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俺、神様になります  作者: 昼神誠
ゴッドスレイヤー
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この大地はどこかおかしい7

「欽治が生き返ったですって! ねぇ、ダーリンやったじゃない!」


「スカディ、やけに親切なわけね。ついでにリュー君のことも教えてくれれば嬉しいわけ」


「そうよ、リュージのことも教えなさい!」


「ふふっ、大海の魔女の息子か……君たちも神族を滅ぼすつもりなら彼を殺すことに……そうだ! 先にヘルヘイムを滅ぼしておいで。氷龍神の御霊はくれてやるから行ってくるがいいさ」


 なっ!?

 御霊を私たちに渡したら自分が不利になるのに何を言ってるの?


「ヘルヘイムにリュージがいるの!?」


「行ってみての楽しみさ。ははは、これはいい暇つぶしができそうだ!」


 何が面白いのかまったくわからない。

 ヘルヘイムにリュージ?

 以前、行ったときには見かけもしなかった。

 でも、ヒメを殺せるか……神族恐怖症の原点には彼女の存在が大きい。

 ヘルヘイムを後回しにするつもりだったけれど、先にヒメを倒し神族恐怖症を治すことができれば私だって戦えるかもしれないか。


「じゃ、あっしがもらうわけぇ」


「あっ、ルーシィさん! ズルい! 氷は私の十八番なんだから私に使わせてよ!」


 ルーシィが氷龍神の彫像を火龍神の御霊によって溶かしていく。

 それを微動だにせずに見守るスカディ……何を企んでいるの?

 でも、動かないのなら今のうちにレベッカの人形だけ解除できそうだ。


 ドロッ……ズズッ


「……リア、ありがとうございます」


「ふぅん、堕天使共は便利だね。闇属性が滅んだ意味がよくわかるよ。ははっ、汚物の闇属性が……」


「闇属性の何を知っていると言うんです!」


 ガシャン


 レベッカが激しい剣幕でスカディに問いかける。

 そうよ、闇属性は私たちを助けてくれた。

 この力が無いとユーナたちも生きてはいない……あれ、何を言っているの私。

 ユーナはそこにいるじゃない。

 人形に入っているのは本体が石化中なだけであって死んでいるわけは無いのよ。


 ズキッ!


 痛っ!

 また頭痛だ……思い出してはいけないことがあるの?

 でも、なんだろう?

 すぐそこまで出てきそうなこの感じ……思い出しそうで思い出せない。


『くすくす、そろそろ思い出さして心を壊す頃合いかしら?』


「闇属性のことなら知っているさ。闇龍神に最後のトドメを刺したのは僕だからね」


 ドクン!


「痛っ!」


「リア!? どうしたのですか?」


 頭が……違う、今度は胸の奥が焼けそうに熱くて激しい動悸が起きる。

 これは……憎悪?


『くすくす、やったじゃない。闇龍神のおっちゃん、仇がここにいたわよ』


『………………』


『心の深層で消滅しそうなのに、憎悪だけははっきりとしているわね。私も一部なのよ? 影響されてあいつを殺したくなっちゃうじゃない、ぷーくすくす』


 ドクンドクンドクン


「はぁはぁはぁ……あうっ!」


「ははは、こいつは面白い! まさか、太古の出来事を思い出したのかい?」


「リア! リア! しっかりしてください!」


 ドクンドクンドクン

 ドクンドクンドクン

 

「くっ……うう!」


 ズズッ……


「あれ? 形が保てな……ひびゃ」


 ドロッ……


「リア! 人形が崩れ……てぶっ」


 ドプン


「あー、タナトス様。ここに火龍神の御霊置いとくわけ……へぷ!」


 ドバッ


「異常に苦しんでいる? ははは、こいつは良い! 堕天使共を顕現できなくなったか!? それなら、ここで終わらせるのもありかな? いや……しかし、ヘルヘイムで土神となったあいつの前に出して戦わせるのも面白そうなんだよなぁ?」


 ドクンドクンドクン

 ドクンドクンドクン

 ドクン!


「うっ……う……うわぁぁぁぁ!」


 ズバッ!


「あはははは、憎悪で自身が闇に飲み込まれた! こいつは傑作だ! なぁ、ペット

見てみろよ、最高に面白いだろ!?」


「………………」


 コッコッコッ


「こら、なぜ勝手に動く? そいつに近付くと危険だぞ」


 黒い……視界だけではない。

 すべてが暗くて黒い。

 何もわからない……誰か誰か助けて……。


 ピシッピシピシ……バリン


「仮面が壊れた!? なぜ?」


「武者小路流格闘術! 流星!」


 シュッ!

 ドバァ!


「闇を蹴っただと!?」


 ドサッ


 ………………。

 

 ふにふに


 ん?

 なんだろう、この感じ?


 ふにふに


 胸が……あんっ!


「はぁぁぁ! 久しぶりのこの感触! 天国だぁ!」


「あんっ! ちょっ、杏樹! 何してるのよ!」


 杏樹が私の胸に顔を押し付けている。

 

「ははっ、まさかペットが自我を取り戻すなんてね。ハートロックを自力で破った人族は初めてみたよ」


 ふにふに


「ダリアちゃぁぁぁん、ここ? ここがええんかぁ?」


「あっ……あん! 杏樹、やめてってば……ひゃう!」


「……僕を無視するなぁぁぁ!」


 ドッ!


 スカディが巨大なつららを私と杏樹に向かって放つ。


 ガッ!


「アイススピアを受け止めた……だと!?」


「私とダリアちゃんの戯れを邪魔するなぁぁぁ!」


 ドンッ!


 受け止めたつららをスカディに投げ返す。

 無理だ、氷神族に氷属性は効かない。


「武者小路流格闘術、破!」


 つららを投げた直後、一気にスカディとの距離を詰め掌底破を浴びせる。

 

「ごふっ!」


 ヒュゥゥゥ

 ズガァァァァン!


 スカディを吹き飛ばした。

 相変わらず男には容赦がないわね。

 それがショタであっても問答無用とは……。

 それにしてもダークドールが解除されてしまったのに、凍結化しない?

 近くに火龍神の御霊が落ちている。

 赤く光ったままだ。

 ルーシィがいないのに発動しているの?

 でも、それで助かっているから別に良いか。


「こ……この! 僕を殴り飛ばすやつなんて初めてだ。でも、これでお前は神の怒りを買った。お前にもすべての神族から天罰が……」


「ごちゃごちゃうるさい、このクソガキがぁぁぁ!」


 ドゴォォォン!


 スカディが杏樹の膝蹴りで氷雪宮の外部に吹き飛ばされる。

 近くにいた杏樹の姿がいつの間にあんなところへ?

 ……ってか、凍結化しないの!?

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