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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神になった少年
332/592

この河はどこかおかしい2

 なんてこった……最悪の想定通り、ヤマタノオロチが闇ユーナに攻撃されている。

 しかし、首が数本はね飛ばされただけでは絶命せず、すぐに切り口から生えてくる。

 ヤマタノオロチはトカゲのしっぽのように首が切断されても何度も再生する。

 日本神話ではスサノオが酒で酔わせ、頭脳のある頭部を破壊したあとで胴体をズタズタに切り裂き倒したことで有名だ。

 だが、ここは異世界。

 ヤマタノオロチが実在する世界だが、同時に魔法も実在している。

 その魔法でさえヤマタノオロチには対して効果が無いように見える。

 

「もぉ! まったく、闇に堕ちないじゃない!」


 なぜ、闇ユーナが放った闇魔法で変色しない?

 闇属性に耐性でもあるのか?

 それなら欽治さえ止めれば良い話だが、やはり心配だ。


「グガァァァ!」


 ボウッ!

 シュパァァァ!


 一つの頭部から火を吐き、別の頭部からは水を吐いて闇ユーナに攻撃をしている。

 複数の属性を扱えるのは人族だけでは無いのか?


「グガァァ!」


 ブォォォ!

 ドンッ!


 次は風属性と土属性のブレスだと!?

 まさか、八つの頭部はそれぞれの口から別属性を放つことができるのか?

 ヤマタノオロチって、そんな設定ではないような?

 ……異世界だから問題ないのか。

 うん、そういうことにしとこう。

 

「ふふん! 地水火風の属性攻撃なんて闇の前には効かないわ! これでいい加減に逝っちゃいなさい……ダークフロストスラッシュ!」


 ビュン!

 ブチブチブチブチ!


 トカゲのしっぽのように切れやすいのか?

 闇ユーナの攻撃で一度に6本の首が飛び散るが、一瞬で切り口から再生する。

 しかも、切断面から侵食するはずの闇が逆にヤマタノオロチの体内に吸収されているように見える。

 やはり、闇属性に対して耐性があるようだ。

 

「ギュワァァァ!」


 ピカッ!


「ひゃぁぁぁ!」


 レーザーのような光線を別の口から吐き出し、闇ユーナが間一髪で躱す。

 雷属性では無い?

 来る途中の山で見た光の正体はあれか?

 まさか、光属性のブレス?

 名のあるドラゴンの先祖が龍神の欠片ならば、ヤマタノオロチは光龍神の欠片も受け継いでいる?

 しかし、一つの身体で全属性を使えるって人族以上に高スペックだよな。

 龍神も火龍神や水龍神のように属性ごとに存在する。

 まさか、ヤマタノオロチってハイブリッドな存在?


「ニーニャん、お願いね!」


 ドプン


 闇ユーナが影に溶け、その影からニーニャさんが出てくる。

 

「かなり大きい。大地を穢したくは無いのですが……仕方ありませんね」


 ニーニャさんが両腕を空間内に入れ武器を取り出す。


 キュルルルル……


 出た――!

 闇ガトリングガン!

 銃弾が魔法だから、ほぼ無限に撃てるという恐ろしい武器だ。

 あれで蜂の巣にされたら、ヤマタノオロチでも危険かもしれない。


 ズガガガガガガ!

 ズガガガガガガガ!

 ボウッ!

 バチッ!


 ヤマタノオロチは素早く動けないため、胴体に全弾が命中する。

 しかし、傷口はすぐに再生し、それぞれの口から火と雷を吐く。

 ニーニャさんに反撃しても、火属性と雷属性では無意味だ。

 反撃をするなら光属性の攻撃でなければ、堕天使たちには効果がない。

 ヤマタノオロチに言葉が通じれば、あいつらをなんとかできそうなものなのだが、コンタクトを取るにしても、あいつらの前に姿を晒すとニーニャさんのガトリングガンで俺が真っ先にやられてしまう。

 

「身体に当てても無効ですか。それなら……」


 ニーニャさんがガトリングガンを空間に収納し、別の武器を取り出す。

 ……って、あれはロケットランチャー!?


