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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神になった少年
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この海はどこかおかしい9

「そうでござった。ドレイク殿……なぜ、ミズガルズへ? 我らは危害を加えずとも他の水神族は攻撃してくるやもしれぬのに」


 ドラゴンがこの近くにいることを欽治に知られるわけにはいかない。

 ここは適当に答えるか。


「あ――ええっと……欽治に会えると思って」


「ドレイクさん、わざわざ僕を探しに来たのですか? 嬉しいです」


 顔を赤らめないでくれぇ。

 年齢的には成人しているはずなのに、欽治が言うには成長が止まっているようで可愛かった俺のよく知る欽治のままだ。

 

「ほぅ、この御仁を? むむっ、娘……でござったか? 欽治殿は何用でこの国へ?」


「ぼ、僕は男です!」


「「ええっ!?」」


 恒正さんだけでなく、周囲の町人も驚き声を上げる。

 ま、当然の反応だよな。


「僕がここにいるのは……えっと、全然覚えていなくて」


「ははは、面白いことを言うでござるな。今のガンデリオン大陸に人族は住んでおらぬでござるよ。わざわざ、アルス大陸からおいでに?」


 そうなんだよなぁ。

 いくら、夢遊病でドラゴン狩りをしてしまう迷惑体質になったとは言っても、グレンから距離のあるミズガルズに来た手段が不明なままだ。

 ガンデリオン大陸の東端から船がなければミズガルズには来られないからな。

 それにどうやって住んでいるドラゴンを見つけたのか?

 俺と過ごした幼少期の土人形だったころの記憶は失っているはずだし、まさか勘で来た……なんてことはないよな?

 

「主!」


「むっ、何用でござる? 客人の前でござるよ」


「お耳に入れたいことが……」


 家来の一人が恒正さんの近くへ寄り、耳元で呟いている。


「なんと……それはまことか?」


「密偵からの確実な情報です」


「ドレイク殿、それに欽治殿、何度も迷惑をかけてしまってすまないでござるが、少し付き合ってもらえないでござろうか?」


 何か起きたのかな?

 まさか、闇ユーナが戻ってきたとか?

 ここで恩を売っておくと後々、俺の用件も聞き入れてもらいやすいだろう。

 何より欽治から目を離すわけにはいかないしな。


「はい、構わないですよ」


「僕も……ですか?」


「ルカも一緒に来てくれ。ユーナ、行くぞ」


「あうぅ……」


『はぅ、またお姫様抱っこ! きゅぅぅぅん!』


 コスモスとユーナは相変わらずだな。

 ユーンを再び、土箱に入れて背負う。

 神社から出て海岸線を歩き続けること約30分。

 非常に巨大な吊り橋が見えてきた。

 隣の島と繋がっているのか。

 しかし、この吊り橋……なんだか、既視感があるな?

 明石海峡大橋?

 そうだ、おふくろと旅行で四国へ行ったときに通った橋だ。

 現地の讃岐うどん、うまかったなぁ……じゅるり。

 小麦と塩さえあれば作れるし、領民に作らせてみるか?

 名物グランディアうどん……なんつって。

 

「うわぁ、大きな橋ですね。下には巨大な渦潮が……落ちたらどうなるんだろう?」


「ヤマタノオロチの結界の一つでござる。船からでは渡れないため、橋を数日ほどかけて建てたでござるよ」


 ふぁっ!?

 こんなところで突然ヤマタノオロチの話が出てきた!?

 

「ヤマタノオロチ? ……ってどんな生き物なんですか? 会ってみたいなぁ」


 あっ、恒正さん!

 ドラゴンって言っちゃダメだからね!

 言った瞬間にこいつが暴走して、すぅんごぉいことになるからね!

 俺も責任取らないよ!


「世界的に有名なあやつを知らぬと? この世界では数本の指に入るドラ……」


「わ――! 欽治、あっちの景色がすごく綺麗だぞ!」


「ど、ドレイクさん……服を引っ張らないでください」


 やっべぇぇぇ……。

 この話はすぐに止めさせないと……ってか、もしかして今から行くところってヤマタノオロチの棲み家なのか?

 恒正さんに話を聞きたいが、欽治の耳に入ると暴走してしまう。

 こうなったら、ルカに欽治の相手をしてもらって、その間に恒正さんからヤマタノオロチの話を聞くとしよう。


『ルカ、聞こえるか? 頼みたいことがある』


『はい、どのようなご用件でございますか?』


『欽治と少し話をしていてくれないか? ユーナも渡す。会話のネタにでもしてやってくれ』


『かしこまりました』


 ルカが欽治の近くにより話をする。


「欽治さん、貴女って意中の男性はいらっしゃるの?」


「ふぇ!? だ……だだだ……男性……ですか?」


 ルカは神社内での話を聞いていなかったのか?


