰る。

 師匠の攻撃によって失ったHPも意識を失っている時に全回復した。

 しかし、HPとは違い寝ても空腹になるのは仕方がないことだ。

 

「ただいま」


「あうぅ……」


「おっ、ユーナ。出迎えに来てくれたのか?」


 ユーナを抱き上げ自室に戻る。

 コスモスがユーナを放置しておくなんて、まさか痴女モードになっていたりしないだろうな?

 

「あうあう」


 ユーナの姿は2歳児の赤ん坊だ。

 欠片を回収に行かないとずっとこのままの状態なんだよな。

 そうだよ、赤子枠にはユーナが居るのに天使や師匠の子までデキたら、この屋敷が保育園になってしまう。

 現状を変えるにはどうすればいい?

 俺の眠っている間に狼状態なのを抑えられば問題解決なのだが、師匠の話では神族の第二次性徴とはこういうものらしい。

 だとするとまだ当分の間は起きてしまうのは分かりきっている。

 第二次性徴が収まるまで待っていられるはずがない。

 待っている間にサッカーチームができるほどの子どもを作ってしまうかもしれないだろうが!

 やはりルカやローズたちを俺の自室に入れないようにすることが重要なんだ。


「ドレイクしゃまー、夕食ができたので食堂に来てくだしゃーい」


 天使たちに夕食後、説教タイムとでも洒落込むか。

 特にルカはこってり絞ってやらないと俺の腹の虫がおさまらない。

 自室を出て、食堂に向かう。

 

「おっ、今日は鍋か」


「ゴブ士さんから良いカニを頂いたのですよ。ドレイク様とローズ様たちに喜んでいただきたいと……」


 ゴブ士は漁師だ。

 近くのオアシスは水深がかなりあって深海生物も多く棲んでいる。

 こんなカニもいたとは驚きだな。

 ルカにオアシスの水質検査は定期的にさせているが、生物調査はさせていないから何が棲んでいるのか知らないままだ。

 今までは魚さえ取れたら満足だったしな。

 だが、こんな立派なカニがいるのなら他の高級食材も見つかりそうだ。


「わぁぁ、これはカニという生き物なのでしゅか?」


「でも、外側が固くて食べられませんわね?」


 なんだ、天使たちはカニの食べ方をしらないのか。

 ま、見た目を変えると食べようとは思えない生き物でもあるかな?

 

「カニの食べ方も知らないのですかぁ? これはこうやって食べるのですよぉ」


 ガリッ!


「駄目ですわ。硬すぎて口の中が血だらけになりそう……」


 殻ごと食べるなんて師匠くらいだろう。

 そもそも、ドラゴンではあるまいしそんなに強い咬合力なんてあるわけ無いだろ。


「カニはこうやって中身を取り出して食べるんだよ。オーク美さんがわざわざ部位ごとに切断してくれているから食べやすいしな」


「ドレイク様はなんでも知っているのでしゅ」


「ドレイク、殻がもったいないのでそれは駄目ですぅ」


「はいはい、じゃぁ殻だけ師匠にあげる」


 ユーナにも食べやすいように中を取り出し、身をほぐしてから食べさせる。

 

「あうぅ」


「あら、コスモスは食べないのかしら? いつまで経っても来ないですわね?」


 確かにユーナをほったらかしにしているのも気になる。

 

「コスモスなら家出するって1時間前に出ていきましたぁ」


「はぁっ!?」


 コスモスが家出?

 何やってんだ、あいつは?

 念話でコスモスに問いかける。


『コスモス、家出なんてやめろ。早く戻ってこい』


 ブッ


 強制的に念話を切られた。

 俺と話したくないのか?

 一体、何があった?

 

「師匠、コスモスと駐屯地から戻ってきてから何か問題が起きていないか?」


「ガリッボリッ……ゴクン。ん~、帰ってからは何も起きていないですねぇ」


「帰ってからは? それって、駐屯地でコスモスが家を飛び出すほど嫌な出来事があったのか?」


「ですですぅ。神子をドレイクから与えてもらえなくて泣いていましたよぉ」


 ふぁっ!?

 俺が気を失っているときか?


「神子ですって!? まさか、駐屯地で仕事をしていると思ったらバハムートさんやコスモスとヤッていたのですか!?」


「許せないでち! 仕事時間にそんなことするなんて処刑でち!」


 どの口が言ってんだぁぁぁ!?

 お前らだってあれやこれや姑息な手を使って俺の寝ている間にベッドに潜り込んでさんざんお楽しみしていただろうが!

 はぁ、次から次へとどうしてこんな問題ばかり起こる?

 俺のせいなのか?

 

『おい、コスモス! 家出なんて止めて帰ってこい! 早く帰ってこないと美味しいカニがなくなっ……』


 ブツッ


 俺の声なんて聞きたくもないってか?

 だったら、探しに行くのもかえって逆効果になりそうだ。

 いや、探しに行ったほうが良いのか?

 うーん、女心は分からない。


「さささ、ドレイク様。コスモスも頭が冷えたら帰ってきますわ。グランディアで一番の銘酒をオーク美さんがご用意してくれましたの。飲んでくださいな」


 ルカがお酌をしてくれる。

 しかし、酒か。

 俺はまだ10歳だが飲んで良いのか?


「マスターはまだ子どもなのでお酒を飲ませるのは止めて下さい。頭がパーになって余計に使えなくなります」


 あれれぇ?

 オボロはまた俺をディスっている?

 

「違いましゅ。神族は10歳で成人なのでしゅから、ドレイクしゃまは飲んでも大丈夫なのでしゅ。しゃしゃっ、ドレイクしゃま、盃を持ってくだしゃい」


「そうですわ。オボロ、貴女はドレイク様に対して失礼な一言が多いですわよ」


 そうだ、そうだ。

 もっと言ってやってくれてもいいぞ、ルカ。

 それにしても、神族の成人指定は10歳だったとは……第二次性徴もこれくらいの年に起こるものらしいし、特におかしくはないか。

 ま、飲んでいいなら飲ませてもらってもいいよな?

 

「おっ、意外と甘いな。飲みやすいぞ、これ」


 先にルカがお酌をしてくれた盃から飲む。

 魔王軍の献上物に酒が入っていたし、かなりの昔から酒造りはされてきただけあって美味いものだ。

 アルス大陸の温泉街でユーナたちと飲んだアワアワもうまかったが、これも負けないくらい美味だ。

 そして、何よりもカニすきに酒が合う!

 これは止まらん!


「さぁさぁ、ドレイクしゃま、まだまだ飲んで下しゃい」

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