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俺、神様になります  作者: 昼神誠
神になった少年
302/592

この戦力差はどこかおかしい2

『コスモス、聞こえているか? 奴らを無力化できているから、今すぐに合流しろ』


『はいっ、急いで参ります!』


 さて、コスモスが来るまでの間に特殊部隊を片付けるか。

 彼らの持っている手榴弾やいくつかの銃は床に貼り付き無力化することができた。

 防弾チョッキの金属製なら、身体を拘束することができたのだが、そう甘くはいかないものだな。

 それに彼らが新たに持ち替えたハンドガン、あれも金属製では無いようだ。

 カーボン樹脂とかそういうタイプのものなのかな?

 しかし、銃弾が金属製である以上、そこで発砲しても高磁力により射程は短くなり、弾道も大きく変わるだろう。


「ドレイクしゃん、あっちに一人、向こう側に三人隠れているでしゅ」


「メデューサも相手の位置がわかるのか?」


「相手が金属製のものを身に付けていると分かるでしゅ! 場所の特定だけなら簡単でしゅよ」


 メデューサも土属性だけあって、鉱石感知の能力を持っているようだな。

 しかし、土神だけが保有している能力だと思ったのだが……悪魔たちも神族と親しい存在なのか?

 ま、同じ土属性魔法の使い手だし、メデューサとは良い関係を築いていけたら良いよな。


「この城内にいるのは残り四人か?」


「そうみたいでしゅ。あたちの領民は……ぐしゅっ……全員……殺しゃれたでしゅ」


 おそらく、1階に避難していた農民だけで全員なのだろう。

 亡くなった相手に対し、泣いてやれる領主か……ルカもそうなってほしいものだ。

 メデューサは思っていた以上に、領民に思いやりのある魔王軍幹部のようだな。

 魔王軍幹部はみんな、都で自堕落な生活をしていたと聞いたが、やはり人から聞いただけで判断してはいけないようだ。

 他の魔王軍幹部とも一度、会ってから判断するとしよう。


「フォックス7、やれ」


 ダァンダァンダァン!


「むっ、弾道が曲がる? この妙な床のせいかもしれん!」


 あいつらも撤退する気はないようだし、やはり潰すしか無いようだな。

 この領地は鉱石類の資源が豊富な場所だし、なんとしても押さえておきたい。

 コスモスが合流でき次第、特殊部隊を片付けて雪のことを問いただすとしよう。

 

「ドレイク様――!」


 ガバッ


「ひ、ひゃぁ! 誰でしゅか!? 人間!?」


「メデューサ、安心しろ。俺の仲間だよ」


「仲間ではありません! 私はドレイク様のぉ……妻となる天使です! きゃっ! 言っちゃった!」


 何を一人で興奮しているのか?

 まぁ、想ってくれるのは嬉しいけれど、俺が結婚適齢期になったときには、ナデシコはどうなっているのか?

 おばさんになった姿は想像したくないなぁ。

 いや、肉体がホムンクルスだし、確かテロメアも短いはず。

 あと、どれくらいの寿命なのだろう。

 これも対策を考えておかないといけないか……。


「ドレイクしゃん、この人さっきから凄い目で睨んできて怖いでしゅ」


「がるるる! ドレイク様、誰ですか!? この幼女は!」


 相手が女性だと幼女でも嫉妬するのかぃ……勘弁してくれぇ。

 

「ナデシコ、メデューサは俺の手で守ることにした。傷を付けることはもちろん、威嚇するのも禁止な」


「そ……そんな! ドレイク様、ハーレムをお作りになられるのですか! それなら、私を正妃にしていただけないと納得できません!」


 重い……重すぎる……。

 しかも、ハーレムって年じゃないだろ。

 相手は幼女だぞ。

 

「よし、メデューサ。まずは一人離れているやつから狙うぞ」


「行くでしゅ!」


「ああん! ドレイク様、無視しないで下さーい!」


「くそっ、全員に伝える! 一旦退却だ!」


 逃げるつもりか?

