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俺、神様になります  作者: 昼神誠
ゴッドスレイヤー
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この氷結はどこかおかしい10

「ユーナ、その話は後にするわけ。うるっち、氷結道に行った住人は?」


「神力が感じられなくなったってば……おそらく、半身の遺体を一か所に集めておくためってば。スカディは異常なほどの潔癖症で町が遺体で汚れるのを嫌ったと思うってば」


「取り込まれたのですね? ウルルさんは寝過ごして行かなかったから助かったということでしょう」


「ルーシィたちはこの寒さの中どうやって来れたってば?」


「ふふん、見てみなさい! 炎龍神の御霊のおかげよ!」


「それじゃ、ムスペルヘイムとヴァナヘイムを滅ぼした闇の勢力って……」


「ウルルさんも神族なら以前から見えていたはずです。私たちがどれほど酷いことをされたかを……」


「うるっち、悪いけれどこの国も滅ぼすわけ。あんたはあっしらの友人としてタナトス様に保護を求めてみるけれど期待はしないでおくわけ」


「ウルルさん、壊れる前にママのこと教えて」


「ユーナちゃん……ひっ!」


 ウルルの表情が強張る。

 ユーナの後ろにある窓の外を見てから……もしかして!?


 ピキピキピキピキ……


「あっ……あああ! 嫌! 死にたくないってば!」


「ウルルさん!?」


「うるっち!」


 氷の神族が凍っていく?

 いや、それだけではない。

 気温が低下しているのがわかる。

 まさか、炎龍神の御霊を持ってしても防げないほどの冷気?


「ルーシィ! 御霊の力をもっと出して!」


「さっきからやっているわけよ!」


「家の外に誰かいます! リア、私の背後へ!」


 ビュォォォォ!


 いつの間にか外が吹雪で視界が無くなっている。

 ホワイトアウトっていうやつね。

 セントホルン以来の見えない恐怖だわ。


「あああ! スカディ、やめてってば!」


 やはり、スカディがウォリアだったか。

 それにしても、この冷気……炎龍神の御霊で何とか凍死せずに済んでいるけれど、それも時間の問題になるわね。


「うるっち! 取り込まれないように意識をしっかりと保つわけ!」


「ウルル、貴女も神族でしょう! 根性で耐えなさい!」


 レベッカ、神族に根性なんてものは無いわよ。

 しかし、思った通り、ウルルも取り込まれる運命にあるようね。

 スカディの力が少しでも増すのを防ぐためにはこれしかないか。


「ダーリン、もうちょっと待って! ウルルさん、ママのこと教えてよ!」


「ユーナちゃん……ミズガルズのイズーモに行きなさいってば……そこに行けばシィの……」


 パキン


 ウルルが完全に凍りついてしまった。

 ウルルは半身では無いはず、それなのに身体が残るのはなぜなのだろう?


「うるっち!」


「んもう! 外にいる悪神、絶対に許さないわ!」


 ビュォォォォ!


「アイシクルアロー」


 ドスドスドスドスッ!


「きゃぁぁぁ!」


「リア!」


 氷の家の壁を貫通して氷の小さい矢が無数に襲いかかる。

 レベッカが身体を盾にして防いでくれなかったら危なかったわ。


 ピキピキピキピキ……


「ちっ! リア、ドール解除してすぐに次の人形を!」


 レベッカの身体が凍っていく。

 それだけじゃない。

 矢に当たったユーナとルーシィも徐々に凍結化が全身を蝕んでいく。


「ダーリン、急いで!」


「わかったわ!」


 ドロッ……


「ひゃっ、ダリアさん、私まで解除しなくて……べぱっ」


 ズズズ……


 相手を指定して解除するのが難しい。

 それだけじゃない、身体が寒さで小刻みに震える。

 ニーニャ、身体が新しくなると思えば良いでしょ。


「ぷはぁ!」


「よしっ! ルーシィ、炎龍神の御霊を強めてください!」


「言われなくてもやってるわけよ!」


 ボッボボボ……


 少し、寒さが和らいだ?

 炎龍神の御霊がさっきより赤く輝いている。

 力をうまく引き出せているの?

 さすがだわ、ルーシィ。


「くそっ、外が真っ白で何も見えませんね」


「スカディ! 近くにいるんでしょ! 隠れていないでさっさと出てきなさいよ!」


 ビュォォォ……パンッ!


 吹雪が止み、空が晴天になる。

 細かい雪が太陽の光に反射して輝いて見える。

 ダイヤモンドダストっていう現象ね。


「貴様がスカディか!」


「貴様? 口が悪いね、君」


 ウルルの家以外の氷の建物が無くなり、真っ白な雪原が広がっている。

 これでは隠れる場所がこの家の中しか無い。

 外をホワイトアウトで一時的に見えなくしたのもこれが狙いか?

 雪原の中央に立っているのは貴族風の美麗な服を着た男の子?

 

「ショタなわけ! キャ――、美形!」


「ちょっ、ちょっと! お母さん!」


 まさか、ルーシィってショタコン?

 

「リア、家の奥に避難していてください。外の空気が……おかしい」


 ダイヤモンドダストがキラキラと輝いている以外は無風で異様な静けさがレベッカの直感に響いているのだろう。


「そこから動く前に私が壊してあげるわ!」


「あっ、ユーナ!」


 窓から外へ飛び出すユーナ。


「ふふっ」


 スカディが笑っている?


 パキン


「ユーナ!」


 ユーナが一瞬で凍りつく。

 ルーシィを中心に10メートルくらいは空気が暖かいはず?

 それが外に出た瞬間に凍りつくなんて……そうか、雲一つない晴天だと超上空の冷気が降りてくる。

 まさか、家の外はここの何倍も温度が低い?


「解除してユーナを復活させるわ」


「リア、私たちを解除せずにユーナだけを狙って解除してください」


「そうですね、スカディとの戦いでは凍結化が足枷となります。ここで持久戦になるのも覚悟をして挑まなければ!」


 飛び出したユーナが悪いし、一人が凍るたびに全員の人形を解除していたら確かにいつまで経っても決着が付かないわね。

 ユーナだけを見て、解除するように集中する。


「残りの堕天使はそこから出ないつもりかい? ま、賢明な判断だね」


「ここからスカディまで約500メートル。遠距離主体で攻撃するしか無いです」


「私は接近しないとどうしようもないですし、ニーニャとルーシィに任せます」


 問題は魔法が凍らないかどうかよね。

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