表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、神様になります  作者: 昼神誠
ゴッドスレイヤー
400/592

この氷結はどこかおかしい6

『くすくす、さっきの闇魔法は見事だったけれど、神族の前で醜態を晒すのはやめて欲しいわね』


『ユーキ……そうよね……ごめん。どうしても怖くなってしまって』


『そうそう、座標が掴めないのは私が貴女に知らせないようにしているからよ。少し思うことがあってね……悪いけれど歩くか翼で飛ぶかして先に進んでちょうだい』


 思うことがある?

 まぁ、ユーキには何度も助けられているし別に良いけれど、ここからヨトゥンヘイムってどれくらいあるのだろう?



「ルーシィ、ここからヨトゥンヘイムって……」


「ひゃっ! えっ……あっ……だりっちのほうか。見分けがつかんなくてややこしいわけ」


「ルーシィ! リアもタナトス様と同等に扱えばいいだけでしょう!」


「あーはいはい、説教は勘弁なわけぇ……それで?」


「あっ……うん、ヨトゥンヘイムってここからどれくらいあるの?」


「ずっと向こうに見えている白い山ってどう見ても雪山よね?」


「あれがヨトゥンヘイムの一角なわけ。ざっと見て100キロも無いわけね」


「風龍神の御霊を手に入れたから風をいつでも起こせるわよ。これで飛んで行けるんじゃない?」


「それは便利ですね。翼を開くのは簡単だし、歩くより体力は使いません」


「んじゃ、あの山に向かって行くわけよ」


 ノトスのことは心配しなくて良いってユーキが行っていたけれど、どうなったのだろう?

 やっぱり、気になるのよね。


『ユーキ、ノトスのことで教えて欲しいのだけれど……』


『………………』


『ユーキ? 聞こえているんでしょ?』


 返事がない?

 また眠ってしまったのかな?

 でも、勝手に身体を動かされないだけでもマシか。

 いざというときには助けて欲しいしね。

 しっかりと私の中で回復しておいてよ。


『くすくす、回復じゃないのよねぇ。支配の準備よ』


 ゴゴゴゴ……


 ムスペルヘイムのときと同じように狂飆宮が崩れ始めた。

 御霊を奪うと神殿が壊れるっていうのは確定路線なのかしら?


「ダーリン、早く出ましょ」


「リア、頭上に気を付けて」


 みんなで狂飆宮から脱出する。

 地震は国全体が揺れているようだ。

 ここではどんな変化が起こるのだろう?


 ゴゴゴ……

 バキッバキバキ


「わわっ、地割れ?」


「ここも危なそうですね。ユーナさん、御霊の力で風を起こしてください」


「ふふん、任せなさい!」


 ユーナが風龍神の御霊を手のひらに置く。

 ………………。


「ユーナ、早くするわけ」


「ふ……ふん、ちょっと待ちなさい!」


 ………………。


「ユーナ、急がないと!」


 ゴゴゴ!

 バキッ……


 神殿が地割れにより地中に沈み込む。

 そして、私たちの周りも次々と地割れが広がっていく。


「ちょっと、ユーナ!」


「ふ……ふふん……えっと……どうやって使えばいいのかな?」


 ドッ


 あら、みんなノリがいいわね。

 ずっこけたふりをするなんて。

 って、いくらなんでも呑気すぎない!?

 

 ガラガラガラ!


「ひゃぁぁぁ!」


「リア!」


 足元が崩れ、みんな揃って地中に落ちていく。

 もう、ユーナ、強がりもいいけれど大概にして!


 ポゥ

 ボォォォ


 風がどこからか吹いてくる。

 なんでもいい、急いで翼を作らないと!


 バサッ!

 ブォォォ


 翼が風を捉えて上空に上がっていく。


「ふふん! 計画どおりね」


 いや、絶対に違うでしょ?

 さっき、顔が引きつっていたのをしっかりと見たわよ。

 でも、どうして急に御霊が動いたのだろう?

 まさか、風龍神が助けてくれた?

 そんな都合の良いことあるはずがないわよね?

 風に乗り上空へと上がっていく。

 狂飆宮の周辺だけ大きな地盤沈下になっているが、その他は変化がない。


「土地の変化があまり感じられないわね」


「だりっち、何言ってるわけ? 明らかに風属性が薄くなったわけよ」


「そうですね、この国に入ったときから感じていた肌にベッタリとまとわりつく感じが無くなった気がします」


「普通の人間がこの国に入ると数分ほどで死に至るほどの風属性だったわけ」


 えっ、私も普通の人間なのだけれど……闇属性によって守られていたのかな?

 

「ダーリンの中のタナトス様のおかげね!」


 風属性って濃度が高いと毒ガスみたいな効果があるのかな?

 それだったら狂飆宮から御霊を取ったのは正解だったのね。

 これでヴァナヘイムも人族が暮らせる土地になったわけだ。


 ビュゥゥゥ


 風が横向きになり、背後から翼を押してくれる。

 かなり上空に上がったところでヨトゥンヘイムの全貌がうっすらとみえる。


「あの中央にある高い山がガンデリオン大陸で最高峰のガルフピッゲンなわけ」


 ガルフピッゲン?

 ノルウェーにある山と同じ名前ね。

 北欧神話と同じ国名なのも以前から違和感を感じていたし……私のいた地球となにか接点でもあるのかしら?


「標高は9999メートルなんですよ」


 山がカンストしている!?

 どんな山なのよ!?

 数時間ほど風にのってヨトゥンヘイムを目指す。


 ピキピキピキ……


 服に霜がついてきた。

 気温も急激に下がってきたわね。


「ここらへんで降りませんか? リアが凍ってしまいます」


「まだ、ヴァナヘイムのはずだけど国境が氷によって侵食されてきているわけね」


「ヴァナヘイムを覆っていた風属性が薄まったから?」


「たぶんね。もうちっと進みたかったけど、だりっちが凍死しちゃ意味ないし降りるわけ」


 凍気を濃度が高い風属性が塞いでいたのか。

 それが無くなったことでこの辺りも少し白くなってきている。

 ここからは徒歩で入国することになるわけね。


「あ、看板がある。ここから先、ヨトゥンヘイムのため入国に注意されたし?」


 無断で入ったら即攻撃するっていう警告のつもりかしら?

 それなら、なにか対策を考えておかないといけないわね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