 コスモスを傷付けた礼をまだしていない。

 やすやすと逃してたまるか。


「神が創りし粉の、大地の恩恵を……ソフトクレイ!」


 ズボッ


「なっ、床が柔らかくなって……足が沈む!?」


 足止めにはちょうどいい魔法だよな、これって。

 土壌作りにも適しているし、うーん、大地の神って有能。

 

「領民の仇討ちをしゃせてもらいましゅ!」


「う……うわぁぁぁ!」


 パキン


 メデューサって本来なら目を合わせるだけで、相手を石に変えられると思っていたが、このメデューサは幼いためなのか、かなり近付いて目を合わさないと石化させられないみたいだ。

 近付くのに援護してやらないと危険だな。

 

「よくやった、メデューサ。残りは三人だな?」


「上に向かっているみたいでしゅ。ドレイクしゃん、付いてくるでしゅ」


「こらっ、ドレイク様に命令をするなんて、下賤な悪魔如きが図々しいわよ!」


「ひぃぃ、怖いでしゅ!」


 メデューサが俺の後ろに隠れる。

 気が弱いのは新鮮だよな、髪以外は可愛いし。

 俺もまだ5歳児の身体だから、周囲からは仲の良い兄妹に見えてしまいそうだ。


「コスモス……さっき、忠告したはずだぞ?」


「も、申し訳ございません」


「メデューサ、案内を頼む」


 メデューサの後を付いて行き、3階へ上がる。

 しかし、特殊部隊は逃げるつもりなのに、どうして上の階に進んでいるのだ?

 

 バババババ


 上階から聞き慣れた音がする。

 プロペラ音……まさか、ヘリコプターまで持っているのか?


「隊長、もうそこまで追いつかれています!」


「チッ、仕方が無い! フォックス7・ドッグ3、お前たちだけでもヘリで脱出しろ!」


「そんな!? 隊長はどうするおつもりですか!?」


「ふっ、言わせるんじゃねぇ……ここが俺の墓場になっただけさ!」


 ……ええっと、安っぽい寸劇でもしているのでしょうか?

 なんか、どっちが悪者か分からなくなってくるじゃないか。

 

「クソ化け物ども! ここから先には行かせねぇ!」


 ドドドドド!

 チュンチュンチュン!


 まだ、武器を持っていたのか?

 磁石にした床に吸い寄せられないってことは、あれもカーボン製?

 だが、弾丸はそうはいかない。

 高磁場にしたことでサブマシンガンから放たれる弾は大きく軌道を変え、床に吸い寄せられていく。


「当たれ、当たれ、当たれ、当たれぇぇぇ!」


「ドレイクしゃん、近付けないでしゅ」


「死ぬ気で襲いかかってくる相手ほど手に負えないやつはいないからな」


 階段での攻防がしばらく続く。

 もちろん、こっちは先に進むことができず、階段の曲がり角で身を隠すだけだが。


 カチッカチッ


「ちっ! 銃弾切れか!」


「ドレイクしゃん、あたちが行くでしゅ!」


「ふっ……俺もここまでか……」


 まだ、寸劇してたんかいっ!?

 最後まで格好付けていないで、逃げれば良いものを……愚かだ。


「隊長、隠れてください!」


 チュィィィィィン


 この音は……ヤバい!

 

「メデューサ! 下がれ!」


 ズドドドドドド


 ヘリに搭載したガトリングガンが砦の壁に無数の穴を開けて飛び込んでくる。

 

 ドシュドシュドシュ


「かふっ!」


「メデューサ!」


 メデューサの身体を数多の銃弾が貫いていく。

 

「ドレ……イ……ク……しゃん……仇を……」


「ドッグ3、よくやった!」


「隊長も早く乗って下さい!」


 ……こいつらぁぁぁ、絶対に逃さんぞ!


『ほう、やっと怒りが湧いたか? そうだ、怒りに身を任せるといい』


 声?

 いや、それよりもこれは憎しみ?

 黒い何かが俺の心を満たしていく。


「下等な人間の分際で……神の俺を……ぉぉぉ!」


「ドレイク様?」


 バチッバチバチ


 ……身体がおかしい?

 それにこの感覚は何だ?

 無性に近くにいる相手を誰でも構わず殺したい?

 

『いけない、リュージ! 怒りに身を任せてはダメよ!』


 女性の声?

 コスモスでは無い。

 この声は母さん?

 ぐっ……身体が熱い!?


「あの子ども、さっきから動きませんね」


「隊長、今ならやれそうです!」


「ああ、雪様からの命令は魔族の殲滅だ。この大陸にいる以上、魔族だと判断する。殲滅開始だ!」


「下等な人間がぁぁぁ! ドレイク様に手出しはさせない……」


 コスモス、今飛び込んでは駄目だ!

 ガトリングガンが俺を狙っている!


「来るなっ! コスモス!」


 ズドドドドド!


「ドレイク様……ドレイク様ぁぁぁ!」

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