『あっ、因みに欽治は男だ』


『なんですってぇぇぇ!』


 いや、その前に初対面でする話ではないだろ……それ。

 ルカが欽治を引き離してくれている間に、ヤマタノオロチについて恒正さんに話を聞く。


「これから向かう島にヤマタノオロチが棲んでいるのですか?」


「うむ、見ていただいたほうが早いかと思い付き添ってもらったが、ドレイク殿には聞く権利があるでござるな。事の一見は数ヶ月前に及ぶでござる」


「数ヶ月前……ですか?」


 まだ、ダリアがガンデリオン大陸の神族に攻撃を行う直前の話になるのか?


「うむ……数ヶ月前、眼前のアッワァジ島中央部に高天原たかまがはらが現れたでござる」


「高天原?」


「ヤマタノオロチの棲み家でござる」


「ヤマタノオロチって生息地を変えるのですか?」


「うむ、ミズガルズの各地に高天原跡が存在するでござるよ。ヤマタノオロチはその土地の神力を餌としているでござる。それだけならば、問題は無いのでござるが……やつの排泄物で土地が汚染されてしまうのでござるよ。他の神族はもちろん、我々でさえも迂闊に近付けぬ高濃度属性力地帯と化してしまうのでござる」


 高濃度属性力で汚染?

 放射能みたいなものか?


「そんな場所に向かったら、俺も危険なのでは?」


「まだ、ヤマタノオロチが棲み着いてから数日しか経っておらぬでござるよ。その心配は無用でござる。問題は……」


 話を聞くに高濃度属性力で汚染された土地がミズガルズ国内で増えることは、島国であるこの国にとっては神族が暮らせる土地の面積が減少していくのと同義である。

 それが大きな問題となって対策を検討しているらしい。

 なんていうか、日本でも原発から出た核廃棄物処理場とかで土地が奪われているし、似たようなものか。

 国が似ていると思ったら、国内の問題まで似ているとか偶然だよな?

 

「ヤマタノオロチを退治するつもりですか? 俺はそれには賛成できませんよ」


「まさか!? いくら迷惑をかけると言っても、やつは龍神様の欠片でござる」


 ミャク島の遺跡に書いてあったことは事実だったようだ。

 名のあるドラゴンと龍神には繋がりがある。

 それを2体も倒してしまった欽治は、この件には絶対に関わることはさせてはならない。

 だとすると、欽治をあの島に連れていくことが危険だ。

 

「俺は何をすれば良いのです?」


「土の神族の頂点に立つドレイク殿は地形操作が得意でござろう?」


 地形操作ね、確かにできなくはないが……ああ、そういうことか?

 地形操作で高天原とやらを消せば良いのか?

 だが、そうすると別の地点でまた棲み着くことになるわけだ。

 問題の先送りをしているだけに過ぎないような気がする。


「高天原を消しても、また違う場所に作るのでは?」


「だが、我々の先祖代々の神聖な島を奪われるわけにはいかないでござる」


 同じ国内の土地でも自分の土地を最優先するってか?

 ま、俺もグランディアを守るためにやってきたし人のこと言えないよな。

 だが、問題はそこではない。

 欽治がヤマタノオロチに出会うのを阻止しないといけないのだ。


「恒正さん、どうして欽治も連れてきたのです?」


「ドレイク殿が地形操作をしている間に、ヤマタノオロチの攻撃から守ってもらう必要があるでござろう? 拙者一人では8つの首すべての動きを把握できぬが故でござる」


「だったら、家来を連れてきたらいいのでは?」

 

「水神族の天使はヤマタノオロチにとって餌にすぎないでござる。天使は連れて行けぬよ」


 エンジェルイーターなの!?

 やだっ、怖いんですけど!

 ルカも水属性だし、下がらせたほうがいいか?


 ズゴゴゴゴゴ


「地震?」


「ドレイク様、海峡の渦潮が!」


「これは……何というタイミング……マズいでござる!」


 ザッパァァァン!


「グガァァァ!」


「リヴァイアサン!?」


「ヤマタノオロチに惹かれて、海龍の目撃例が増えているとは聞いておったが……予想外の事態でござる!」


 やっべぇぇぇ!

 ヤマタノオロチだけではなく、別のドラゴンまで現れるなんて……欽治のほうを見てみる。


「はぁはぁはぁ……ド、ドドド、ドラゴンだぁ! 濡れます! これは濡れちゃいますぅぅぅ!」


 ぎゃぁぁぁぁ!

 完全にイっちゃってるじゃねぇか!?

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