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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神のいない世界
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このキメラはどこかおかしい1

「ローズにチェリーもかなり神力が下がったな?」


「大丈夫でち、覇王様の妃にふわさしいだけの力は残っているでちよ」


「あたちも問題ないでしゅ。ゆっくりと回復していくと思うでしゅよ」


 そうか、ローズやチェリーは知らないんだな。

 何十年も先の話だが、話すことで死の恐怖を与えることになる恐れもある。

 ヤマタノオロチのところへ連れて行って、ヤツから話させるか。

 そうすれば、俺としても少しばかり気が楽だしな。

 ヤマタノオロチに聞きたいこともあるし。


『コスモス、これから地下遺跡に行く。ユーナを動かしてくれるか』


『はい、喜んで』


「ルカ、ローズ、チェリー、今から地下遺跡に行くぞ。用意してくれ」


「ドレイクしゃま、それって……」


「ああ、地下遺跡にいるヤツには攻撃するなよ。今ではここの住人の一人だからな」


 ローズとチェリーには教えていなかったからな。

 見た途端、俺を守ろうと攻撃するかもしれない。


「誰か地下遺跡にいるんでしゅか?」


「ああ、ヤマタノオロチだ」


「ヤマタノオロチでちって!? 覇王様、なんで龍族なんかを!」


「世界の崩壊を防ぐためだ」


「チェリー、まさか怖いんですの? 元魔王ともあろうお方が?」


「こ、怖くないでち! 逆に……そう、かっこよくて感嘆したんでち!」


 ま、そういうことにしておいてやろう。

 各自、自室へ戻り出かける準備をする。


「あう……」


「ユーナ、すまんな。こんなことになって」


 ギュッ


『ドレイク様、妹君の残りの欠片はいつごろ探しに行かれる予定ですか?』


『確か、アルス大陸最北端のセントホルンだったか? グラウンドムーヴならすぐ行けるだろうし、ヤマタノオロチから話を聞いた後行くか』


 バッグベアの大隊も全滅させたし、次に襲ってくるまで幾許か時間はあるはずだ。

 勇者軍の使徒も残りはそれほど多くない。

 今回、一度に二人も無力化できたのはある意味幸いだったな。

 パティの件だが、どうするべきか。

 赤ちゃんとは言え、蟲使いだからなぁ。

 あの寄生虫を領民に感染させられたら、たまったもんじゃない。

 とは言え、赤ちゃんを処分するなんてのもなぁ……うーん、迷う。

 

「すぴー」


 こっちの気苦労も知らないでパティは気持ちよく寝ている。

 バッグベアによって1の状態に戻されたのなら、しっかりと教育をすれば逆に戦力にもなるか?

 もとからサイコパスなんてこと……無いよな?

 

「ドレイク様、全員準備が整いましたわ」


「よし、行くか」


 ルカとチェリーにグラウンドムーヴは効果がないため歩いて行くことになる。

 ま、領民に元気な姿も見せる必要があるだろうし丁度良い。


「おおっ! 覇王様だ!」


「覇王様、どうして一週間も姿をお見せにならなかったのですか」


「覇王様、遊ぼー」


「「覇王様!」」


 だから、覇王はやめてくれぇ……。

 ってか、子どもと楽しげに遊ぶ覇王なんてイメージ沸かないんだが?

 

「ああ、すまんすまん。この前の強襲でちょっと怪我をしてしまってな」


「覇王様がお怪我をなされた!?」


「そんな、覇王様ともあろう神が!」


「ぜってぇに許さんぞ、人間どもぉぉぉ!」


「こらこら、みなさん覇王様は貴方達を守るためにお怪我をなされたのですよ。復讐で返り討ちにあったら覇王様の行いが無駄になってしまいますわ」


「そうでしゅよ、みなしゃん」


「でち!」


「そ、そうだった。おら達、なんて愚かな考えを……」


「別に良いよ。俺の心配をしてくれていたんだろう? その気持ちだけ有り難くもらっておくよ」


「は……覇王様ぁぁぁ!」


「「さっすが、覇王様だべ! 人格者としても完成しとるべさ」」


 自分が人格者とは思わないが、みんなを守りたい気持ちは確かに持ち合わせている。


「ドレイク様、坑道へ参りましょう」


「ああ、そうだな。また見に来るよ」


「「覇王様、万歳!」」


 ルカを先頭に坑道へ入り、鉱夫たちにも挨拶を交わし奥に進む。

 立ち入り禁止区域、この先に地下遺跡がある。

 徒歩で来るなんて、ローズに案内してもらった以来だよな。

 グラウンドムーヴの利便性に改めて気付かされる。


「キュエェェェ!」


「ひぃぃ!」


「あら、チェリー? やはり、怖いんですの?」


「ち、違うでち!」


「これがヤマタノオロチでしゅか?」


『なんだ、ぞろぞろとやって来よって』


「声が頭の中に?」


「念話というやつでしゅね」


『ヤマタノオロチ、属性力の流出だが俺にも来てしまった』


『じゃろうな、すでに大気中の属性力は枯渇しておる』


「な、何のことでちか?」


「私にもわかりませんわ」


『ヤマタノオロチ、天使たちにもわかるように教えてやってくれ』


『ふん、天使化した元魔族か。良いじゃろう』


 神族たちに追われる羽目になった神族の子孫が今の魔族だ。

 純神とは違い、魔族たちはグランディール大陸の大気中に存在する、薄い属性力を取り込んで、長い年月生きていられることを話してくれた。


「えっ、それって……まろたちは?」


『そこの水の者を除いて、自身の体内にある属性力のみで生きていくことになる』


「そんな……」


「まさか、ドレイク様も?」


「ああ、俺も何十年後かわからないが属性力が尽きればいずれ……」


「そんなの嫌でしゅ!」


「覇王様が亡くなる……そんな、そんな!」


「あうぁ」


 ギュッ


『ドレイク様、私は覚悟できております。この時間を無駄にせず、ドレイク様と一緒に生きていきますね』


『ああ、コスモスもすまないな。もともとヒメに作られたプログラムだったのに、俺が受肉させてしまったせいで』


『そんな事言わないでください。ドレイク様のおかげで生きることの楽しさが理解できたのです。それに、それにドレイク様の子をいずれ身籠る夢も……ポッ』


 コスモス……お前、良いこと言っているなと感心していたのに結局はそれか?

 はい、好感度減点!


「ドレイク様、今すぐに子作りして子孫を残すでち!」


「あ、ズルいでしゅ! ドレイク様、あたちにも!」


「こらっ! 正妻の私の前でいい度胸ですわね!」


 んもう、こいつらの脳内は色事ばっかりかい!

 しかし、思ったよりショックを受けていないようで安心した。

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