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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神のいない世界
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このキメラはどこかおかしい12

「ドレイク様、お下がりを!」


 フラフラとしながらも、ゆっくりと立ち上がるナデシコ型。

 強制排出したから、まだ未完成のはずだ?

 意識も無いはず……いや、待てよ?

 そう言えば、あの時も?

 勇者城の地下研究所でのバッグベアの吐いた言葉を思い出す。


『それなりに胞子は消えているはずだ……話せ。他の仲間はどこへ行った?』


『う、うう……』


 ……しまったぁぁぁ、ユーナも薄っすらとだが意識があったよな!?

 なんてことだ!

 僕ちん、すっかり忘れちゃってた――てへぺろ!

 アホかぁぁぁ!?

 現実逃避をしている暇なんて無いんだ!

 しっかりしろ、俺!

 

「んん……武器……無し……格闘モードで対応する」


 まだ、目覚めたてでフラフラと姿勢が安定しないようだ。

 もしかしたら、ルカとローズでも倒せるか?

 俺は左腕が折れている状態だから、ウォール系で防ぐので精一杯になるだろうし。


「ルカ、ローズ、今なら殺れる! 全力でかかれ!」


「はいっ! ウォータースライサー!」


「了解でしゅ! ロックスライサー!」


「ん……魔法攻撃?」


 ヒュン


 ちっ、目覚めたばかりでもあの能力は使えるか?

 それなら、さっきのナデシコ型を倒したときのように誘導してから魔法を一斉に浴びせるしか無いな。

 

 パッ


「あ……」


 ドタッ


 能力を使って跳んだ場所で姿勢を崩し、ナデシコ型が倒れる。

 強制排出の影響なのか、目覚めたばかりなのか分からないが、このチャンスを見逃す手はない。


「神が創りし粉の、大地の恩恵を……ソフトクレイ!」


 ズボッ!


「ん……身体が沈む?」


「今だ、ルカ! ローズ!」


「アクアスプラッシュ!」


「ええぃ、ロックフォールでしゅ!」


 シュパァァァン!

 ドゴォォォン!


 ナデシコ型の身体に水滴の刃が無数に突き刺さり、ローズが呼び出した岩で下敷きになる。

 粘土化しているため、ゆっくりと岩の大玉ごと沈んでいく。

 

「やったか!?」


「手応えはありましたわ」


「倒れてて欲しいでしゅ」


 しかし、これであの身体にコスモスを入れることが出来なくなってしまった。

 現在、創られているナデシコ型を使うしかないか?

 魔法特化だし、コスモスに適していると言えば聞こえは良いが、近接型の仲間が欲しいんだよなぁ。

 欽治が俺のところに来るまで待つわけにはいかないしな。


「……出てこないな? ふぅ……あー、怖かった」


「ドレイク様にも恐怖心はおありですのね?」


「そりゃ、そうさ。俺だって死ぬのは嫌だからな」


「安心するでしゅ! ドレイクしゃまに近付く悪者はあたちが退治しましゅから!」


「ははっ、でも無理はしないでくれよ、ローズ。お前が傷付くのは見たくないからな」


「ド……ドレイクしゃま! あたちたち相思相愛でしゅね!?」


「はぁ!? 何言っているんですの? ドレイク様は貴女が傷付くと自分を守る盾が減るから困っているだけですわ! それを相思相愛だなんて……なんておこがましいガキンチョかしら?」


「ドレイクしゃま~、オバハンの顔が怖いでしゅ~」


「誰がオバハンですの!?」


 はいはい、マウント女子会ご苦労さまでした。

 

 ビービービー


 向こうの培養槽の警報が鳴っている。

 そろそろ、20分経つ頃だな?

 まさか、完成してしまったのか?

 魂が入っていると、コスモスを入れてあげられないんだよな。

 今の俺はハデスの力でさえ完全に失っているため、この辺りに彷徨っているであろうならず者やナデシコ型の魂魄が見えない。

 これも属性力が失われたせいだとしたら、俺の弱体化って相当なデバフがかかっていることになる。


「あうあう!」


『ドレイク様、妹君が向こうに連れて行けと……』


 こいつは!

 歩けないからって俺をこき使いやがって。

 意識がはっきりとしてきたら、兄の威厳を取り戻すために泣かしてやろう。

 うん、そうしよう。

 ユーナをおんぶし、もう一つの培養槽の場所へ行く。

 

 ビービービー


 警報がずっと鳴りっぱなしだが、まさか事故でも起こったのか?

 

「あうあう!」


『操作盤を早く触らせろと言っておりますがドレイク様』


「はいはい、どこが異常なのか画面に映せるか?」


 ピッピピピ

 ビービービー……ビ


 警報が鳴り止む。

 

「第55脳神経のインプット中、エラーが発生しました。このままでは正常に稼働しない可能性があります。継続しますか?」


 ほう、それはかえって好都合だな。

 魂の生成が出来ていないのなら、コスモスを入れるための器としてふさわしいし、今の状態で取り出しても良いだろう。


「えっと、停止してくれ」


「うぅあ……」


 ユーナは気に入らない顔をしている。

 急速モードなんかで生き物を作ろうとするからだ。

 これに凝りたら、命の有り難さをだな……。


 ピッピピピ

 ドシャァ


 ナデシコ型が培養槽から排出される。

 ナデシコ型のはずだが、微妙に顔が違う。

 まさか、極振りのせいか?

 でも、美少女だし別に良いだろう。

 べ、別に顔なんかで人を選んでいる訳じゃ無いからねっ!


「大地の精霊よ、奏でる命の響きを、夢見た時の亡骸に新芽となって輝け……リィンカーネーション!」


 コスモスを俺の中に入れた後、すぐに新たな器に送り込む。


「う……ううん?」


「ほっ、上手くいったな。コスモス、どうだ?」


「ええ、問題無く動きます。これなら、今すぐにでもドレイク様と愛し合うことが出来ますね! ほら、おっぱ……」


「服はどこかにあったよな?」


「ああん、ドレイク様、無視しないでください」


 しかし、運良く2基とも壊さずに済んで良かった。

 これで操作方法を覚えて、ナデシコ型を兵士として作れば領民を戦わせずにすむ。


「あら、コスモス。身体が出来てよかったですわね?」


「ふっ、これでドレイク様と毎晩楽しむことが出来るわ!」


「な、何を言っているんでしゅ! 毎晩、ドレイクしゃまと……」


 はいはい、もう聞き飽きましたよ。

 新たな身体でも痴女に代わりはないようだ。

 さてとユーナを連れて、一度屋敷に戻ると……あれ、ユーナは?


 ビービービー


「急速作成モードに移行します。完了時間は20分です」


「あう!」


 ふぁっ!?

 また、やすやすと生命を造ってんじゃねぇぇぇ!

 命の冒涜者がぁぁぁ!

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