 ガシャン


 肩に抱え、ヤマタノオロチに向かって弾を撃つ。


 ズガァァァン!


 図体が巨大なため素早く動けないし避けようがないよなぁ。

 しかし、直撃したのにも関わらず何とも無い。

 代わりに爆風で削られたヤマタノオロチの足下が漆黒の沼に変貌していく。

 地面を闇属性で満たして堕とすつもりか?

 

「ここだけではすべて沈めるには無理なようです。移動します」


 誰と話しているんだ?

 俺と天使のようにダリアと繋がっていると仮定すると相手はダリアか。

 まさか、近くにいるのか?

 俺が近くにいることはまだ知られていないよな?

 高天原の周辺が深い森に囲まれていて助かった。

 

 ズガァァァン!

 ズガァァン!


 あのロケットランチャーまで弾が魔法なのか?

 無限ロケランとか……バイ○じゃん!

 

「グガァァァ!」

 

 ピカッ!


「きゃぁぁぁ!」


 ジュッ!


 光属性の範囲攻撃!?

 ヤマタノオロチの身体が激しく輝き地面に広がった闇属性が消滅する。

 その光を近くで浴びたニーニャも跡形も残らず消滅してしまった。

 ニーニャさん……やはり、身体が闇で構成されているのですね。

 それにしても、ヤマタノオロチTUEEE!

 

「なんてことを!」


 森の中から見知らぬ女騎士が高天原に出る。

 あの女騎士もダリアの堕天使なのか?

 闇属性で作られた身体ならば、ヤマタノオロチの光属性攻撃で消滅するはずだ。

 あの女騎士が倒されるまでは、ここで様子見しておこう。

 欽治のやつは普通に走って来れば……まだ、一つ手前の山の頂上あたりか?

 

「はわわわっ、凄い! 本当に首が8本もある! 凄いです! これはもう……我慢できませぇぇぇん!」


 えぇぇぇ!?

 もう来たの!?

 どこにそんな素早さがあるんだよ!?

 ってか、初めから我慢なんてする気ないだろっ!

 だが、これはあまりにも状況が悪い。

 女騎士の闇属性攻撃で欽治が闇に堕とされないように守る必要がある。

 くそ、俺は掠るだけでも即死するってのに!


「なんだ、ただの女剣士か? リアを狙うのなら、女性であっても手加減はしないですよ!」


 すんません……そいつ、女じゃないんですぅ!

 女装をした男性ですから!

 かなり大きいゾウさんをぶら下げているオスですからぁ!


「ふへ……ふへへ……ドラゴン、ドラゴン、ドラゴン……やっと狩れる……もう、我慢できませぇぇぇん!」


 だから、初めから我慢できてないだろうがぁぁぁっ!

 女騎士を無視して、ヤマタノオロチに斬りかかる欽治。


「私を無視……するなぁ!」


 そうですよね――!

 でも、欽治に斬りかからないで下さぁぁぁい!

 この距離なら俺が出来ることは、欽治と女騎士の間に壁を作ることだけだ。

 だが、それをすれば俺がいることがダリアに知られてしまう。


「邪魔するなぁぁぁ!」


 ドゴッ!


「かはっ……」


 うわぁ、欽治……相手が女性でも本気で殴っちゃったよ。

 でも、どうしてだろう?

 女同士の殴り合いに見えるからか、欽治のことを悪く見られない。


「ドラゴン……ドラゴン……ドラゴン……禁忌の型……」


「くっ、リアのためにも……王国再建のためにも私は負けられない……ん……だ」


 ドサッ


 かなり激しく頭を地面にぶつけたようだし、脳震盪を起こし気を失ったのか?

