表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、神様になります  作者: 昼神誠
神のいない世界
465/592

この子どもはどこかおかしい6

「ただいまですぅ」


「た……ただいま」


「ドレイク様、昨晩はどこにおられたのですか? 心配をさせないで下さい」


「あうあう!」


 おっ、今のコスモスは賢者モード……じゃなかった。

 ママさんモードなのかな?

 ユーナを抱っこしながら階段を降りてくる。


「昨晩は……その……ゴブ婆やの家で」


「ゴブ婆やの? それなら安心ですね」


 ところがどっこい、安心では無かったのだよ。

 まさか、ゴブ婆やを買収してローズがあんな暴挙に出るとは誰が予想できただろうか?

 

「オーク美、朝ごはん早くなのですぅ」


「はいはい、もう少し待ってくださいね」


 食堂ではオーク美とオボロが朝食を作っている。

 そう言えば、オボロに関してはコスモスたちは何も突っ込まなかったよな。

 ユーナが作ったところを見たから、正妻候補としてみなしていないのかな?

 

「マスター、バハムート様、汗を先に流して来て下さい。正直、汗臭いです」


「くんくん? そうですかぁ?」


 オボロって意外と毒舌なのかな?

 だが、確かに着替えもしたいよな。

 夜中に寝ている時、ローズにすぅんごぉいことをしてしまったし。

 

「それじゃ、俺が先に入るよ」


「駄目なのですぅ。ドレイク、一緒に入るのですよぉ」


 うーん、寝ているときではないし身体が勝手に動くことはないか。

 しかし、コスモスもルカも噛み付いてこないな?

 バハムートも正妻候補から外しているのか?

 

「汗を流すだけだよ」


「やったぁ」


 風呂場に行き、シャワーで身体を洗う。

 隣でバハムートも身体を洗っている。

 おかしい……やはり、静か過ぎる。

 こんな状況、ルカやローズは絶対に許さないはずだ。

 も、もしかして……デキちゃったのか?

 だから、余裕なのか?

 いやいやいや、普通に考えて早すぎるよな。

 神族の着床率ってどれくらいなんだ?

 たったの一回でも確率が高ければ……師匠なら知っているかな?


 ザバァァァン


「ふぅ、ドレイクも早く浸かるのですぉ」


「師匠、また変なことを聞いていいか?」


「なんでも聞くですぅ。師匠たるもの知識を授けるのは当然なのですよぉ」


「えっと、その……師匠とのアレってどれくらいの確率で?」


 うわぁ、物凄く最低な質問をしているよな、俺!?

 だが、何も知らないよりかはいいはずだ。

 師匠の回答によっては俺は早くから決意を固めることが出来るからな。


「ほほぅ? つまり、ドレイクは責任を取る勇気が無いとぉ? んんぅ?」


 笑顔だが機嫌を悪くしているのが伝わってくる。

 でもでも、何も知らないよりかは良いでしょ!?


「教えて下さい、師匠! 師匠だけで無くルカやローズを傷付けないためにも!」


「ローズ? 何でそこでローズがぁ……ははぁん? そういうことですかぁ」


 しまった!

 ローズのことは師匠は知らないのだった!


 ガラッ!


「ドレイク様、ローズって……どういうことですの!?」


 ぎぃぃぃやぁぁぁ!

 ルカにまで聞かれていたのか!

 ってか、何でバスタオルを身体に巻き、風呂に入る準備をしている!?

 修羅場……これって修羅場なのか!?

 嫌だ、10歳児が当事者の修羅場なんて嫌だ!

 

「ドレイクぅ、昨晩のこと詳しく詳細に事細かに満遍なく逐一余す所無く聞かせるのですぅ」


「そうですわ! ドレイク様、私たちが納得できるまで逆上せてもお風呂から出さ無いですわよ!」


 とか言って、ちゃっかり俺の隣に座るルカ。

 まさか、これも計算の内なのか!?

 

「さぁ、聞かせるのですぅ」


「ええっ、聞かせてくださいまし!」


 起こったことを細かく話すまで納得してくれないのだろう。

 だが、俺は悪くない。

 むしろ、俺は被害者だからな。

 そうだ、しっかりと説明すれば分かってくれるだろう。


「えっと……その……昨晩、屋敷を飛び出した後、町でゴブ婆やに会いました」


「それで?」


「飛び出した以上、屋敷に帰るわけにもいかず、俺も屋敷に帰る気が無かったので、ゴブ婆やが家に泊めてくれると言ってくれました」


「ふむふむ」


 ってか、何で敬語で説明してんの、俺!?

 何故か変な迫力に圧倒されて……やっぱ、女って怖い!

 

「早く続きを!」


「は、はいっ! それでゴブ婆やの家でお風呂に入った後、お茶を淹れてもらって飲んだ時に……その……ローズがですねぇ入って来て……」


「それでやったと?」


「違う! ゴブ婆やが淹れた茶に睡眠薬が入れられていたんだ! どうやら、ローズがゴブ婆やと協力関係にあったようで……」


「それはそれは。つまり、罠にハマったと言うわけですかぁ?」


「そう! そうなんだ! 悪いのはローズとゴブ婆やなんだ!」


「へぇ……ふぅん……そう……ですの」


 納得してくれたか!?

 むしろ、これで納得してくれなきゃ理不尽だろ!?

 

「ドレイク様、ゴブ婆やはあの町で長老なのは知っておいでですか?」


「えっ? それは……まぁ、知っているけど」


「それなら、この国の未来を最も案じているのもゴブ婆やだと知っているはずですわ」


 へっ!?

 この国の未来?

 それは領民の誰だって、以前のような搾取され続ける状態に戻ることは嫌だろう。


「なるほど、なるほどぉ。そういうことなのですねぇ」


 えっ!?

 どういうこと?

 俺だけ置いていかないで!

 

「ドレイク様だって分かっているはずですわ! 国の未来とは子ども! それは領主であるドレイク様のご子息が誕生することを心待ちにしていると同義!」


 なっ……ん……だとっ!?

 はっ! 

 そ、そう言えば!

 昨晩、ゴブ婆やは……。


『いやねぇ、ローズ様にはいつも助けられているでしょう? 悪いことだと思ったのだけれど、跡継ぎが出来るのは良いことですし断りきれなくてねぇ』


 言っていた!

 俺の子どもができることは良いことでさえ思っていた!

 ゴブ婆やの願いは領民すべての願いでもある。

 まさか、領民のほとんどが俺の子どもの誕生を心待ちにしているっ!?


「そ、そんな……バカなっ!?」


「ドレイク、天使のみんなだって受け入れてくれているのですぅ。ここは観念して思いっきりやってしまったほうがスッキリするのですよぉ」


「そうですわ! ドレイク様、その際には是非、私を!」


 だ、騙されるな!

 これは悪魔の囁きだ!

 絶対に絶対に誘惑などされんぞぉぉぉ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