 女騎士って、まさか人間なのか?

 ……やべぇ、バーサーカーモードの欽治パンチを腹に直撃して大丈夫かな?

 

「狂兎斧!」


 ふぁっ!?

 京都……やて?

 やっと、きたどすえぇぇ!?

 って、喜んでいる場合では無いっての!

 

 ドシュ!


「グガァァァ!」


 首をはね飛ばすどころか、ヤマタノオロチの胴体を真っ二つにした!?

 しかし、胴の傷も即時に再生するようだ。

 ヤマタノオロチのステータスを見ても、HPがほとんど減っていない。

 リヴァイアサンやヨルムンガンドが雑魚に見えるほど強くないか?

 全属性が使えるハイブリット型だし。

 

「凄い……こんな強いドラゴンを僕は待っていました! 本気でイけます!」


 イかなくていいからぁ!

 欽治、頼むから理性を取り戻してくれぇ!


 ガサッ

 

「欽治君?」


 森からまた誰か出てきた。

 って、おいおい……嘘……だろ?


「本当に生きていてくれた……」


「死酷の型……」


 欽治、後ろ、後ろ!

 まったく気付いちゃいねぇぇぇ!

 お前の尊敬している先輩のダリアが後ろにいるんだよぉぉぉ!

 ダリアが女騎士のもとに近付く。

 あの女騎士、ダリアの仲間だったのか。

 普通の人間も仲間にして、ガンデリオン大陸に来るって何を考えていやがる。


 スッ


 ダリアが女騎士を介抱する。


「レベッカ……大丈夫?」


「う……ううん……」


 あっ、やっべ。

 この先の展開は何となく読めるぞ。

 女騎士が目覚めたら、欽治に殴られたって言うに決まっている。

 

「ユーナ、お願い」


 ズズッ……


 ダリアの影からユーナが出てくる。

 おふくろが言った通り、ダリアは闇属性を自在に操っているようだ。


「もう、だらしがないわねぇ。ダークヒール!」


 なんだか、デバフされそうな回復魔法だな?

 

「……うっ……リア?」


「大丈夫?」


「そ、そこの女剣士から……一発、もらってしまいました」


 ぎゃぁぁぁ!

 やっぱ、そう言うよね!?


 ズズッ……


 ダリアの足下の影が広がっていく。

 影ではない……闇か?

 

「欽治君が……あの優しい欽治君が……そんなこと……」


 ダリア、もしかして泣いているのか?

 感情の昂りに闇属性が反応している?


「もうっ、欽治! そのドラゴンはこっちがなんとかするから、ダーリンに誤りなさい!」


 ザシュ……ゴトッ……。


「ふぅ……満足ですぅ」


 目を離している間にヤマタノオロチが肉塊になってるぅぅぅ!?

 欽治、分かっていたが強すぎだろ!?

 

「あれ? 偽女神様?」


 あの黒い喪服みたいな感じで偽物と即断できたのはさすがだ。

 だが、構えもしないのは危ないぞ。


「ほら! ダーリンが泣いちゃったのよ! 男の子なんだから何とかしなさい!」


「えぇぇぇ、相手を見てください! 女剣士ですよ! 男と女を間違えるなんて相手に失礼です!」


 ユーナの言うことが正しいんだよねぇ。

 しかし、ダリアに近付いたら闇に触れることになる。

 欽治を見殺しには出来ない。

 だが、ダリアに出会ったら全力で逃げろって、おふくろが言っていた。

 見たところ大したこと無さそうだが……どうする?

 

「先輩? 先輩じゃないですか!」


「そうよ! 欽治、早くこっちに来て誤りなさい!」


 闇ユーナもやることが姑息だな。

 そうやって、引き寄せて地面の闇に沈めるつもりだろう?

 モロバレだぞ。

 欽治も俺の言ったことを覚えているのか、警戒はしているで近付いていかないようだ。

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